業務用3Dプリンタ選定時に知っておくべき6のこと

Form 3 光造形

その情報、本当に正しい?
誤解だらけの3Dプリンタ選定方法

企業の上層部を含めた使用経験のない方、馴染みの薄い方にとって、3Dプリンタというものは正確なイメージを掴むのが難しく、それがために誤解されることも多い製品と言える。3Dデータさえあれば、どんなものでも形にできる、3Dスキャナでのスキャンデータをそのままプリントできる等は、その最たるものと言えるだろう。実際は、3Dプリンタにはそのプリンタごとに得手不得手があり、そもそも3Dプリントだけで全てが完結できないケースもある。

とは言え3Dプリンタには、コストや期間の短縮、つまり効率化やアジャイル化におけるメリットの他にも、あり得ない形状を具現化できる、すぐにその場で当日中に形にできる、等の魅力的な利点は確かに存在する。そしてそれこそがグローバルに3Dプリントが急速に普及している理由だ。つまり、目的に合ったものを選定し、使いこなす術を習得しさえすれば、3Dプリンタはユーザーのアイデア次第では魔法の箱にだってなり得る。道具である以上、使い方次第というわけだ。

それを企業で導入するとなった場合、可能な限りリスクを下げ、有用性が確実に担保できる形で導入したいと考えるのが自然だろう。本ダイジェスト記事では、各項目で知っておくべき事項の詳細は最終ページからダウンロード可能なフルバージョンに委ね、知っておくべき6つのことの概略をまとめる。本記事で全体像を掴んだら、具体的検討に入る際には是非フルバージョンをご一読いただき、可能な限り良い形で3Dプリントの導入を行っていただきたい。

FDM vs SLA vs SLS video guide
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1. 精度に解像度や積層ピッチは関係ない

実際には無関係ではないものの、「3Dプリンタの精度=プリンタの解像度/積層ピッチ」という考え方は、3Dプリンタにまつわる誤解で最も多いものの1つだ。確かに3Dプリンタはデジタルでのものづくりだが、カメラとは違う。3Dプリンタの精度に最も大きく関わる要素。それは、造形方式、材料、最後にプリンタの解像度などスペックだ。本記事では、そのうち最も影響度が大きく選定を進める上でも基本となる造形方式をピックアップしておきたい。

造形方式とは、読んで字の如くものを作る際の方式、やり方を指す。作り方が違えば出来栄えも変わってくるのが当然で、そのため各造形方式には得手不得手が存在する。要件定義を行う際には、この得手不得手を理解し、その用途に適した造形方式を特定する、あるいは絞り込むことが選定の第一歩となる。

主流となっているのは上記3種の方式。このうちFormlabsではSLAとSLS方式を採用している。

 

現在主流と言われる造形方式には、ロール状のフィラメントと呼ばれる線材を熱で溶かし、ノズルから押し出して積層するFDM(熱溶解積層)方式、液体のレジンと呼ばれる光硬化性樹脂をUV光で硬化させるSLA(光造形)方式、そして粉末状の樹脂材料をレーザーで溶かす等して造形するSLS(粉末焼結積層造形)方式の3種がある。ここからは各造形方式の特徴とメリット/デメリットを整理するが、前提として造形方式自体には良い/悪いはない。あるのはその用途に向いているかどうかというユーザー個々のニーズへの適性だ。その点を念頭に、ご自身が作りたいものに合致した造形方式を選定いただきたい。

 

各造形方式の一般的な特徴まとめ

フルバージョンでは、実際の造形品の比較画像を用いて各造形方式の特徴を解説しているほか、各造形方式ごとに異なる「解像度」の定義にも踏み込み、実際の選定時に最初の難関となる自社/自部門の用途に合った造形方式の絞り込みをサポートする。

 

2. どんな材料が使えるのか確認する

3Dプリンタ選定時には、当然どんな材料が使えるのかを確認することも非常に重要だ。例えば電子部品や半導体チップの生産ライン等では、静電気散逸性(静電気拡散性とも呼ばれる)を持った、いわゆるESD対策材料で治具やツール関係を製作する場合が多い。このESD対策材料が使用できるのは、ほとんどがFDM方式だが、Formlabsは光造形方式で唯一「ESDレジン」というESD対策材料が使用できる。このようにメーカーやプリンタの機種によって使用できる材料はまちまちではあるものの、大きな枠でそのプリンタで使用する材料がどのタイプの樹脂になるのかという点も重要だ。

