3Dプリント方式の比較:SLA vs DLP/LCD ― 光造形の各方式を比較

SLA vs. DLP 3D printing technology - quality comparison

世の中にはさまざまな3Dプリントの造形方式が存在し、それが選定時の分かり難さを助長しているかも知れません。しかし、各造形方式の特徴を理解することで、その造形方式によるプリント品に期待できるものが明確になります。精度や造形品の強度以前に、3Dプリンタの選定においては意図する用途に最適な造形方式を決定する、あるいは絞り込むことから始めることをおすすめします。

3Dプリントにおける光造形方式には、SLA(Stereolithography)とDLP(Digital Light Processing)、そしてLCD(Liquid Crystal Display)という3つの方式が存在します。光造形方式の3Dプリンタは、さまざまな先端材料で高い精度、強度の等方性(負荷を受ける向きが変わっても同じ強度を示す物性)、そして気密性を備えた試作品や部品を複雑かつ微細な形状や滑らかな表面を持って製作する目的で広く普及しています。 

かつては、この光造形方式は扱いが難しく高いコストが必要でしたが、現在ではデスクトップ型と呼ばれる小型の光造形3Dプリンタが低コストで導入でき、工業品質の造形品質を備え、幅広い材料に対応することで、非常に幅広い用途で活用されるに至っています。

光造形は、いずれのプロセスも液体のレジンと呼ばれる光硬化性樹脂(熱硬化性樹脂の仲間)に紫外線光を選択的に照射して1層ずつレジンを硬化させ、それを積み重ねて3Dモデルを造形する仕組みになっています。原理的には非常に近いこれらの方式ですが、この3つの方式では得られる成果物がやはり異なります。

本記事では、光造形3Dプリントの詳細を解説し、解像度の定義の違い、それぞれの精度、造形サイズ、スピード、作業手順(ワークフロー)などを比較していきます。

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SLA方式の仕組み

デスクトップ型のSLA 3Dプリンタには造形スペースの下部に、底部が光を透過できるよう透明となっているレジンタンクがあります。ここに液体のレジンを一定量溜め、下方から紫外線レーザーを照射することでビルドプラットフォームと呼ばれる造形面とレジンタンク底部の間で造形を行います。

デスクトップ型などの小型の光造形3Dプリンタは、ビルドプラットフォームが上、レジンタンクが下にある形となるため、造形は上下逆さまに行われ、積層開始時はレジンタンク底部まで降下してくるビルドプラットフォームが、積層が進むにつれて上に上がっていきます。このように上下逆の状態で造形するものを「吊り下げ式」と呼ぶこともあります。

How do SLA 3D printers work

造形プロセスとしては上述の通り、ビルドプラットフォームがレジンタンク内まで降下し、ビルドプラットフォーム(2層目の造形以降は直前に造形した層)とレジンタンク底部の間に1層分の高さ(=積層ピッチ)と同じ隙間を作ることから始まります。レーザーは2つのミラーガルバノメータに照射され、一連のミラー上の正確な座標に光を導き、タンク底部を通してレーザーの焦点を形成し、1層分のレジンを硬化させます。 

1層分の硬化が完了すると、ビルドプラットフォームが上に移動してその層はレジンタンクの底から引き剥がされ、新たな液体レジンがレジンタンク底部に流れ込み、また次の1層分の隙間を作ります。このプロセスを繰り返すことで、SLA方式は造形を行います。

Form 3+Form 3Lが採用しているFormlabs独自の特許技術であるLFS(Low Force Stereolithography™)テクノロジーは、このSLA 3Dプリントをネクストレベルに進化させる技術です。 

旧来のSLAでは中央に固定されたミラーからビルドプラットフォーム上の各所にレーザーが照射されるという構造のため、ビルドプラットフォーム中央では真円となるレーザーの断面が、端部ではレーザーに角度が付くため断面が楕円状となり、造形精度が低下するリスクがありました。

そこでLFSテクノロジーは、光学系部品が可動式のレーザーユニット(LPU)と呼ばれるモジュールに格納されています。LPU内部では、ガルバノメータが高密度なレーザービームをY軸方向に位置決めし、空間フィルターを通してフォールド(折り返し)ミラーとパラボリック(放物面)ミラーへと導き、常に造形面に対してほぼ垂直にレーザーを照射することで、極めて高精度かつ高い再現性をもったプリントを実現します。 

LPUがX軸方向に移動する際、造形品はフィルム上の柔らかなタンク底部から静かに引き剥がされるため、レジンタンク底部から剥離する際に発生する応力が大幅に低減され、この応力によるたわみや反りの発生リスクも抑制しています。

