3Dプリンタの本当のコストとは?

3Dプリントによる内製は、高精細なモデルからラピッドプロトタイピング、従来の製造法で使用する金型の高速製作治具製作、そして量産される実製品用部品に至るまで、幅広い用途で活用されています。

3Dプリンタへの投資を考えるときに検討すべきポイントは様々ありますが、最も重要なのは「その投資は事業にとって経済的に妥当か?」ということです。3Dプリンタの価格はどの程度で、導入によってどれだけの時間とコストが削減できるのでしょうか?

3Dプリンタの価格は、プリント方式や使用する材料、3Dプリンタの性能によって、安いものであれば$200から、高いものになると$500,000以上と大きな幅があります。 

このガイドでは、方式ごとの3Dプリンタの価格、生産を外注した場合と内製した場合の比較、部品1点あたりの製造単価を算出する際に考慮すべき様々な要素を解説しながら、様々な3Dプリント方式とその他の製造方法を比較する際にコスト以外で考慮すべきポイントを解説していきます。

3Dプリントのコスト
インタラクティブ

削減可能なコストと時間を算出

Formlabsの3Dプリンタでどれだけのコストと時間が削減できるのか、FormlabsのインタラクティブなROI計算ツールで是非ご確認ください。

3Dプリント方式ごとのコストと考慮点

プラスチック3Dプリンタのコスト

現在最も普及している3Dプリント方式は、FDM(熱溶融積層)方式、SLA光造形方式、SLS(粉末焼結積層造形)方式の3つです。

以下の図に示す通り、それぞれに長所と短所があります。

この比較表はこちらからダウンロードできる。FDM、SLA光造形、SLSそれぞれの3Dプリント方式の詳細は、Formlabsが提供する詳細なガイドで確認が可能。

この比較表はこちらからダウンロードできる。FDM、SLA光造形、SLSそれぞれの3Dプリント方式については、Formlabsが提供する詳細なガイドで確認が可能。

3Dプリンタの価格は以前に比べて大幅に下がり、現在では上記いずれの方式でも手頃な価格で購入できるコンパクトサイズのプリンタが登場しています。

比較的単純な構造の試作品を限られた数量だけプリントする場合には、FDM方式の3Dプリンタが3つの方式の中で最も安い選択肢になります。SLA光造形プリンタは造形品質が高く、高精細かつ様々な材料を使用したプリントが可能です。複雑なデザインや大量のバッチ生産などには不向きですが、その分後処理にかかる労力が他の方式より少なく済みます。SLS方式の3Dプリンタは、高品質な機能部品を中・大量生産する場合に最も費用対効果の高い選択肢になります。

方式の異なる3Dプリンタの全体的なコストを比較するには、本体価格意外にも考慮が必要です。本体価格だけでは、3Dプリンタの運用にかかるコストや造形単価などの詳細を把握しきれないためです。また、用途や生産のニーズにより、使用する3Dプリント用の材料や人件費も造形単価に大きく影響します。

ここからは、3つの3Dプリント方式で考慮すべき様々な要素やコストを詳しく見ていきます。

FDM(熱溶解積層)方式

FFF(熱溶解フィラメント)方式としても知られるFDM方式では、フィラメントと呼ばれる熱可塑性材料を熱で溶解させ、プリンタのノズルから造形エリアに押し出して積層することで造形していきます。

FDM方式は、模型製作を趣味とするユーザーに向けた3Dプリンタの需要の高まりと共に一般消費者の間で最も広く活用されるようになった3Dプリント方式ですが、FDM方式の工業用大容量プリンタは企業にも人気があります。

FDM方式は、格安3Dプリンタのほとんどの割合を占める方式でもあります。最も安価なDIY用FDM 3Dプリンタの本体価格はおよそ$200ドルですが、このタイプのプリンタで造形ができるのはほとんどが玩具やDIY用のものばかりで、造形品の組み立てや微調整、プリンタ設定の調整に多大な時間を要します。このような調整をどの程度上手くできたかによって造形品質が大きく変わり、なおかつ安定して稼働させるためには定期的なメンテナンスと修理が必要です。そのため、エンジニアリング課程に属している学生や、時間と忍耐力のあるユーザー向けと言えます。

