Form 3+ vs Form 2 - Formlabsのデスクトップ3Dプリンタを比較

 

Formlabsの3Dプリンタ最新モデルForm 3+およびForm 3B+は、Low Force Stereolithography (LFS)™プリントエンジンをアップグレードしたモデルですが、これまで様々な業界で多くの設計者やメーカーで広くご利用いただいている、Form 2等のデスクトップ光造形 (SLA) プリンタと比較して、違いはどこにあるのか?とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回の記事では、2019年に発売したLFS™搭載機から最新のForm 3+まで、この数年間に弊社がSLA方式プリントプロセスに行った主な改善点を説明していきます。光造形プリントプロセスと光学エンジンを改めて開発し直した理由と、最も使い勝手が良く信頼性に優れたFormlabsの最新プリンタについて、以下をご覧ください。特に、デスクトップ3Dプリンタ、Form 3+とForm 2の違いに着目して説明します。

  • Formlabsの3Dプリンタの導入を今回初めて検討中で、最新、廉価、プロ品質の3Dプリンタをお求めの場合は、Form 3+から始められることをお勧めします。

  • 大容量3Dプリンタをお求めの場合は、最大造形サイズがForm 3+の5倍の、Form 3Lがベストな選択です。

以前よりForm 2をご利用のお客様向けの、弊社サポートサービスと消耗品の販売に関しては、サポートの継続についてをご覧ください。


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Low Force Stereolithography (LFS)™ (Form 3+) と光造形 (SLA)(Form 2) の比較

2015年、Formlabsが初めて、既存の工業用SLAプリンタよりも大幅な小型化と低価格化を実現した、高解像度SLA 3Dプリント機能を搭載したデスクトップ型プリンタを市場に投入しました。Form 2はまたたく間に業界トップクラスのデスクトップ3Dプリンタとなり、エンジニアやデザイナ、メーカー、歯科、宝石加工、その他多くの現場で作られた造形品の数は数千万点に上ります。2019年には、Form 2の優れた特徴をベースに開発したForm 3を発売し、現在までにFormlabsのプリンタで作られた造形品の数は1億点を超えています。

2019年にはSLAプリンタを一から開発しなおし、Low Force Stereolithography (LFS) を搭載したForm 3を発売。LFSとは、フレキシブルレジンタンクと確実なレーザー照射機能を備えた最新の光造形方式で、プリント品質とプリンタの信頼性が従来機よりも飛躍的に向上しています。LFSでは、造形品質、滑らかな表面仕上げ、ライトタッチサポート、その他多くの特徴や機能の向上を実現しました。 

2022年、Form 3+でLFSテクノロジーをさらに高度化し、造形品質をより一段と向上しプリント速度を大幅に高速化しました。Clear Resinの透明性はForm 2およびForm 3を使用した場合よりも大幅に向上し、Form 3+のClear Resinでは一段と高い透明度を達成しています。 

造形時にかかる荷重が低下

Form 2は、プリントプロセスの反転により、工業用光造形プリンタよりも遥かに小さな設置面積を実現しました。このプリントプロセスの詳細は、光造形完全ガイドでご覧いただけます。

上下を反転した状態で造形するSLA方式では、次レイヤーの造形に移行する際に造形物がタンク底面から剥離されます。この時造形物には剥離方向に力が生じるため、造形サイズが制限され、しっかりとしたサポート材も必要となります。Form 2ではこの剥離プロセスで生じる力 (ワイパーが積層ごとに左右に動く際に、XY軸方向にひずみが生じ、造形物のたわみにつながる) を抑えるキャリブレーションを実行することで、高品質の造形物をプリントし、より多くの現場で工業用品質の造形物を廉価で作製できるようになりました。 

そして、Form 3では、Low Force Stereolithography (ローフォース・ステレオリソグラフィー) テクノロジーを搭載して剥離抵抗を大幅に低減し、最終的な造形品質とプリンタの信頼性をさらに一段と向上しています。Form 3での主な改善点の1つが、タンク底部を柔らかいフィルムにしたことで、積層後の引き剥がし時にかかる抵抗が小さくなっている点です。

同じ模型をForm 2 (左) とForm 3+ (右) で造形して比較。

同じ模型をForm 2 (左) とForm 3+ (右) で造形して比較。

LFS™方式3Dプリントでは、表面粗さの原因になるこの剥離力が大幅に弱くなっているため、従来機よりも表面がすっきりと、透明度の高い造形物に仕上がります。

剥離力の低減がもたらすメリット:

