高耐熱性部品を3Dプリントで:High Tempレジン活用法

Formlabsは2018年、デスクトップSLA光造形3DプリンタForm 3+およびベンチトップ大容量SLA光造形3DプリンタForm 3Lに対応するエンジニアリングレジン製品として、高耐熱性材料であるHigh Temp V2レジンを発売しています。

このHigh Temp V2レジンは、Formlabsの3Dプリント用レジンにおいて最も高い荷重たわみ温度(HDT)を持ち、高い耐熱性を備えた高精細な部品をプリントいただけます。本レジンは、二次硬化後に熱硬化を行った後の荷重たわみ温度(ASTM D 648-16準拠)が0.45MPaの荷重下にて238℃となっており、脆性を低減するため靭性を向上しています。

High Tempレジンは、その前バージョンであるV1をリリースしてから約1年間、High Tempを活用されている様々なエンジニアやプロダクトデザイナーの方々からお話を伺い、その用途や強み、改善の余地を探ってきました。その結果、本レジンが市場内で販売される他製品と比較しても非常に優れた特性を持っていることがわかりました。このV2レジンは、お客様からのフィードバックを反映して更に一歩改善を重ねたことで、さらに優れた材料となっています。

3D printed molds for thermoforming
White Paper

3Dプリントによる樹脂型製作

3Dプリント製金型の使い方にご関心がありますか?軟質材を使った熱成形や鋳造の解説も含むホワイトペーパーをダウンロードしてご確認ください。

※本ホワイトペーパーは現在翻訳中です。近日のアップデートをお待ちください。本資料の内容についてのお問合せは[email protected]までお問合せください。

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活用幅を広げるHigh Tempレジン

このHigh Tempレジンは、多彩な業界のエンジニアによって数多くのユニークな用途に活用されています。本レジンの優れた材料特性を活用するために、FormlabsのSLA光造形3Dプリンタを導入される企業もありました。
イノベーションを起こすエンジニアたちが、本レジンをどのように活用し、試作品製作や製品製造に活用しているのか、以下にて是非ご確認ください。

製品開発:熱風、ガス、流体用部品

試作用材料として販売される材料の多くは高温環境下で変形してしまうため、高温に晒される試作品の機能確認は困難なケースがままあります。高温の液体や蒸気に触れても変形せず、吸水性の低い高密度な部品を3Dプリントすることで、製品開発プロセスにおけるあらゆる検証試験の様々な段階でコストを削減し、試作と検証のイテレーションをより高速化することができます。

高温環境下での検証が必要な試作品製作にはHigh Temp レジンをご選定ください。

  • キッチン家電
  • 化粧品のカプセル化
  • マイクロ流体デバイス
OXOはコーヒーメーカーのBarista Brain 9の設計プロセスにおいて、High Tempレジンで熱湯に触れる機能部品の試作品を製作している。

OXOはコーヒーメーカーのBarista Brain 9の設計プロセスにおいて、High Tempレジンで熱湯に触れる機能部品の試作品を製作している。

「コーヒーメーカーの内部部品の試作には、Formlabsの光造形機でHigh Tempレジンを採用しています。沸点に近い温度の熱湯が部品の中を流れるため、他の試作用材料では変形してしまいますが、High Tempレジンは問題なく耐えることができます。」

—Mack Mor氏 OXO シニア・プロダクトエンジニア

Sample Part
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High Tempの無償サンプルパーツ

実際にFormlabsのForm 3+で造形したHigh Tempレジンのサンプルパーツを無償でお届けいたします。Formlabsの品質を貴社にてご検証ください。

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検証試験・実験:取付部品、筐体、治具

電子機器や精密機器にとって、熱は大敵です。自動車や航空宇宙などの産業における検証試験や実験では、多くのサブシステムを同時に動作させながら制御・監視する必要があります。

多くの設計者は、設計・試験・検証のサイクルを短縮し、機能のパフォーマンスに関する問題の根本原因を迅速に解明し、より有用性ある信頼性の高い製品を作るため、この段階で高温に耐えられる試作用材料を求めています。

High Tempレジンは、以下のような試験にご活用いただけます。

  • 筐体内に機能部品を設置する試作品
  • 産業機器内へのカメラ設置
  • 風洞試験用センサの取付

生産工程:金型、インサートなど

High Tempレジンは、高い耐熱性や精度、滑らかな表面品質により、熱成形や射出成形などの金型(樹脂型)やインサート、治具等の製作に使用し、試作用の簡易型や実際の部品を製造することもできる材料です。

3Dプリント製の金型を活用することで、低コストな小ロット生産が可能となり、100万円以上を要する量産用金型を製作する前に金型の設計を検証することができます。

High Tempレジンでは以下のようなものが製造できます。

  • 航空宇宙および自動車用炭素繊維部品(ハンドレイアップ等)
  • ジュエリー用加硫ゴム成形の金型
  • 射出成形用金型のインサートや試作用簡易型
  • 電子部品のはんだ付けやコーティングのための保護マスク
Googleの社内技術インキュベーターであるATAP(Advanced Technology and Projects group)は、新たなウェアラブルデバイスを製造するオーバーモールドの調整を高速化するため、High Tempレジンで数百個のダミーPCBを製作している。

Googleの社内技術インキュベーターであるATAP(Advanced Technology and Projects group)は、新たなウェアラブルデバイスを製造するオーバーモールドの調整を高速化するため、High Tempレジンで数百個のダミーPCBを製作している。

「3Dプリントされた材料で工具を止め、高圧射出を行い、しかもバリが発生しないというのは、ちょっと他では無いことです。もしForm 2とHigh Tempレジンが無かったら、こんなことは実現できなかったと思います。製品をフルに動作させた時、この製品が上手くいくことを確信しました。」

—David Beardsley氏 Google ATAP モデルショップマネージャー

Google ATAPチームは、Form 2とHigh Tempレジンで、以下のことを実現しました。

  • 250℃以上、27,000psi(186MPa超)で射出されたTPUのオーバーモールドに耐えるHigh Tempを使用し、サロゲートインサートを3Dプリント。
  • 電子部品サブアセンブリのコスト最適化により1,000万円以上を削減(人件費を考慮すると削減幅は更に大きい)。
  • 複雑なサプライチェーンを回避し、PCBAインサートの量産前検証試験サイクルを3週間から3日に短縮。

Google ATAPのインタビュー記事にて、同社がHigh Tempレジンをどのように活用し、新たな種類のウェアラブルデバイスの製造を短期間で進捗させ、アディティブマニュファクチャリングと量産の橋渡しをしたのかをご確認ください。

新たな材料で業務も一新

Googleの社内技術インキュベーターであるATAP(Advanced Technology and Projects group)は、新たなウェアラブルデバイスを製造するオーバーモールドの調整を高速化するため、High Tempレジンで数百個のダミーPCBを製作している。

Googleの社内技術インキュベーターであるATAP(Advanced Technology and Projects group)は、新たなウェアラブルデバイスを製造するオーバーモールドの調整を高速化するため、High Tempレジンで数百個のダミーPCBを製作している。

Formlabsの材料科学者チームは、常に新たなレジンの開発を続けています。私たちにとって最もエキサイティングな成果の1つは、既存のFormlabsデスクトップ3Dプリンタ製品に新たな材料をデビューさせることで、全く新しい事業の可能性を切り開くことができた時です。

私たちは、High Tempレジンの幅広い使用事例を非常に嬉しく感じています。Formlabsユーザーの皆さまが、プロダクトデザイン、エンジニアリング、そして製品製造の分野でこのHigh Tempレジンによる3Dプリントの新たな活用方法を発見されることを願っています。