ホビイスト向けのFDMプリンタは$500から$1,500の間で販売されていることが多く、キットもしくは組立て済みの状態で購入が可能です。この場合は微調整が比較的少なくて済むものの、格安3Dプリンタと同じ欠点見られます。この価格帯の中でも上限に近い一部のプリンタなら最大造形サイズが増え、PLA(ポリ乳酸)のような低温材料以外にも使用できる材料が広がります。

工業品質のFDM 3Dプリンタとなると価格はおよそ$2,500、中でも大容量の工業品質FDMプリンタの場合は$4,000程度になります。最先端の産業用FDMプリンタの場合は、$10,000を超える高額な製品になります。この価格帯のプリンタはほとんどが組立て済みの状態で購入でき、事前設定によって設置後すぐに使用できる状態になっているか、自動調整機能がついていることがほとんどです。他の価格帯のプリンタと比べて造形品質も高く使用できる材料も広がります。さらに最大造形サイズも大きく、安定した使用感とメンテナンスの容易さが特徴です。格安プリンタとは異なり、工業品質の3Dプリンタの場合はメーカーがカスタマーサポートを提供しているため、トラブルシューティングも容易です。

FDM方式の材料価格は、スタンダードまたはエンジニアリング系のフィラメントなら$50〜$150/kgほど、サポート材は$100〜$200/kgほどです。材料もさらに低価格の製品がありますが、プリンタ本体と同様に価格が安い分品質面ではトレードオフが発生します。

最後に考慮すべき点として、作業量の多さがあります。多くの形状、特に複雑な形状の場合は、プリントを成功させるためにサポート材が欠かせず、このサポート材は造形完了後に部品から取り外す必要があります。可溶性のサポート材であれば溶解させて除去することが可能です。積層痕を可能な限り目立たなくして高い表面品質を実現するためには、サンディングなど長時間に及ぶ手作業での後処理が必要になります。

光造形(SLA)方式

SLA方式の3Dプリンタは、レーザーを用いた光重合という化学反応を利用して光硬化性の液体レジンを硬化させることで造形します。SLAは高精細で精度が非常に高く、使用できる材料も幅が広いため、3Dプリンタユーザーの間で最も広く活用されている方式の一つです。

この方式でプリントした部品は、樹脂を使った3Dプリント方式の中で最も高精細でディテールも鮮明に表現でき、表面品質も滑らかです。しかし、SLA光造形方式の最大の利点は、その万能性にあります。SLA光造形用のレジンは、スタンダード系、エンジニアリング系、産業用熱可塑性樹脂に匹敵する光学的・機械的・熱的特性を備えています。

SLA光造形では豊富な材料で様々な用途向けに3Dプリントが可能。

SLA光造形では豊富な材料で様々な用途向けに3Dプリントが可能。

SLA光造形技術はもともと、$200,000以上もする大型かつ操作も難しい産業用3Dプリンタにしか搭載されていませんでしたが、現在は遥かに手頃な価格で利用できるようになっています。FormlabsのForm 3+プリンタなら、僅か$2,499程度で工業品質のSLA光造形プリントが可能で、大容量のSLA光造形プリンタForm 3Lでさえ$8,999からと手の届きやすい価格帯になっています。

SLA光造形3Dプリンタは組立てや事前設定が完了した状態でお手元に届くため、開梱後すぐに使用を開始いただけます。工業品質のプリンタのため安定した生産が可能で、ほとんどメンテナンスが必要ありません。万が一問題が発生した場合でも、カスタマーサポートがトラブルシューティングを行います。

SLA光造形プリントの材料コストについては、スタンダードおよびエンジニアリングレジンの場合、およそ$149~200/リットル程度です。

SLA光造形プリンタは使いやすく、洗浄や二次硬化など作業工程の多くがほぼ自動化されているため、手作業にかかる労力を削減できます。造形品はプリンタから出てきた時点で高品質の仕上がりで、後処理もサポート材の痕を消す程度の簡単な作業ですみます。