  • 目視できる積層痕や表面粗さが低減、驚くほどの滑らかな表面と、ピッチ100ミクロンでも優れた透明度を実現し、全体的な表面品質が改善。

  • タッチポイントを減らしたライトタッチサポート構造でパーツからの取り外しが容易になり、清掃と仕上げ作業時間を短縮。

  • すべての材料でプリントの成功率が上昇、特に高粘度で未加工時の強度の低い材料での成功率の向上が顕著。 

剥離力が弱まることで、格段に優れた表面品質が実現し、サポート材の取り外しが容易になり、最先端の材料を活かした造形品への活用の可能性も広がります。最高品質の表面仕上げと、最も簡単な後処理をご希望の方には、Form 3+をお勧めします。

Delveマネジーングディレクター、Justen England氏

「取り外しやすいライトタッチサポートで、造形の仕上がりが飛躍的によくなりました。造形物をサポートから外す時の感覚は、あまりに軽くて、言葉では説明できないくらいです。造形中や、造形後の掃除のストレスがなくなって、設計と製作の方に集中できるようになりました」

光学エンジン

最も条件の厳しいアプリケーションでも精度要件を満たせる、Form 2に搭載された精密光学エンジンの評価は、時間を経るにつれ高まっています。Form 2は、繰り返して多数の精密な造形品を作製することが求められ、24時間365日稼働することも多い、歯科技工所でも利用されています。

Form 2はX、Y軸調整用に2個のガルバノメーターを搭載し、 プリンタ後部から固定された大型ミラーに向けてレーザー光を発し、反射させてプリント面に照射する仕組みになっています。

Form 3+ではこの軸の調整精度と安定性をさらに改善させ、システムの拡張性を実現しました。LFS 方式3Dプリンタには、X軸方向に動くLPU (ライト・プロセッシング・ユニット) を搭載しています。これは、1個のガルバノメーターがレーザー光をY軸方向に調整し、折り畳みミラーとパラボリックミラーに照射して、レーザー光が積層面に対して常に垂直に照射されるよう調整する装置です。 

Form 3+に搭載されたこのレーザーユニット (LPU) には、常時安定的にレーザー焦点を調整するためのレンズとミラーを内蔵しています。

Form 3+に搭載されたこのレーザーユニット (LPU) には、常時安定的にレーザー焦点を調整するためのレンズとミラーを内蔵しています。

Form 2や 3+程度のサイズの小型プリンタであれば、積層面への照射角のブレは目立ちませんが、プリンタ容量が上がるほど、垂直方向から安定的に確実にビーム照射することによる違いがはっきりしてきます。この照射精度を実現したことが、大型Form 3Lプリンタの開発にもつながっています。

このレーザーユニットには、レーザー光をクリーンにし焦点精度を上げるための空間フィルターと、高周波数対応のガルバノメーターを使用し、Form 2よりも高速でのプリントを実現しています。

Form 3+Form 2
XY軸分解能25ミクロンn/a
レーザー焦点サイズ85ミクロン140ミクロン
レーザー波長波長405nm波長405nm
レーザー仕様EN 60825-1:2007 認証取得EN 60825-1:2007 認証取得

注: Form 3+のプリント面への最大レーザー出力は180mWです。最大出力が常に達成できるものではなく、パーツ形状/プリントのステージによって大きく異なりますのでご了承ください。同じくForm 2のプリント面での最大出力は96 mWです。 

Form 3+およびForm 3Lに搭載したLPUは、Form 2よりも精度の安定性に優れた光学システムで、光学部品の故障が万一発生した場合にも容易に交換できるように設計されています。LPUの安定性向上によってForm 3よりも性能が向上したForm 3+のその他の特徴として、積層間のアライメント精度と最終的な表面の仕上がりの質の高さが挙げられます。

Form 3+およびForm 3Lは、レーザー光の精度とパーツ精度に優れ、長期間稼働しても安定的な造形品質を保つ優れたプリンタです。 

Form 3+ and Build Platform 2 webinar
Webinar

Form 3+およびBuild Platform 2のご紹介

パーツ作製時間が最短になった、新しいForm 3+とBuild Platform 2の概要をわかりやすく説明しています。

※本ウェビナーは現在翻訳中です。近日のアップデートをお待ちください。ウェビナー内容の詳細は[email protected]までお問合せください。

ウェビナーを視聴(英語)

