SLS方式3DプリントがTFAマシンショップの効率を改善

SLS(粉末焼結積層造形)方式3Dプリントは、常に変化する製品とCNC旋盤との間で橋渡し役となるコレットパッドのような消耗部品を、手頃な価格でオンデマンド生産するための理想的なソリューション。

ニューヨークを拠点とするThe Factory Amsterdam(TFA)は、家電製品やガスタービンなどを取り扱う顧客向けに、自動化と迅速な納品に注力するマシンショップです。CNC機械加工から旋盤、レーザー切断、板金成形など、利用できる製造方法には事欠きません。しかし、部品製作を補助するツール、治具、固定具、マスク、補助具といった周辺治具の製作に関しては、社内で安価かつ柔軟、そして高い信頼線を持って対応できる方法を必要としていました。今回Formlabsでは、TFAのオーナーであるBradley Matheus氏に、Fuseシリーズ SLS方式3Dプリンタがいかにして生産用治具製作のコストを大幅に削減し、効率を向上させたかについて伺いました。

「短時間で納品するものがほとんどなので、考える必要がないことが助かっています。既存のツールでは掴めないような変わった形状があれば、これをいくつか放り込めば完了です。[Fuseシリーズは]こういった問題解決に非常に役立ってくれています」

The Factory Amsterdam オーナー、Bradley Matheus氏

ウェビナー

治具の高速・低コスト製作で金属加工を支える

自動化に特化したCNCマシンショップのThe Factory Amsterdam(TFA)は、FormlabsのSLS技術を活用することで柔軟性を高め、顧客ニーズへの迅速な対応を実現しています。このウェビナーでは、治具、固定具、その他のツールを3Dプリントするための段階的な手法の概要に加え、コスト分析、設計上の考慮事項、ベストプラクティスなどの実例を紹介します。

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カスタム消耗品の製作を150ドルから7ドルへ

SLS方式3Dプリント製コレットパッドを使用したCNC旋盤スピンドル

生産される各部品に合わせて金属部品をスピンドル内に確実に保持するため、カスタムコレットパッドが必要とされる。

3Dプリント製コレットパッド

SLS 3Dプリントは、写真のコレットパッドのように小型部品の製作に優れる。こういった消耗部品は3,000~4,000個の部品を生産する全工程を通じて、毎分3,000回転する旋盤から生じる半径方向の力に耐える必要がある。

TFAは、金属加工部品の生産注文を1,000~10,000個のロットで定期的に受注しています。同社のCNC旋盤は新しい製品タイプごとに調整が必要で、その方法の一つは交換可能なパッドを備えたスチール製コレットを購入することです。コレットはスピンドル内部に取り付けられ、加工する金属をしっかりと固定します。一方、パッドは取り外し可能なヘリサート型で、コレット全体を交換することなく様々な形状の加工物に対応できます。

こうしたコレットパッドは作業ごとにカスタマイズが必要なため、消耗品として標準化された機械と独自設計の製品との間を結ぶ橋渡し役を担います。「コレットで保持する部品の中には既に加工されて特殊な形状をしている状態のものがあるのですが、標準のコレットではそういった部品を適切に保持できません」とMatheus氏は言います。

新しい製品設計に対応するためには、部品や機械に合わせて変更可能な加工用コレットやマスターコレット、あるいは交換可能なコレット一式を購入する方法があります。しかし、いずれの場合にも依然としてコストと長い待ち時間が発生します。「加工用のコレットパッドは今でも1個あたり数百ドルしますし、納品までに約3週間かかります」とMatheus氏は言います。Fuseシリーズなら、必要な数のセットをオンデマンドで、1個あたりわずか7ドルで3Dプリントできます。

CNC旋盤用治具

その他の方法3Dプリントによる内製
設備CNC金属加工(外注)Fuseシリーズ、Nylon 12パウダー
コスト$150$7
製作期間3~4週間1日

Matheus氏は以前、これらの部品をFDM(熱溶解積層法)方式3Dプリントなどの他の技術で製作しようとしましたが、部品にはクリープや層間剥離の兆候が現れてしまったほか、旋盤加工時に使用するクーラントに反応してしまうなど必要な耐薬品性も得られませんでした。クーラントは石油系オイル10%と水90%の混合物で、ほとんどのプラスチックに対してかなりの侵食性がありますが、Nylon 12パウダーで作った部品はプロセス全体を通して優れた耐薬品性を発揮しました。「Nylon 12は確かに耐薬品性に優れていて、極めて良好な状態を保ってくれました」とMatheus氏は言います。

コレットパッド

SLS方式3Dプリント製コレットパッドは、スピンドルにシームレスに嵌合し組み込めるよう、高い寸法精度が求められる。わずかなズレでも旋盤加工の精度に問題を引き起こす可能性がある。

クーラントを使用するCNC旋盤

これらの治具は旋盤内のクーラント液に継続的にさらされる。クーラント液は半合成オイルでプラスチックの多くに対して侵食性があり、FDM材料を溶解してしまう。Nylon 12パウダーは耐薬品性があるためクーラント液による摩耗が発生しない。