LFSテクノロジーはフィルム状の柔らかいレジンタンクと可動式LPUによって極高精度と優れた表面品質を実現する。

LFSテクノロジーによる3Dプリントは、上記のようにフィルム状の柔らかいレジンタンクと可動式LPUでレーザー照射角度を常にほぼ垂直に保つことでプリント中の造形品に加わる応力を大幅に軽減し、極高精度と成形品に匹敵する表面品質を実現する。

LFSテクノロジーは光造形3Dプリントの進化形であり、造形精度と表面品質、そして造形スピードを大幅に向上する技術です。また、Formlabsではプリント中の発生応力が低いという利点を生かし、サポート材と造形品との接点を極小化するライトタッチサポートも実現す、ひと捻りするだけで瞬時に除去できるサポート材で後処理効率も向上しています。こうした点から、将来的にある程度の量産を可能にする先端材料の開発にも大きな可能性が拓けてきています。

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DLP方式の仕組み

デスクトップ型のDLP方式は、SLA方式同様に光を透過する透明な底をもつレジンタンクと、レジンタンク内に降下するビルドプラットフォームを備えており、やはり吊り下げ式で造形を行います。

SLAとDLPおよびLCDの違いは、その光源です。DLP方式はデジタルのプロジェクタを使って、ビルドプラットフォーム全面に1層分のデジタル画像を投影し、SLAのように「点」で硬化させていくのではなく「面」で1層分を丸ごと硬化させて造形します。LCDの場合はプロジェクタではなく液晶パネルを用いてこれを行います。

How do DLP 3D printers work

LEDから発せられた紫外線光は、半導体チップ上に格子状に配置された微細なミラー群が構成するDMD(Digital Micromirror Device)に反射します。この光をレジンタンクやヒートシンクの底に導くレンズの間で、この微細なミラー群が高速で切り替わることでタンク内の液体レジンを硬化させる座標を決定します。つまり、プロジェクタで1層ごとに光を通すピクセルと通さないピクセルによる二択でフィルターを形成し、層全体を面で造形する仕組みです。

プロジェクタで投影される画像はデジタル画像なので、各層の画像は正方形のピクセルで構成されますが、造形品は3次元となるため、正方形のピクセルは立方体のボクセルとなり、各層もこのボクセルで形成されます。

LCD方式の場合はプロジェクタではなく液晶パネルを使用し、同じように1層ごとのデジタル画像を投影して面で造形していく方式です。

SLA vs DLP/LCD:光造形方式の比較

解像度

3Dプリンタのスペック表には「解像度」という項目がありますが、あなたは3Dプリンタの解像度という言葉が何を意味するのか正しく説明できるでしょうか?解像度という言葉はカメラやスキャナなどで一般的な言葉になってしまっているため、これが却って人々を混乱させる元凶にもなっています。

そもそも異なる造形方式の3Dプリンタでは、この解像度という言葉の定義からして異なっています。それを知らず、異なる造形方式のプリンタを横に並べてスペック表に記載された解像度の数値で比較してしまうと、単位の異なる数値を比較しているため意味を成しません。同様に、SLAとDLP、LCDでは基本単位が異なるため、数値的なスペックだけで解像度を比較することは非常に困難です。

まず、3Dプリンタの解像度には平面解像度であるX-Y軸の解像度と、垂直解像度であるZ軸の解像度の2種があることを理解する必要があります。Z方向の垂直解像度とは、3Dプリンタが作り出す層の厚みのことで、積層ピッチと呼ばれます。SLAやDLPなどの光造形方式の3Dプリンタは、3Dプリントの全造形方式の中で最も優れたZ解像度(最も細かな積層ピッチ)が使用できます。通常は、積層ピッチを25~300ミクロンの間から選択できるため、ユーザーは精細さとスピードのバランスを考慮して積層ピッチを選ぶことができます。 

Comparison - 3D printing technology - Laser SLA, DLP, Low Force Stereolithography (LFS)

DLP方式におけるX-Y軸解像度は、プロジェクタが表現できる最小単位であるピクセルのサイズで定義されます。これはプロジェクタの解像度(例:フルHD 1080p)と、オプティカルウィンドウからの距離によって決まります。そのため殆どのデスクトップDLP 3DプリンタのX-Y軸解像度は固定で、通常35~100ミクロンです。つまりピクセルの1辺あたりの寸法が35~100ミクロンということです。このX-Y軸解像度の言葉の定義はLCD方式でも同様で、LCDの場合は液晶パネル内のピクセルサイズが解像度を定義する要素となります。