ノンストップの連続生産をサポート

Form 3+は、弊社が最も信頼性に優れた3Dプリンタを目指して開発した製品です。一般消費者向けのアウトドアグッズメーカーのPeak Designや、プロダクトデザイン会社のGlassboardなどの企業が、1台のプリンタで複数のレジンで造形した革新的な製品を生み出し、ビジネスを拡大しています。

歯科業界の例ではPerfect Finish Ortho Labが、Formlabsのプリンタで毎週700個を超える口腔内装置を作製しています。Perfect Finishラボでは2016年のForm 2ご購入以降、続けて弊社Form 3、Form 3B、Form 3BLをご購入いただいています。現在、Formlabs製品が年中無休で稼働する同ラボのプレジデント、Phil Pelligra氏は、「何度も精密な模型を造形している暇がないため、安定した精度を出せるプリンタを求めていました。それが当ラボがFormlabsを使っている理由です」と語っています。

Formlabsのプリンタは、点検やメンテナンスの時間を短縮し、より多くの時間を設計や製作に注げることを目指して設計されています。 

Form 3+には新たに以下の特徴や機能を追加し、Form 2よりもさらに長い最大稼働時間を実現しました。

  • 内蔵センサー数を増やし、本体の状態検知と理想的な運転条件の維持を実現。点検等が必要な際にはアラームでユーザーに通知。本モデルにはダスト検知センサーも追加しました!

  • その場で部品交換が可能。レーザーユニット、レーザー用ウィンドウ、その他部品はその場で交換可能なため、24時間365日の稼働が可能です。Form 2の部品の一部もユーザーが交換可能で、弊社の過去の交換実績に基づいてよりわかりやすい交換手順をお伝えします。

  • 故障検知および操作性が向上し、難しい形状にも挑戦しやすくなりました。Form 3プリンタ3には、プリントに失敗した場合の除去を容易に行える、クリーニングメッシュのプリント機能を搭載しています。

  • 造形後の清掃が容易に。造形に失敗した場合は、プリンタ画面からクリーニングメッシュプリント機能を実行して、レジンタンク内に残った樹脂を直接プリンタから取り除きます。Form 3+では、SLAで造形した後の後処理が、これまでのモデルの中で最も容易に行えるようになっています。

  • 積層ピッチ調整機能。積層ピッチ調節機能は、すべての材料に使用可能な最新のプリントモードです。PreFormにインポートされたパーツを分析し、パーツの形状に基づいたスライスデータ上で積層高さを割り当て、最短造形速度で精細な造形を行います。

  • 世界トップクラスのサポート。サポートが必要になる場面は千差万別です。Formlabsではお客様の現状を良く理解したサポート専門の担当者が直接対応しています。

Form 3+の発売に向けてFormlabsエンジニアが特に力を入れたのは、Form 2およびForm 3を上回る温度コントロール性能の向上です。

レジンの硬化プロセスと粘度は温度に大きく左右されるため、レジン温度のコントロールは極めて重要です。Form 3(B) では本体から空気が出ていく開口部近くで温度を測定していたため、測定温度がプリンタの周囲温度の影響を受けやすくなっていました。

Form 3(B)+ では、レジン自身の近くで温度を測定するよう加熱システムの設計を見直し、温度の検知性能を上げ、より広い周囲温度範囲で、これまでよりも短時間内に安定して次のプリント動作を開始できるように改善しました。

充実した機能でプリント本体の点検に要する時間を減らし、設計や製作にもっと集中できる、一段上の信頼性を実現しているのがForm 3+プリンタです。

RightHand Roboticsのメカニカルエンジニア、Nick Payton氏

「Form 3+は、多くの予備知識なしで良品を製作することが可能なプリンタです。プロダクトデザインも優れていると思います。表面の仕上がり状態も従来よりも良くなっていますし、サポートは小さく、全体にクリーンに仕上がってくるという印象です。無駄な作業が減った分、良いパーツが作れるようになりました。たとえば "ここの寸法をちょっと調整したい" と思ってから実際にロボットで試してみるまでが、数日ですから、すべてがスピードアップしたという実感がありますね。外注していたら、設計サイクルをここまで短縮することはできません。」

リモートプリント機能でどこからでもプリントが可能に

プリンタから離れた場所で急ぎの依頼があった場合でも、Form 3+であれば、どこからでもプリントを実行することが可能です。作業場を離れる前にプリンタのプライム設定をしておけば、世界中どこからでも(ローカルネットワークの外からでも)次のプリントジョブを開始できます。