格安光造形プリンタのコスト
技術資料

10万円以下の格安光造形3Dプリンタの隠れたコストとは

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技術資料

大容量3Dプリンタが有用になるケースとは

本無料レポートでは、大容量3DプリンタのForm 3Lを使った内製化により、外注やFDMプリンタなどその他の製造方法とどのような違いが出るのかを解説するとともに、各製造方法のコストを比較し、Form 3Lの導入が最適なシナリオを検討します。

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SLS(粉末焼結積層造形)方式

SLS 3Dプリンタは、高出力レーザーでポリマー粒子を焼結することで造形します。SLS方式では造形中に未焼結パウダーが造形品を支えるため専用のサポート材が必要なく、内部構造、アンダーカット、薄壁や凹面など、複雑な形状の造形に適しています。

SLS方式で3Dプリントした部品は、射出成形品に匹敵する高い強度や優れた機械的特性を備えているため、産業用途で最も人気のあるプラスチック3Dプリント方式となっています。

SLS用のナイロン材料でプリントした部品は、エンジニアリング消費者製品からヘルスケアまで、さまざまな機能用途に最適。

SLS用のナイロン材料でプリントした部品は、エンジニアリング消費者製品からヘルスケアまで、さまざまな機能用途に最適。

SLA光造形と同じく、SLS方式のプリンタも以前は大型で操作の複雑なものしかなく、価格は最低でも約$200,000以上と高額でした。ところが、FormlabsのFuse 1+ 30W SLSプリンタの登場で、企業は$24,999という価格帯から産業用SLSプリンタにアクセスできるようになりました。後処理と粉末回収・再利用装置を含む一式完全に揃ったパッケージでも$40,000弱です。

こちらもSLA光造形プリンタと同様、組立てや事前設定が完了した状態でお手元に届きます。安定して年中無休の連続生産ができるよう開発されており、付属サービスには高度なトレーニングと迅速なカスタマーサポートが含まれています。

SLSプリント用のナイロン材料の価格は$100/kg程度です。SLS方式は専用のサポート材が不要で、プリント時に使用しなかった未焼結パウダーは次のプリントで再利用できるため、材料コストを抑えることができます。

SLS方式でプリントした部品は完成時点の品質が非常に高く、生産時にかかる労力が最も少なくて済みます。造形品をプリンタから出した後に必要なのは、余分なパウダーを除去する簡単な作業のみです。

金属3Dプリンタのコスト

3Dプリンタには、プラスチックだけでなく金属を使ったプリントが可能なものもあります。

  • 金属FDM方式

金属FDM方式プリンタは従来のFDMプリンタとほぼ同じ仕組みですが、樹脂ではなくポリマーバインダー(結合剤)を混ぜた金属をノズルから押し出して積造形します。出来上がったグリーン体(未処理の造形品)は、脱脂炉で焼き入れ(デバインド)をしてバインダーの樹脂を飛ばして取り除きます。

  • SLM(レーザー溶融)方式とDMLS(直接金属レーザー焼結)方式

どちらもSLS方式プリンタと仕組みは同じですが、ポリマーではなく金属粉末にレーザーを照射することで積層し、造形していきます。SLMとDMLS方式でプリントした部品は、頑丈で高精細かつ複雑な金属製品を造形できるため、航空宇宙や自動車、医療用途に最適です。

金属3Dプリンタの価格も他の3Dプリンタと同様に下がり始めてはいるものの、価格帯はまだ$100,000〜$1,000,000と高額で導入可能な企業はほとんどありません。