SLA方式の場合、X-Y軸解像度はレーザー焦点サイズとレーザービームを制御する増分によって決まります。例えば、特許技術のLFSテクノロジーを搭載したForm 3+は、85ミクロンの焦点サイズを持つレーザーを搭載していますが、絶えずリニア状に動作する走査プロセスによって焦点サイズ以下の単位でレーザーの動きを制御することができます。そのため、Form 3+では常に25ミクロンのX-Y軸解像度でプリントを行うことができます。つまり平面上での最小描画可能寸法が25ミクロンであるということで、上述のDLPやLCDと比較して「解像度」という言葉の定義が異なっていることが分かります。

しかし解像度は、単なる指標程度にしかならないことがほとんどで、造形品の精度や正確さ、造形品質とは必ずしも直結しません。だからこそ、余計に混乱を招く原因になっていると言えるのです。

造形精度と精度の一貫性

すべての3Dプリンタは積層によって造形を行うため、各層で精度に狂いが生じる可能性があります。そして各層で得られた精度を再現する一貫性は、造形を行う方法に左右されます。精度とその精度を再現する一貫性に影響を与える要因にはさまざまなものがあり、3Dプリントの造形方式、使用する材料、ソフトウェアの設定、後処理作業などが代表的なものとして挙げられます。 

一般的に、SLA、DLP、LCDの3Dプリンタは最も高い精度とその精度の一貫性を持つ造形方式です。精度と精度の一貫性は、造形方式自体の違いよりも各メーカー間に差が出ていることが多いようです。

例えば、エントリーレベルの光造形(SLA、DLP、LCD)プリンタは、市販のプロジェクタ、液晶パネル、レーザー、またはガルバノメータを使用し、そのメーカーはこれらの部品からできる限りのパフォーマンスを引き出せるよう設計します。FormlabsのForm 3+のような業務用のSLAやDLP、LCD 3Dプリンタは、プロユースの用途に対応する仕様を備え、各材料ごとにカスタムされたソフトウェアを持ち、専用の光学系部品を搭載しています。

造形精度やその一貫性は歯科用スプリント(左)やサージカルガイド(右)のような用途では殊更に重要だ。

造形精度やその一貫性は歯科用スプリント(左)やサージカルガイド(右)のような用途では殊更に重要だ。

精度やその一貫性には、キャリブレーション(較正作業)もかなり重要です。DLPのプロジェクタでは、造形面への投影光の均一性とレンズの歪み、つまり中央のピクセルと端部のピクセルがすべてサイズも形状も同じという状態を維持する必要があります。SLAは単一の光源ですべての造形を行うため、理論上は均一になりますが、それでも歪みの発生リスクを考慮して、一定のキャリブレーションが必要です。

最高品質の部品を搭載し、高度なキャリブレーション機能を備えた3Dプリンタであっても、使う材料によって結果が大きく異なる場合もあります。多彩なレジンを使いながら同水準の高精度と一貫性を得るには、プリンタを制御するソフトウェアの面で材料ごとに最適化された材料設定が必要になりますが、安価なサードパーティ(他社)製の汎用材料や特定のモデルで十分にテストされていないレジンを使う場合は、そうした材料ごとの個別の特性に合わせたチューニングはプリンタを使用するユーザー自身が試行錯誤を繰り返し、データ上で調整を行わなければなりません。

まとめると、精度とその一貫性はプリンタのスペック表だけで理解することはほぼ不可能ということです。結局のところ3Dプリンタの精度を評価する最も確実な方法は、実際にそのプリンタで造形されたものを三次元測定機やCTで検査するか、プリンタメーカーや販売会社に依頼して自身の3Dファイルをテストプリントしてもらうことです。このテストプリントは業界では「ベンチマーク」と呼ばれ、基本的に無料で対応されるサービスです。そのため3Dプリンタの選定時には、複数のメーカー、機種、材料で比較を行い、実際の用途で検証を行うのが理想的です。

造形サイズ

DLP方式では、解像度と造形サイズがそのままトレードオフの関係となっています。解像度はプロジェクタの解像度、つまりプロジェクタが利用できるピクセル/ボクセルの数によって決まります。プロジェクタをオプティカルウィンドウに近付けるとピクセルは小さくなり、解像度が上がりますが、焦点が絞られる分造形が行えるエリアは小さくなってしまいます。

