どうすべき?プラスチック製品の量産プロセス

Manufacturing processes for plastics

プラスチックは、エンドユース用のパーツを製造する時に最もよく使う材料の一つで、消費財から医療器具に至るまで、ほぼすべての用途に対応可能です。プラスチックが汎用性の高い材料であるのは、何千種類ものポリマーの組み合わせによって、それぞれ独自の機械的特性を持たせることができるからです。では、プラスチック部品はどのように製造されているのでしょう?

これまでに、様々な用途、部品の形状やプラスチックの種類に対応するなプラスチック製造プロセスが開発されています。製品開発に携わるどのデザイナーもエンジニアも、製法として現在どのようなオプションが利用可能かを知るだけではなく、この先どんな新しい製法が開発され、普及すす兆しがあるのかを学んでおくことも重要です。

本ガイドでは、最も一般的ないくつかのプラスチック部品の製造プロセスの概要、ならびに用途に応じて違う最適な製法の見極め方のガイドラインに提示します。

適切なプラスチック製造プロセスの選び方

製品に応じて異なる最適な製法を選択する際、下記の要素を考慮するようにしてください:

形状:製作しようとしているパーツは内部の構造が複雑ですか?」また、厳しい公差要求を満たす必要がありますか?設計する形状が複雑になればなるほど、対応可能な製法のオプションが限られてきます。また、製作費を抑えるために、製造製考慮設計(DFM)を通じて大幅な最適化を図る必要が出てくるもあります。

ボリューム/コスト: 製造するパーツの総個数または年間の生産量はどれぐらいだと見込んでいますか?製造プロセスによっては、ツーリングやセットアップなどに高額な初期費用が必要になる代わりに、1パーツ当たりの製作単価を低く抑えられるものもあります。それに対して、少量生産用の製造プロセスは、初期費用は低く抑えられても、1サイクルを完了させるまでの所要時間が長かったり、自動化できるステップが少なく手作業に頼る部分が多かったりすると、1パーツ当たりの製作単価は常に一定か、生産量が増えても、単価が下がる率がわずかに止まってしまいます。

リードタイム: パーツまたは最終製品をどれだけ早く完成させる必要がありますか?製造プロセスのリードタイムはまちまちです。24時間以内に最初の部品または製品の製作を完了できるプロセスもあれば、量産プロジェクトで使用するツーリングやセットアップに数カ月も掛かるプロセスもあります。

材料: 製作する製品はどれぐらいの応力や負荷に耐えられるようにする必要がありますか?どの用途にどの材料が最適かは、複数の要素によって決まります。機能面と見た目の美しさのどちらの要件もバランスよく追及できるようにコストを配分する必要があります。ある特定の用途で求めている理想的な特性をまず頭に描き、どの材料なら利用可能な製造プロセスでその特性を最大限に発揮できるようになるかを考えます。

Manufacturing processes for plastics - Infographic - 3D Printing, CNC Machining, Polymer Casting, Rotational Molding, Vacuum Forming, Injection Molding, Extrusion, Blow Molding

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FDM vs SLA vs SLS video guide
Video Guide

3Dプリント方式の選定方法

ニーズに最も合った3Dプリント技術がどれか確信を持てない時がありますか?このビデオガイドをご覧になれば、広く一般的な用途別にFDM、SLAとSLSのどれが最適な技術かを比較検討できるようになります。

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プラスチックの種類

プラスチックは、幅広い機能面や見た目の美しさを際立たせる幅広い特性に対応できるように、様々な化学物質、派生物や添加剤を調合して数千種類のバリエーションが生み出されています。

この中から、特定の部品または製品の製作に最も適した材料を選ぶのは大変なので、まず対象を熱可塑性プラスチックと熱硬化性プラスチックという主要な二種類のプラスチックに絞ることにします。