一方、SLA光造形方式3Dプリンタには鋳造に対応した高精細材料が豊富にあり、従来型の鋳造方法に比べ、金属部品を自由な形状で低コストかつ短時間で製作できます。

金属部品
技術資料

3Dプリントによる金属部品製造

本技術資料では、3Dプリントによる原型製作の設計ガイドラインと、手順ごとの直接および間接インベストメント鋳造、そして砂型鋳造のプロセスを解説しています。

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方式ごとの3Dプリンタの価格比較

プラスチック3Dプリンタ、金属3Dプリンタのどちらにも、それぞれの用途に適した特徴があります。以下の表では、その詳細を簡単にまとめています。

FDM(熱溶解積層)方式光造形(SLA)方式SLS(粉末焼結積層造形)方式金属FDM方式SLM(レーザー溶解)方式とDMLS(直接金属レーザー焼結)方式
細部の表現★★☆☆☆★★★★★★★★★☆★★☆☆☆★★★★☆
精度★★★★☆★★★★★★★★★★★★★☆☆★★★★★
表面品質★★☆☆☆★★★★★★★★★☆★★☆☆☆★★★★☆
作業効率★★★★☆★★★★☆★★★★★★★★☆☆★★★★☆
複雑形状の造形★★★☆☆★★★★☆★★★★★★★★☆☆★★★★★
使いやすさ★★★★★★★★★★★★★★☆★★★★☆★☆☆☆☆
最大造形サイズ最大300 x 300 x 600mm(デスクトップやベンチトップ型3Dプリンタ)最大300 x 335 x 200mm(デスクトップやベンチトップ型3Dプリンタ)最大165 x 165 x 300mm(ベンチトップ型工業用3Dプリンタ)最大300 x 200 x 200mm最大400 x 400 x 400mm
価格帯DIY向け3Dプリントキットは約$200から、ホビイスト向けのプリンタは$500~$1,500程度。工業品質のFDM3Dプリンタは約$2,500から、大容量の工業品質FDMプリンタは約$4,000以上。工業品質のデスクトップ型プリンタは$2,499から、大容量のベンチトップ型プリンタは$8,999以上。ベンチトップ型の産業用プリンタは$24,999から、従来型の産業用プリンタは$100,000以上。金属FDMプリンタは単体で$100,000以上。炉などの関連機器一式が揃ったパッケージの場合はそれを遥かに超える。DMLS/SLMプリンタは約$200,000から。設置要件が厳しいため、様々な整備でさらにコストが増える可能性あり。
材料コストスタンダードまたはエンジニアリング系フィラメントは$50〜$150/kg、サポート剤は$100〜200/kg程度。スタンダードおよびレンジニアリング系レジンのほとんどは$149-$200/L。ナイロンの場合は$100/kg。SLS方式は専用のサポート剤が不要で、プリントで使用しなかった未焼結パウダーは次のプリントで再利用可能なため、材料コストを抑えることができる。材料と使用する材料と技術により異なる。プラスチックよりも遥かに高額。材料と使用する材料と技術により異なる。プラスチックよりも遥かに高額。
必要な作業手作業によるサポート材の取り外し(可溶性のサポート材を使用できる場合は手順の簡素化が可能)。高品質な仕上がりにするためには時間をかけて後処理を施す必要あり。洗浄と二次硬化(どちらの工程もほぼ自動化が可能)。サポート材の痕を消すための簡単な後処理作業。余分なパウダーを除去するための簡単な作業。洗浄と焼結(どちらの工程もほぼ自動化が可能)。必要に応じて、加工やその他表面処理。応力緩和、サポート材の除去、熱処理、加工、その他表面処理。
材料ABSやPLAなどの標準的な熱可塑性樹脂とそのブレンド材。幅広いレジン(光硬化性樹脂)。スタンダード系、エンジニアリング系(ABS、PPやシリコンを彷彿とさせる高い弾性率、耐熱性や硬度が備わっているレジン)、鋳造可能な種類、歯科や医療系(生体適合性)。エンジニアリング系の熱可塑性材料。通常はナイロンやそのブレンド材(Nylon 12はパウダーで生体適合性を備え減菌が可能)ステンレス鋼、工具鋼、インコネル、銅、チタン。ステンレス鋼、工具鋼、チタン、コバルトクロム、銅、アルミニウム、ニッケル合金。
代表的な用途基本的なPoC用モデルやラフな造形を行う初期段階での試作品製作。厳格な寸法公差や表面品質に対応した高精度高精細な試作品。金型、治工具、ロストワックスマスター、医療用モデルや機能部品。複雑な形状、機能確認用試作、短期または量産前のテスト生産。頑丈で耐久性のある部品、金型、治具の製作。頑丈で耐久性を備えた複雑形状の部品。航空宇宙、自動車、医療用途に最適。