FormlabsのSLA光造形プリンタでは、光造形で唯一ESD対策材料が使用できる。チップトレイやPCBボードのホルダ等、幅広く精度が必要な治具・ツールを製作できるが、それ以外にも幅広く利用できる点が魅力だ。そのためFormlabsのSLAプリンタはレジンをカートリッジ式にしており、数秒で別材料に切り替えられる。

各造形方式ごとの樹脂の種類

まずは材料面で最も基本となる樹脂の種類について、方式ごとの違いを押さえておこう。ABSやPPなど一般的な材料は殆どが熱可塑性樹脂と呼ばれるもので、その名の通り熱を加えると柔らかくなり塑性変形を起こす。対して光造形の3方式は熱硬化性樹脂の仲間である光硬化性樹脂を使用する。耐熱性という点では当然、熱可塑性よりも熱硬化性の方が優れているものが多く、光造形方式では、FormlabsのHigh TempレジンのようにFDM方式やSLS方式以上に耐熱性の高い材料を使用できるケースがある。

一方で、光硬化性樹脂でABSなどを使用したい場合はABSライクといった非常に近い機械的特性を発揮できるよう開発された相当材を使用することとなり、全く同じ材料ではない。しかし光硬化性樹脂では金型に対応できる耐熱性と強度を兼ね備えたRigid 10Kレジンのような材料も近年登場している。フルバージョンでは材料選定時に必要な物性値の見方や導入前に必ず実施しておきたい検証方法なども詳しく解説する。

 

3. 一度にプリントする点数やサイズは

造形方式ごとの特徴や材料の判断基準を把握できれば、候補の中から一次選考を行い、ある程度の絞り込みが可能になるはずだ。次の段階で考えたい点は、1回にプリントしたい点数や造形品のサイズだ。

造形点数やサイズは、実際に購入するプリンタの最大造形サイズの選定基準となる。最大造形サイズが大きなプリンタは当然大型になり、プリンタの価格もその分上がってしまうものの、最大造形サイズが大きなプリンタは大型造形を行う以外にも、実は平面上に複数点モデルを配置して、一度にある程度の数量をプリントできるという使い方が主流だったりする。

ある程度の点数を一度に造形したいというニーズは多く、それが内製で実現できればコスト的にも時間的にも、外注とは比較にならない程の効率化が実現できるだろう。実際に3Dプリントで製作したい試作品のサイズだけを考えてプリンタを選定しようとする方は多いが、特に試作を高頻度で行う場合は最大造形サイズが大きいものを選定し、複数の試作品を一度に造形する効率を考慮してみるのも良いだろう。

先ほど紹介したESDレジンで制作するICチップトレイの場合、デスクトップサイズのForm 3+では一度に3枚、大容量機のForm 3Lでは一度に12枚がプリントできる。この効率差は一考に値する。

4. 専用ソフトウェアの差は見落としがち

多くの3Dプリンタメーカーは、専用のスライサーソフトと呼ばれる造形準備ソフトウェアを無償で提供しており、Webサイトからダウンロードすることで事前に操作感や機能を確認することも可能だ。この専用ソフトウェアは、造形の向き、角度、サポート材の付け方といった造形設定を行うのが基本で、FormlabsのSLAプリンタのように積層ピッチが設定で変更できる場合は、それもこの専用ソフトウェアで行う。

例えばFormlabsの造形準備ソフトウェアのPreFormでは、向きや角度、サポート材の付け方は誰もが簡単に行えるよう、ソフトウェアが自動でモデルの形状や重量を分析し、向きや角度、サポート材の付け方を自動生成するアルゴリズムが搭載されており、ワンクリックプリントボタンをクリックすれば、それらの設定を全て一括で自動生成することも可能だ。

 

でも恐らく一番重要な点は・・・

こうした専用ソフトウェアは、いわゆるソフトウェアとしてコンピュータにインストールして使用するタイプのものと、クラウドベースでコンピュータへのインストールが不要なものに大別される。ソフトウェアタイプは、ソフトウェアのアップデートが入った際に都度アップデート版のインストールを行わなければいけない点がデメリットとなるが、オフライン環境でも使用できる点、そして急ぎの作業や重要な作業に入る前ならアップデートを保留すれば、思いがけないアップデートでの混乱やエラーを回避できるメリットもある。

