NASA、Formlabs製の部品をSpaceX Dragonの補給カプセルに搭載し宇宙へ送り出す

NASA と SpaceX の協働による Dragon Resupply Capsule

Space Xのドラゴンカプセル(写真提供:NASA ゴダード宇宙飛行センター)。

Formlabs、ISS 補給ミッションに参加へ

Space X は今年の夏、25回目となる国際宇宙ステーション(ISS)への商業補給サービス(CRS-25)ミッションを打ち上げます。貨物カプセルには、ISSに滞在するクルーのための食糧や設備が 4,500ポンド(約4,500kg)分搭載される予定です。このミッションは、Space X と NASA が現在結んでいる貨物契約の一環として、両社の協力とパートナーシップのもと実行されます。 

CRS-25 フライトの輸送設備の中には、Form 3 SLA 光造形プリンタで造形し電解めっきを施したサンプルパーツも含まれます。Alpha Space の国際宇宙ステーション試験プラットフォーム「国際宇宙ステーション材料曝露実験装置(MISSE-16)」を使用し、サンプルを宇宙ステーションの外部環境に晒した後、さらなる試験のために地球に戻します。NASA は最近の発表において、別の実験の目的と、3D プリントがプロジェクトの有効性にどのように影響するかについて語っています。 

3D プリント後にめっき処理を施した今回のサンプルパーツは、宇宙空間の過酷な環境に晒される予定で、NASAや他の航空宇宙メーカーが電解めっき処理とアディティブマニュファクチャリングを将来の製品計画にどう組み込むかについて、有益な洞察を提供できる可能性があります。

NASA ゴダード宇宙飛行センターのエンジニアは Formlabs プリンタの造形品に工夫を重ね、今回送るブラケットの強度を最大限に高められるよう、デザインの最適化を進めてきました。これらの造形品は、耐熱性や耐薬品性に優れた硬質のガラス充填材料であるRigid 10K レジンでプリントされました。

Rigid 10K レジンを使った造形品の強度試験。

Rigid 10K レジンで造形したラティス構造の圧縮試験用サンプル(左)と、上部から圧力をかけた試験後のサンプル(右)。

破壊された Rigid 10K レジンの試験パーツ。

軽量・高強度・オフガス低減を目的としためっき処理

電解めっきが施された Rigid 10K レジンの造形品は、強度が向上するとともに、造形品から発生するオフガスの量も低減されます。めっき処理専門業者のRePliFormが行った処理により、同じ用途で使用される従来の切削加工部品よりもはるかに軽量な部品に仕上がりました。ゴダードのチームは、通常の加工工程よりもはるかに短時間で、デザイン、プリント、試作・検証の反復、再設計を行うことができました。すべてのコンポーネントやプロセスのコストを算出する必要がありますが、人件費の削減や加工費用の排除、社内での試作・検証プロセスの反復などにより、予算への全体的な影響を軽減することができました。

Rigid 10K で造形しめっき処理を施したサンプル。

Rigid 10K レジンで造形し電解めっき処理を施したラティス構造の圧縮試験用サンプル(左)と、上部から圧力をかけた試験後のサンプル(右)。
 

Rigid 10K レジンで 3D プリントし電解めっきを施した部品が ISS に送られる。

Rigid 10K レジンで 3D プリントし電解めっきを施した部品が ISS に送られる。
 

3D プリントと電解めっき
技術資料

金属の強度を手に入れる:SLA 光造形品の電解めっき方法と活用事例

本技術資料では、レジンで 3D プリントした部品の金属コーティングに取り組むエンジニアの事例、そしてハイブリッド金属による実製品用部品の強度・耐久性の向上や用途の拡大といった新たな可能性について詳しく解説しています。

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