製造単価を算出して3Dプリントのコストを把握する

製造単価を計算する際は、設備所有コスト、材料費、人件費も考慮する必要があります。これら3つのコストに影響を与える要素を理解しておくことで、他の製造方法との比較や隠れたコストを明確化する際に役立ちます。

設備所有コスト:

3Dプリンタの本体価格やサービス契約、設置費用、メンテナンス費用などの固定費が設備所有コストになります。このコストは、3Dプリンタが休止状態か週に数十点もの部品を生産しているかに関わらず、必ず発生します。

プリンタの耐用期間に渡って発生すると予想される固定費を合計し、合計金額をそのプリンタで生産すると予想される部品の合計数で割ることで、個々の部品に対する設備所用コストを算出できます。3Dプリンタの生産性と使用率が高いほど、部品1点あたりの設備所有コストは低くなる傾向にあります。

デスクトップ3Dプリンタは近年、設備所有コストを大幅に下げることに成功してきました。従来の産業用3Dプリンタの10分の1、もしくは100分の1の価格で、耐用期間中に何千点もの部品を生産できるようになり、設備所有コストはごく僅かになりました。

考慮すべき点:

  • 機器のコスト以外に、設置やトレーニングにかかる費用、その他初期費用の発生有無

  • (必須の)サービス契約の有無(ある場合は)そのサービス契約に含まれる内容

  • 部品を生産するために必要な、プリンタ本体以外の周辺機器や工具

  • 通常の運用内でプリンタに対して行う必要のあるメンテナンス作業予想される年間メンテナンス費用生産量が増えた場合のメンテナンス費用の変化

材料と消耗品

部品の生産に必要な3Dプリント用材料やその他消耗品にかかる費用は、変動費になります。このコストは、生産する部品数によって大きく変わります。

部品1点の生産にどのくらいの材料が必要になるかを計算し、その数字に材料の価格をかけると材料コストが算出できます。廃棄物やその他消耗品も計算に入れます。生産量が増えると設備所有コストは減少しますが、3Dプリント用材料のコストはあっという間に横ばいになる傾向にあります。

3Dプリントの消耗品は様々に異なるため、部品を生産するのに必要な材料は何かを明確にしておくことが大切です。また、一部の3Dプリンタではメーカーが独自に開発した材料しか使用できないケースがあり、その場合にはサードパーティ製の材料が使用不可となることにもご注意ください。

考慮すべき点:

  • 各種3Dプリント用材料にかかるコスト

  • 部品1点の生産に必要となる材料量(廃棄物含む)

  • 材料の使用期限

  • 部品の生産に必要なその他消耗品の有無

  • そのプリンタでサードパーティ製の材料の使用可否

人件費:

3Dプリンタの導入により、従来の製造方法の複雑な工程を置き換えて作業時間を大幅に削減できるもの、プリント方式によっては依然としてかなりの作業量が必要になる工程があります。

工業品質のデスクトップ型3Dプリンタは、全体的に使いやすさを考慮して最適化されています。DIY向け3Dプリンタやホビイスト向け3Dプリンタの場合は、適切な設定を見つけるために色々な微調整が必要になる傾向があります。一方、従来の産業用プリンタの場合、定期的なメンテナンスや材料の切り替えが発生するため、熟練の作業員による長時間の作業が必要になる可能性があります。

必要な後処理作業は3Dプリント方式によって異なりますが、造形品の洗浄や、サポート材や余分な材料の除去などが必要になるケースがほとんどです。こういった後処理作業を自動化できる製品もあります。例えば、Form Wash & Form CureではSLA光造形プリンタの造形品の洗浄や二次硬化工程を簡素化でき、Fuse SiftはFuseシリーズ SLSプリンタ用の後処理と粉末回収・再利用工程を担うことができます。