対してクラウドタイプの場合はコンピュータにインストールする必要はないが、造形設定後のプリント用ファイルをクラウド上に保存するものが多く、コンピュータ上にダウンロードして保存できないものも存在する。この場合は第三者が管理するクラウド上に自社の3Dデータが保存されることとなるが、アクセスできる人数によって料金が変動したり、保存データ容量に応じて料金が発生するケースもある。また、特に近年注意が必要なのは、自社のITセキュリティポリシーだ。第三者が保有・管理するクラウド上にデータを保管するという点を、ITポリシーや機密保持ポリシーで禁じられているケースもあるため、自社のポリシーに専用ソフトウェアが適合するかどうかを確認しないまま購入してしまうと、買ったは良いが使わせてもらえないといった思わぬ落とし穴に引っかかるリスクがあるのだ。

フルバージョンでは、専用ソフトウェアのメリット、特に誰もが簡単にモノづくりができる世界を目指すFormlabsの専用ソフトウェアPreFormに備わる、瞬時に3Dモデルの形状や重量をアルゴリズムが解析して最適な造形設定を自動で行うワンクリックプリント機能なども紹介する。

  

PreForm one click print

5. 導入後の運用を考えてみよう

ここまで来れば、要件定義はほぼ固まっているはずだが、ディテールを詰めておくという意味で導入後の運用を具体的に想定しておくことはコスト面に限らず重要だ。本ダイジェスト版では網羅しておくべき項目を簡潔にまとめ、詳細の解説はフルバージョンにて行っていく。

3Dプリンタ 消耗品 造形方式

3Dプリンタの消耗品の品目は、造形方式によっておおよそが決まる。後は選定した機種固有の消耗品がないか確認しておこう。

 

導入後の運用におけるポイント

導入後の運用という点では、もちろん運用にかかる材料や消耗品等のランニングコストは重要だ。消耗品の品目、種類や数も造形方式によって、そして個々の機種によって違ってくる。しかし確認しておきたいのはチーム内の全メンバーが苦労なく取扱ができるのか、後処理工程にはどのような作業があるのか、選定の候補にはプリントだけでなく後処理を効率化できる装置もあるか、そしてアフターサービス面ではサービスプランやその内容だけでなく、いつでもすぐ参照できる資料などもチェックしておきたい。

  1. 3Dプリンタの操作・運用方法:誰もが扱えるか、後処理作業の必要物や所要時間など
  2. 消耗品とそのコスト:造形方式ごとの基本消耗品目を把握。機種固有の消耗品も確認。
  3. アフターサービス:製品保証やサービスプランとその価格。

 

6. マネジメント視点で導入を俯瞰してみよう

 

導入の初期コストと導入後の運用コスト

ここまでの選定時に、コスト面はほぼ把握できているだろう。一方で、今現在のやり方でどの程度のコストが発生しているのかを把握し、比較するという作業はどうだろうか。試作にせよ製造にせよ、現在外注を行っている場合は金額的なコストだけでなく、期間というコスト、そして社外の委託先に対する要件説明の労力というコミュニケーションコストも考慮しておくべきだろう。

3Dプリンタを導入するということは、多くの場合で内製比率を向上することを意味する。自身の部門が担当する製作/製造品目を製作期間とコストを含めてリスト化し、そのうち最大で何パーセントを内製化できるのか、最低では何パーセントか。この割合を最高と最低の2種のラインを設定して現実的に見積もることができれば、より正確に具体的に現状からの向上幅を割り出せるはずだ。当然すべての業務を3Dプリントで賄うことは難しいが、現状よりどの程度の向上が見込めるのかという点は、企業としては重要だろう。

フルバージョンでは、社内提案前にまとめておきたい情報としてコスト面以外に考慮しておくべき項目をまとめ、ROI(投資対効果)の算出についてもどのような計算方法を採れば、より正確に導入による向上幅を予測できるかを解説する。また、フルバージョンの最後には3Dプリンタ選定時のチェックリストを掲載した。低リスクかつ高い有用性が確実に担保できる形で新技術を導入するには、自部門がその3Dプリンタで作りたいものの要件定義をしっかりと行う必要がある。是非フルバージョンを一読して、可能な限り良い形で3Dプリントの導入を行っていただきたい。

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本ダイジェスト記事にて選定時に網羅すべき事項の全体像の概略を把握したら、具体的な検討に入る際に本書フルバージョンを以下ボタンよりダウンロードしておこう。「3Dプリント導入チェックリスト」も活用しつつ、知っておくべき6つのことを参考に、低リスクかつ確実に有用性が認められる良い形で、3Dプリントの選定・導入をお進めいただきたい。