プロジェクタを複数台並べたり、高精細な4K以上のプロジェクタを使って造形サイズを担保するメーカーもありますが、コストはその分高くなってしまい、デスクトップ3Dプリンタの価格帯から外れてしまうケースもあります。

そのため、DLP方式の3Dプリンタは特定の用途に最適化された設計になっているのが一般的です。造形サイズが小さくても解像度が高く、ジュエリーのような高精細品をプリントできるものもあれば、解像度は低くても大型品を造形できるものもあります。

SLA 3Dプリンタの場合は造形サイズと解像度は完全に独立した要素となっており、SLAはその方式上、本質的に大きなサイズにも柔軟に対応が可能です。1回のプリントで、ビルドプラットフォーム上のどの位置でも、どのサイズ、どの解像度でもプリントが行えます。そのため1台のプリンタで大型品を高解像度でプリントし、その次に小さなパーツを大量にプリントして効率化を図るといった柔軟な使い方ができるのが特徴です。

SLAとDLPの3Dプリンタで造形サイズを大きくする際に直面するもう1つの障壁は、レジンタンク底部から造形品を引き剥がす際に発生する応力です。大きな造形品をプリントする場合、硬化した層がタンク底から引き剥がされると、造形品に伝わる応力は飛躍的に増大します。

Formlabs独自のLFSテクノロジーでは、レジンタンク底部が柔軟なフィルム状となっており、ビルドプラットフォームが造形品を引き上げる際に優しく引き剥がされ、造形品に伝わる負荷が大幅に軽減されます。この独自技術があるからこそ、導入も運用も低コストな大容量SLAプリンタ、Form 3Lで造形サイズを従来比で5倍(体積比にて)まで拡大できたのです。

Form 3Lは、300 x 335 x 200mmの最大造形サイズに対応する大型機として初の低コストSLA 3Dプリンタとなっている。

Form 3Lは、300 x 335 x 200mmの最大造形サイズに対応する大型機として初の低コストSLA 3Dプリンタとなっている。

表面品質

SLAとDLP、そしてLCD方式の光造形3Dプリンタは、どれも非常に滑らかな表面品質を備えた造形品を製作できることで知られています。この3方式の違いは多くの場合、微細な精密部品や非常に細かで複雑な形状のモデルをベースにした比較となります。

3Dプリントは原則的にすべて積層を行うことで造形する技術であるため、横方向の積層痕と呼ばれる縞模様が目視できることがあります。しかし、DLPやLCDはデジタル画像を通して先述の通りボクセル単位で積層を行うため、縦方向のボクセルラインが現れるケースがあります。

DLPやLCD方式はボクセルをベースに積層するため、特に曲面でX-Y軸方向にもZ軸方向にもボクセルラインによる段差が現れることがある。

DLPやLCD方式はボクセルをベースに積層するため、特に曲面でX-Y軸方向にもZ軸方向にもボクセルラインによる段差が現れることがある。上画像右側ではその影響をわかりやすくハイライトしたもので、左側は加工を行っていないそのままの画像。

またボクセルは形状が直方体であるため、上画像のように複雑な曲線で構成されるモデルやアール面を中心とした形状、そして曲線のエッジにその影響が現れやすくなります。ちょうど小さなレゴブロックを組み合わせて球体を作った時に横方向にも高さ方向にも段差が発生するのと同じイメージです。

ボクセルは直方体形状であるため曲面に段差が発生する。

ボクセルは直方体形状であるため、上の画像のように曲面に段差が発生してしまいます。高解像度のプリンタであればあるほどボクセルのサイズは小さくなりますが、原理は同じです。成形用の金型(樹脂型)など表面品質に特段の気を配る必要がある用途で検討する場合にはこの点も考慮する必要があり、SLA方式が金型用途に最適と言われる理由は、レーザーで曲面のアールも表現が可能だからです。ボクセルや積層によるラインを除去するにはサンドペーパー等で研磨するのが一般的です。

In LFS 3D printing, layer lines are close to invisible. As a result, surface roughness is reduced, which ultimately leads to a smooth surface finish, and for clear materials, more translucent parts.