高品質な部品を生産したい場合、SLA光造形やSLS方式の場合は特に追加で手間のかかる作業は必要ありませんが、FDM方式の場合は表面品質の向上や積層痕の除去のために手作業による長時間の後処理が必要になります。

考慮すべき点:

  • 部品生産の作業工程プリントのセットアップ、材料の変更、後処理に必要となる具体的な作業手順

  • 造形品の後処理にかかる時間

  • 後処理工程の一部を自動化できるツールや製品の有無

外注と3Dプリントによる内製の比較

3Dプリントによる生産が滅多に発生しない場合や、大型部品やスタンダードな材料以外での造形が必要となる場合には、受託メーカーやラボに外注することをお勧めします。受託メーカーの場合は通常、SLA光造形、SLS、FDM、金属3Dプリンタなど、様々な3Dプリンタが社内に備わっています。また、材料に関する様々なアドバイスや、デザインや高度な仕上げ処理についての付加価値の高いサービスも提供してくれます。

一方で、外注による3Dプリントの主な短所は、そのコストと製造期間です。3Dプリントの最大のメリットの一つが、従来の製造法と比べて生産スピードが遥かに速くなることです。外注の場合、部品の納品までに数日、もしくは数週間かかることがあります。そのため、外注の場合は需要や生産量が増加するにつれてコストも急激に高くなってしまいます。

デスクトップ型3Dプリンタは、部品をその場ですぐに製作したい場合に最適で、部品数と造形サイズによって異なりますが、導入のための投資費用を僅か数か月で回収することも可能です。デスクトップ型やベンチトップ型の3Dプリンタなら、事業のニーズに応じて生産に使用した分だけの支払いが可能で、部品の需要が増えて生産量を増やす場合にも追加のプリンタを導入しやすく、大容量の3Dプリンタに高額な投資をすることなく生産のスケールアップができます。3Dプリンタを複数台導入すると、異なる材料を使った造形を同時並行で行えるようになります。大型部品や一般的でない材料を使った部品を生産する場合は、受託メーカーならこういった柔軟な対応も可能です。

こちらのインタラクティブなROIカルキュレーターで、Formlabsの3Dプリンタで部品を生産した場合に外注と比べてコストや時間をどの程度削減できるのかを実際にご確認いただけます。

直接費以外に考慮すべき点

機器への投資、材料費、人件費は比較的簡単に計算できます。しかし、事業に影響を与える可能性がありながら定量化が難しい、間接費やその他要素についてはどうでしょうか?デスクトップ型の3Dプリンタによる生産と、外注やその他製造方法を比較する際に考慮すべき重要なポイントは以下の通りです。

削減できる時間数:製品を今までより数か月早く市場に投入できるとしたらどうでしょうか。または、製造期間を数日、もしくは数週間削減できるかもしれません。3Dプリントで従来の試作品製作や生産工程を簡素化・高速化し、競争で優位に立つことができます。

品質の向上:3Dプリントで試作・検証工程を高速化できるため、問題点を早期に見つけ出し、より優れた設計で実製品用部品の生産ができます。設計上の欠陥を早期に発見して修正できるため、本来であれば高額になりがちな再設計や金型の変更が必要なくなります。

情報伝達:高品質の試作品や部品を製作できるため、顧客やクライアント、サプライヤー、その他ステークホルダーとより明瞭な情報伝達が可能になり、混乱や高額な修正を回避することができます。

知的財産の保護:機密情報を扱う企業の場合、部品を内製化することで知的財産を第三者に譲渡する必要がなくなり、情報漏洩や知的財産の盗難を防ぐことができます。

3Dプリンタで削減できる費用の算出

製造単価や製造期間を算出して他の製造方法と比較し、検討中の案が本当に事業に適しているのかを判断するには、本来であれば複雑なスプレッドシートやメーカーからの(多くの場合は非公開の)詳細情報が必要で、非常に手間がかかります。

Formlabsの工業品質3Dプリンタを使った場合のコストや製造期間を計算できる、Formlabsのコストカルキュレーターをお試しください。3Dプリンタの導入で削減できる時間とコストを手間をかけずに算出し、他の製造方法と比較できます。