Form 3+のリモートプリント機能でどこからでもプリントが可能に

Form 3+のリモートプリント機能でどこからでもプリントが可能に

使い慣れた手順が、さらに使いやすく

以前にForm 2を使用した経験のある方なら、慣れた感覚でForm 3+を使うことが可能です。Formlabsのプリンタは、初めて使う方にもなじみやすいワークフローで使っていただけます。初めての方に早く使い方に慣れていただけるよう、また既存のユーザーの方にはさらに効率の良い使用法を知っていただけるよう、プリンタモデル別のサービス & トレーニングをご用意しています。

基本的なプリントプロセスは、設計データをPreFormにインポートし、豊富な材料ライブラリから材料を選択し、互換性あるカートリッジを挿入し、プリントをクリックする、という流れです。自動後処理装置、Form WashおよびForm Cureは、同じビルドプラットフォームを使用しているForm 2とForm 3+の両方に対応しています。

同様に、Form 3+と同時に発売された新しいBuild Platform 2は、Form 2、Form 3、Form 3+に搭載可能です。Build Platform 2には特許取得済みのクイックリリーステクノロジー(Quick Release Technology)を搭載しています。これはビルドプラットフォームからのパーツの取り外しが格段に容易になり、後処理時間を短縮する、SLA方式プリントのワークフローを根底から変えるテクノロジーです。 

Form 2ユーザーの皆様: PreFormのソフトウェアアップデートの提供は今後も継続します。Formlabsプリンタ製品のソフトウェアは全モデル共通です。プリンタの機種構成にかかわらず、使い慣れた共通のソフトウェアツールを使ってプリンタを運用していただくことが可能です。 

Form 3+には新たな特徴を備え、これまでよりももっと使いやすくなりました。

  • 大型化、解像度を上げて見やすくなったタッチスクリーン。一部の操作にボタンを使用していたForm 2とは異なり、Form 3+の操作はすべて、タッチスクリーンから行うことが可能です。大型タッチスクリーンは、将来の操作スクリーンの多言語化にも対応します。

  • LEDインジケーター2個と音で、近くの人にわかりやすく異常を知らせます。

  • リニューアルしたスタイリッシュな外観と、垂直に開くカバー、レーザー部品へのレジンの付着を防ぐウィンドウ、ユーザーが容易に交換可能な部品。

Form 3+Form 2
プリンタ操作部5.5インチ インタラクティブタッチスクリーン、解像度1280 × 7204.3インチ インタラクティブタッチスクリーン、解像度480 × 272、押しボタン
アラート機能タッチスクリーンのDashboardでアラートのSMS/Eメール送信設定、LEDステータスインジケーター2個とアラーム音スピーカー搭載タッチスクリーンのDashboardでアラートのSMS/Eメール送信設定

材料およびアクセサリーは相互に互換性があり、ソフトウェアは共通ですので、Form 2プリンタとForm 3+プリンタを並べて設置したライン構成としても容易に運用が可能です。

従来どおりの充実した材料ライブラリと、新しいプリント手順

LFSの機能向上に伴って、一部の材料はForm 3またはForm 3+のみで使用可能となります。電子部品の生産ラインにおけるリスクの低減と、歩留まり向上を目指して開発された新材料、ESD Resinもそのような材料の1つです。ESD Resinは生産現場での使用向けに開発された静電気散逸性パーツ製作に適した、費用対効果の高いレジンです。

Form 2のサポートは継続し、今後もサポート付きで材料の販売を継続いたします。ただし、LFS (Low Force Stereolithography) には最新のワークフローが必要になるため、今後発売される材料のプリンタとの互換性を保証するものではありません。

Form 3+: 次世代の工業用SLA方式プリンタ

Formlabsの3Dプリンタは現在、試作品の作製ツールから様々な段階へと活用が広がり、ビジネスの躍進に欠かせないツールとなっています。3Dプリンタの基準を変えたForm 2は、これまでよりもさらに購入しやすい価格で、工業品質の3Dプリントの内製を実現します。

Formlabsは、Form 3+ (およびこの大型版のForm 3L) に搭載したLow Force Stereolithography (LFS) プリントプロセスで、プリントプロセスを再設計し、これまでよりもさらに高い信頼性と幅広い用途を備えた内製向けのファブリケーションプラットフォームを実現しました。