熱可塑性プラスチック

熱可塑性プラスチックは、最も広く使われているプラスチックの種類です。熱可塑性プラスチックは、何度も溶かしたり、固めたりしても、あまり劣化しません。そこが熱硬化性プラスチックと大きく違う点です。熱可塑性プラスチックは通常、小さな粒またはシートで支給されます。それを熱すると溶け、製作者がお望みの形状に変えていけるようになります。その際、化学結合しませんので、全く逆のプロセスを実施することも可能です。このように熱可塑性プラスチックは溶かして再利用できるので、リサイクル材料としても有効です。

一般的な熱可塑性プラスチック材料の種類:

  • アクリル(PMMA)
  • アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)
  • ポリアミド(PA)
  • ポリ乳酸(PLA)
  • ポリカーボネート(PC)
  • ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)
  • ポリエチレン(PE)
  • ポリプロピレン(PP)
  • ポリ塩化ビニル(PVC)

熱硬化性プラスチック

熱可塑性プラスチックとは対照的に、熱硬化性プラスチックは硬化して固形化すると、その形を永久に維持します。熱可塑性プラスチック内のポリマーは、熱、光または適度の放射線に誘発されて起きる硬化の過程で交差結合します。この硬化プロセスで発生する化学結合は不可逆的です。熱硬化性プラスチックは、熱せられると溶けずに分解します。その後に冷やしても元には戻りません。熱硬化性プラスチックは、元の基礎原料に戻すことはできません。従って、再生利用はできません。

一般的な熱硬化性プラスチック材料の種類:

  • シアン酸エステル
  • エポキシ
  • ポリエステル
  • ポリウレタン
  • シリコン
  • 加硫ゴム

製造工程の種類

3Dプリント

3Dプリンタ は、CADモデルのデータに基づいて、材料の層を積み上げながら、立体的なパーツを造形していきますます。この積層プロセスは、物理的なパーツが完成するまで続きます。

 

製造工程

  1. セットアップ: セットアップ時には、プリント準備ソフトウェアを使って、モデルの向きやプリンタのビルド容積内でのレイアウトを決め、サポート材を生成し(必要に応じて)、それによって支えられるモデルをレイヤーにスライスしたりします。

  2. 造形: 造形のプロセスは、採用する3Dプリント技術の種類 によって変わります:熱溶解積層法(FDM)であれば、プラスチックのフィラメントを溶かします;光造形(SLA)方式の場合は、液体レジンを硬化させます;また粉末焼結造形(SLS)であれば、粉末のプラスチックを溶解します。

  3. 後処理: 造形が終わると、パーツはプリンタから取り出され、洗浄され、二次硬化させられ(採用する3Dプリント技術による)、サポート材が取り外されます(サポート材を使っている場合のみ)。

3Dプリンタの場合、新しいデザインに基づいて部品や製品を造形する際、ツーリングは不要で、セットアップに掛かる時間も最小限に抑えられます。カスタム部品を3Dプリンタで製作する時のコストは、従来の製造プロセスに比べてはるかに少なくてすみます。

3Dプリントのプロセスは通常、大量生産用の製造プロセスよりも時間が掛かり、労働集約的です。

3Dプリント技術が進化するにつれ、1パーツ当たりの製作単価は下がり、対応可能な少量から中量の製作プロジェクトの幅が広がります。

3Dプリント
形状高い自由度
リードタイム24時間未満
サイクル時間1時間から数時間。パーツのサイズやボリュームによって変動。
セットアップ費
パーツ一個当たりの単価$$$
ボリューム少量から中量生産用(1~1000個)

プラスチック製造プロセスの多くは、高価な工業機械、専用施設や熟練したオペレーターを必要としますが、3Dプリントを使えば、プラスチック部品や プロトタイプ の制作を簡単に内製化することができます。

プラスチック部品製作用のデスクトップまたはベンチトップ型の3Dプリントシステム は、手頃な価格が設定されているため、導入しやすいです。また、コンパクトサイズなので、わずかなスペースさえあれば容易に設置できます。プロのエンジニア、デザイナーやメーカーは、特殊なスキルがなくても簡単に操作できるように設計されているこうしたシステムを活用することで、反復的な検証作業や本番生産のサイクルを数日から数週間に短縮することが可能です。