Fuseシリーズを社内に導入したことで、Matheus氏はCNC旋盤加工のクランプ圧と半径方向の力に対応するために必要な精度と強度を備えたコレットパッドをカスタム設計できるようになりました。Matheus氏は、1セットのコレットパッドを100時間以上の生産(最大3,000部品)に使用しましたが、摩耗の兆候は見られませんでした。

「ノンストップで稼働させました。これはかなり要求の厳しい用途です。このパッドには非常に高精度なインターフェースが必要で、それを3Dプリントで正確に製作するのは本当に難しいのですが、そこでFuseシリーズの真価が発揮されています」

The Factory Amsterdam オーナー、Bradley Matheus氏

白い3Dプリント製治具を使用した溶接作業
技術資料

治具の高速・低コスト製作で金属加工を支える

本技術資料では、3Dプリンタを活用して金属加工用の治具や固定具、成形型などを製作する方法を解説します。実際のケーススタディでは、Formlabsのプリンタで耐久性、精度、耐熱性に優れ、過酷な環境でも高いパフォーマンスを発揮する治具を各企業がどのように製作し、現場で活用しているのかをご紹介します。また、治具のカスタマイズ性と複雑性を向上させながら、製作期間とコストを最大90%削減する方法にも注目します。

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マグネット組立治具

空のマグネット組立治具

マグネット組立治具を使用することで磁化部品の組立作業が大幅に容易になり、作業者の負担軽減や効率性の向上が実現する。

使用中のマグネット組立治具

量産時には加工後の部品に6,000個のN52グレードマグネット(強力な吸着力を持つマグネット)を取り付ける必要がある。この治具により、困難で作業負荷の高い組立プロセスが改善された。

3,000個の注文では、部品は加工後に2つのN52グレードマグネットで組み立てられます。この作業は過酷で時間がかかり、作業者の身体にも大きな負担がかかっていました。Matheus氏は、手動レバープレスでマグネットを供給・圧入できるプレス治具を設計し、プロセスの中で最も困難な部分を自動化しました。「マグネット圧入用の組立治具は用途ごとに高度なカスタマイズが必要なため、いずれにしてもカスタム治具を注文することになります。社内にSLS 3Dプリント能力があると、試作・検証プロセスが遥かに迅速になり、非常に高精度な部品を製作できます。この形状自体は加工でも作れますが、治具の製作にかかる時間は短いほど助かります。生産設備を他の作業に充てることができますから」とMatheus氏は言います。

自動組立治具の試作に取り組む一方、Matheus氏は暫定的な解決策として、人間工学に基づいた設計で大きな力を加えることなくマグネットを押し出せるマグネットプレッサーを開発しました。

人間工学に基づくマグネット組立治具は、マグネットの分離と製品への取り付けを容易にし、手作業が求められる困難な作業の多くを排除する。Nylon 12パウダーの強度と軽量性により、6,000個ものマグネットを扱う場合でも継続的な使用が可能。

依然として大部分が手作業のプロセスではあるものの、この新しい組立治具によって作業者の疲労を軽減し、2つのマグネットの取り付けにかかる時間を短縮しています。パウダーにかかるわずか数ドルのコストだけで製作可能な治具が、生産性を劇的に向上させ、納品の迅速化に貢献しています。

「Fuseシリーズのおかげで、以前なら不可能だったような遥かに堅牢な組立治具をコスト効率よく製作できるようになりました。おかげで試作・検証の反復もより迅速に行え、非常に高精度な部品を手間をかけずに製造することができます」

The Factory Amsterdam オーナー、Bradley Matheus氏

溶接作業の様子
ウェビナー

3Dプリントでカスタムの溶接治具を迅速に製作

迅速かつモジュール化可能な溶接治具を活用して加工プロセスを合理化し、金属部品のラピッドプロトタイピングや小ロット生産を高速化する方法をご紹介します。FormlabsのR&Dマシンショップコーディネーターが、設計ガイドライン、ツール温度研究、実例、コスト分析など、3Dプリント製溶接治具の製作方法とベストプラクティスをご紹介します。

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量産のユニークな側面

メーカーは、製品設計そのものよりも、その部品を何万回も製造するために必要な設備や工程を考案することの方が難しいということを理解しています。TFAのような中小企業は、必要とされる製品ならどんなものでも生産できる設備を持っていますが、加工による治具の製作は効率的とは言えません。

SLS方式3Dプリントを社内に導入したことで、Matheus氏の生産設備に余裕が生まれ、同時に高精度で堅牢な部品の供給も可能になりました。組立治具、グリッパー、ワーク保持装置などをFuseシリーズ SLSプリンタで社内プリントすることにより、事業の成長により集中することができます。

「組立工程ではすべてがオーダーメイドなので、既成のものを買ってきて使う、というわけにはいきません。ですから、社内に柔軟性の高い製造オプションがあるというのは非常に助かります」とMatheus氏は言います。

金属加工に関する詳細は、TFAと開催したウェビナーをご視聴いただくか、詳細な技術資料をダウンロード、またはお客様の用途についてスペシャリストまでご相談ください。SLSの品質を実際にお確かめになりたい場合は、無償サンプルパーツのリクエストを受け付けています。お気軽にお申し込みください。