Formlabs独自の特許技術であるLFSテクノロジーでは、積層痕と呼ばれる層間のラインはほぼ目視できません。精度やその一貫性が極めて高いというだけでなく表面の粗さも極小化することで、表面品質が向上し、非常に滑らかな仕上がりとなります。Clearレジンなどの透明材料ではより透明度の高い造形品を製作することができます。

造形スピードと生産性

3Dプリントのスピードを考慮する際には、プリンタの造形スピードと併せて作業全体の効率を考慮することが重要です。

光造形3Dプリンタの造形スピードをそのまま比較すると、一般的にDLPとLCDはSLAよりも高速です。DLPやLCD方式では、プロジェクタが1層分丸ごとを一度に「面」として造形するため、造形スピードは1層分の高さである積層ピッチで決まり、どの層でも均一になります。一方、SLA方式は「一筆書き」とも言われるように、レーザーによってモデルの形状を「点」で描画する方式です。このため、小型から中型の造形品をプリントする場合はDLPやLCD方式とSLA方式を比較すると、ほぼ同等またはDLP・LCDが僅かに速いという結果になります。造形品のサイズが大きく、高密度な場合やビルドプラットフォームの大部分を占めるように多くのパーツを一括でプリントする場合は、DLPやLCDの方が高速でプリントできる、というのが一般的な傾向です。 

しかし特にDLP方式では、その解像度と造形サイズのトレードオフを考慮することも必要です。小型のDLP 3Dプリンタは、小さな造形品や小型品の少量バッチを高解像度・高速でプリントできますが、プリンタ側の最大造形サイズがプリント品の大きさと効率を制限するという側面があります。大きな最大造形サイズを持つDLPプリンタでは、大型の造形品や小型品のバッチを高速でプリントできますが、プロジェクタの焦点の問題により、解像度がSLAより低くなってしまいます。

FormlabsのLFSテクノロジーのメリットは、小型品にも大型品や小型品のバッチ生産にも高解像度・高速プリントで対応できる点で、ユーザーは解像度、スピード、またはスループットのどれを最適化するかを自由に決めることができます。また、微細な形状を高解像度でプリントしながらスピードも両立したいというニーズに対応するため、Formlabsでは無料で使える造形準備ソフトウェアのPreFormにて、自動調整積層ピッチ機能を選択することができます。この自動調整積層ピッチは、層の厚みを細かくして精密なプリントを要する箇所と、層を厚くしてスピード重視で精度を落とさずプリントできる箇所をアルゴリズムが自動で解析し、プリント時に自動で積層ピッチを調整することで精度とスピードを両立させる機能で、殆どのFormlabs製レジンで利用できます。

SLA方式はより大きな造形サイズに対応しており、小型品をバッチ生産したり夜間に多くの造形品を一度にプリントしたりすることで作業効率を向上することができる。

SLA方式はより大きな造形サイズに対応しており、小型品をバッチ生産したり夜間に多くの造形品を一度にプリントしたりすることで作業効率を向上することができる。

また、造形スピードは使用する材料によっても変わってきます。FormlabsのDraftレジンは、他のスタンダードレジンと比較して4倍速で造形が行える高速試作用材料で、初期段階の試作品や反復検証作業の高速化、歯科や歯科矯正用モデルなどの高速プリントを実現する材料です。Draftレジンは、プリント自体のスピードだけでなくプリントが開始されるまでの時間も短く、サポート材の除去やプリント後の洗浄と二次硬化時間も最小化できるよう開発されており、ワークフロー全体を効率化することで、トータルな生産性向上が図れます。

Draftレジンとスタンダード(Grey)レジンとの速度比較

Draft & Grey Resin - Time comparison
Greyレジン
100ミクロン
Draftレジン
200ミクロン
71分
18分
Draft & Grey Resin - Time comparison
Greyレジン
100ミクロン
Draftレジン
200ミクロン
21時間46分
8時間43分
Draft & Grey Resin - Time comparison
Greyレジン
100ミクロン
Draftレジン
200ミクロン
11時間 8分
3時間 9分
3d printing cost
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ROI試算ツール:コストと時間の削減幅を算出

インタラクティブなROI試算ツールでFormlabsの3Dプリンタ導入によってどの程度コストと時間を削減できるのか、お試しください。

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ワークフローと材料

精度やその一貫性と同様に、ワークフロー(作業手順)や使用できる材料は、光造形方式の中では各メーカーや機種によって異なります。 

ほとんどのSLA、DLP、LCD方式の3Dプリンタはビルドプラットフォームとレジンタンクが簡単に交換できます。FormlabsのSLAプリンタのようなハイエンド機には、液体レジンをレジンタンクに自動補充するカートリッジシステムが付属しているものもあり、手作業でレジンを注ぐよりも作業環境を汚れず、夜間や不在時のプリントにも対応します。 

プリンタの中には、FormlabsのPreFormのように3Dモデルをプリントするための独自のソフトウェアが付属しているものもあれば、既製の汎用ソフトウェアに依存するメーカーもあります。こうした造形準備などを行うソフトウェアの機能は、当然ソフトウェアごとに異なります。例えば、PreFormではワンクリックで造形品の向きや角度、サポート材の付け方などの造形設定がすべて自動で一括生成でき、自動生成された設定をベースにサポート材の密度やサイズなどを調整することができます。

PreFormの大きな利点の1つは、こうした造形設定を施した後のプリント用ファイルを「.form」という独自の拡張子でファイルとして保存できる点です。これは他フロアや他拠点、海外も含めて遠隔地の取引先などにも造形設定済みのプリント用ファイルを展開できることを意味しており、共有先にも低コストで導入できるFormlabsのプリンタがあれば、全く同じ品質のプリントが多くの場所で同時多発的に行え、実際に造形した試作品を手に取りながら詳細はオンライン会議で詰めていくという活用法も浸透してきています。

また、造形の積層ピッチも自動調整積層ピッチ機能を含めてこのPreForm上で設定し、造形開始前にプリントに要する時間や材料消費量も画面ですぐに確認できます。特筆すべきはこうした機能をもつPreFormが無料で開放されている点で、FormlabsのPreFormは3Dプリンタ購入前であってもダウンロードして上述の機能をご体感いただくことができます。

光造形方式の3Dプリントでは幅広い用途に対応する多彩な材料が使用できる。

光造形方式の3Dプリントでは幅広い用途に対応する多彩な材料が使用できる。

レジンと呼ばれる液体の光硬化性樹脂を使用する光造形3Dプリント最大のメリットは、その材料です。幅広い用途の部品製作に対応する豊富な種類の材料は、FDM方式や他の造形方式では得られないものです。3Dプリント用レジンには、軟質材から高強度材、高剛性材、ガラスやセラミックなどの複合材、高い耐熱性や耐衝撃性、耐薬品性を備えるものなど目的に応じて調合され、新たな材料が開発され続けています。

とは言え、使用できる材料は各3Dプリンタのメーカーや機種によって変わるため、検討中のプリンタで使用できる材料は事前に各メーカーに確認する必要があります。

そして光造形ではSLA、DLP、LCDすべて、プリントが終わった後は後処理を行う必要があります。まず、造形品表面に残る液体レジンを溶剤で洗浄し、除去する必要があります。表面に残るレジンが紫外線で硬化してしまうと、その分が余分な層となり寸法や形状の精度を損なってしまうためです。また、一部の材料や用途を除いて、産業用のレジンや生体適合性レジンなどの機能性材料は、熱と紫外線による二次硬化が必要です。Formlabsではこれらの後処理を自動化できるソリューションを提供し、省力化を実現しています。

最後に、サポート材を使ってプリントした造形品はそのサポート材を除去する必要がありますが、これはSLA、DLP、LCDすべての光造形に共通したプロセスです。Formlabsでは、独自のLFSテクノロジーにより造形品とサポート材の接点を極小化するライトタッチサポートが提供できており、ニッパーなどで1本ずつ切断するような作業は不要で、ひと捻りで簡単にサポート材が外せます。また、サポート痕も最小化されるため、サンドペーパーなどでの研磨が必要な場合もほんの少しの作業で事足りるようになっています。

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その用途に最適な材料を自動で提案

必要な条件を満たす材料がわからない場合は、オンラインツール「Material Selector」にお任せください。インタラクティブツールがお客様の要件に応じた最適な材料をご提案いたします。

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Formlabsで進化系SLA光造形を体験

これまでの内容を参考に、各造形方式の特徴や造形品に現れる違いを把握いただき、皆さまのニーズに最適なプリンタを選定いただければと思います。

独自のLFSテクノロジーを搭載したFormlabsのForm 3+とForm 3Lについては、以下のリンクより製品紹介ページをご覧ください。オンラインでバーチャルにプリンタのカバーを開けて中を見たりといったことが可能なインタラクティブツアーも体験いただけます。 

  • デスクトップSLAプリンタ Form 3+
  • 生体適合性材料対応 デスクトップSLAプリンタ Form 3B+
  • 大容量ベンチトップSLAプリンタ Form 3L
  • 生体適合性材料対応 大容量ベンチトップSLAプリンタ Form 3BL

造形品質を直接確認したいというお客様には、お好きな材料のサンプルパーツを貴社にお届けします。材料の詳細については、上のMaterial Selectorをご利用いただくか、材料ライブラリページをご参照ください。