材料

市場には数多くの種類の3Dプリンタや3Dプリント技術が出回っています。どの材料が利用可能かは、導入する技術によって変わります。

3Dプリント材料
熱溶解積層法(FDM)熱可塑性プラスチック(主にABSとPLA)
光造形(SLA)熱硬化性樹脂
粉末焼結積層造形(SLS)熱可塑性プラスチック(主にナイロンやナイロンが入った複合材料)
Stereolithography
White Paper

光造形(SLA)方式のデスクトップ型3Dプリント技術の紹介

高精細3Dモデルを製作できる3Dプリンタをお探しですか?それでしたら、SLAプリントがどのように機能し、驚くほど精細なモデルを製作できる3Dプリント方式として、どれほど広く活用されているかを詳しく学ぶことができるこのホワイトペーパーをダウンロードしてください。

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CNC機械加工

CNC機械加工には、ミル、旋盤やコンピュータ制御のサブトラクティブ(除去加工)プロセスなどが含まれています。CNCツールを使った製作工程は、まずプラスチック、金属または他の材料をブロック状、帯状や棒状にした固形物を用意するところから始まります。次にその固形物を裁断、ボーリング、掘削や研削などの方法で削っていきながら、設計した形状に造形していきます。

CNC機械加工は、他の多くのプラスチック製造工程と違って、サブトラクティブ(除去加工)プロセスです。回転ツールと固定部品(ミル)または回転パーツと固定部品(旋盤)のどちらかを使って材料を取り外します。

 

製造工程

  1. ジョブのセットアップ: CNC機は、(CADからCAMへの)ツールパスを生成し、その有効性を確認する中間ステップを踏む必要があります。ツールパスには、切削ツールが辿る経路や移動速度、ツールの取り換えが必要になる状況などが設定されています。

  2. 機械加工: ツールパスのデータは、サブトラクティブ(除去加工)プロセスを開始するマシンに送信されます。最終製品に求められる形状によっては、ワークピースの位置を変え、ツールのヘッドがこれまで届かなったワークピースの違うエリアに届くようにすることが必要になる場合があります。

  3. 後処理: 製造工程が完了すると、パーツのクリーニング、デバリングやトリミングなど、必要な後処理を行います。

機械加工は、許容誤差が厳しく、金型を作るのが難しい複雑な形状が求められる少量生産用のプラスチック製品を製作する手法として適しています。典型的な用途として、滑車、歯車、軸受筒といった部品のプロトタイプやエンドユース用パーツの製作などがあります。

CNC機械加工のセットアップに要する費用は低額か中程度です。セットアップ後は、幅広い種類の材料を使って高品質のプラスチック部品を短いリードタイムで製作できます。

対応可能なパーツの形状については、機械加工プロセスの方が3Dプリントよりも制約が多いです。1パーツ当たりの機械加工単価は、パーツの形状が複雑になればなるほど高くなります。アンダーカット、パススルーや複数の加工面があれば、その分だけ単価が上がります。

機械加工プロセスは、ツールが通れるようにするアクセスルートを確保する必要があります。また、曲がりくねった内部チャネルなど、従来のサブトラクティブ(除去加工)法では対応が難しいまたは不可能な形状には対応できません。

CNC機械加工
形状中程度の自由度
リードタイム24時間未満
サイクル時間1時間から数時間。パーツのサイズ、デザインや複雑さによって変動。
セットアップ費$$
パーツ一個当たりの単価$$$$
ボリューム少量から大量生産用(1~5000個)

材料

硬質のプラスチックは、作業するのが難しい一部を除いて、ほぼすべて機械加工できます。柔らかめの熱硬化性プラスチックの場合、機械加工中にパーツを支えるために特殊なツーリングを用意する必要があります。また、充填プラスチックの中には摩耗しやすく、切削ツールの寿命を短くしてしまうものもあります。

機械加工によく使われるプラスチックの中には、以下の種類が含まれます:

  • アクリル(PMMA)
  • アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)
  • ポリアミドナイロン(PA)
  • ポリ乳酸(PLA)
  • ポリカーボネート(PC)
  • ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)
  • ポリエチレン(PE)
  • ポリプロピレン(PP)
  • ポリ塩化ビニル(PVC)
  • ポリカーボネート(PC)
  • ポリスチレン(PS)
  • ポリオキシメチレン(POM)
Jigs
Webinar

製作現場でのイノベーション:3Dプリントした冶具や固定具

このウェビナーでは、冶具や固定具を機械加工せずに3Dプリントする方法を設計段階から解説し、製作現場に3Dプリント環境を置くことによって、いかに現場の作業効率が向上するかを5つの視点で説明します。

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ポリマー鋳造

ポリマー鋳造では、化学反応を起こして固形化する反応性の液体樹脂またはゴムが金型に充填されます。鋳造によく使用されるポリマーとしては、ポリウレタン、エポキシ、シリコンとアクリルなどがあります。

 

製造工程

  1. 金型の準備: 金型には離型剤を塗っておきます。そうしておくと、鋳造後の離型が容易になります。また、金型は、使用する材料に応じて異なる特定の温度まで予め加熱しておくことが多いです。

  2. 鋳造: 合成樹脂と硬化剤の混合物が金型に注入または射出され、金型の空洞部分を埋めます。

  3. 硬化: 金型の内部は鋳造によって固形化します(ポリマーによっては金型を加熱することで硬化時間が短縮できるものもあります)。

  4. 離型: 鋳造後に金型を開き、金型内部で硬化したパーツを取り出します。

  5. トリミング: 鋳造時に発生したバリやスプルーは切断するか、研磨して取り除きます。

ラテックスゴムやRTV(室温加硫)シリコンゴムで作られた弾力性のある金型は、ハードツーリングに比べれば安価ですが、ウレタン、エポキシ、ポリエステル、アクリルなどの化学反応により、金型表面が劣化するため、限られた数量(25~100程度)しか製作できません。

RTVシリコンゴムで作られた金型は、非常に細かなディテールまで再現できるため、高品質の鋳物を製作できます。 光造形(SLA)の3Dプリント は、高解像度で微細な形状を再現できることもあり、CAD設計から直接 金型のマスター を製作する方法として広く活用されています。

ポリマー鋳造は、初期投資が少なく比較的安価ですが、鋳造用の熱硬化性ポリマーは通常、熱可塑性ポリマーに比べて高価であり、鋳物を完成させるまで手間がかかります。鋳物は、後処理に手間がかかるため、射出成形などの自動生産方式に比べ、部品1個あたりの最終コストが高くなります。

ポリマー鋳造は、典型的にプロトタイピングや短納期な製作プロジェクトに採用される製法で、一部のデンタルやジュエリーの用途にも使われています。

ポリマー鋳造
形状高い自由度
リードタイム24時間未満から数日
サイクル時間数分から数日(硬化時間による)
セットアップ費$
パーツ一個当たりの単価$$
ボリューム少量生産用(1~1000個)

材料

  • ​​​​​​ポリウレタン
  • エポキシ
  • ポリエーテル
  • ポリエステル
  • アクリル
  • シリコン

回転成形

回転成形は、粉末状の熱可塑性プラスチックを充填した中空金型を2軸の周りに回転させながら加熱し、主に大型の中空成形品を製作する手法として用いられています。熱硬化性プラスチックの回転成形プロセスも存在しますが、それほど広く活用されていません。

 

製造工程

  1. 充填: プラスチックパウダーが金型のキャビティ(空洞部分)に充填され、その後、金型の残りの部分が取り付けられたら、キャビティが閉じられ、金型が次の加熱工程に移ります。

  2. 加熱: 金型は中のプラスチックパウダーが溶け、金型の壁に密着するまで加熱されます。その間、プラスチックのコーティングが均一になるよう、金型は2つの垂直軸の周りを回転します。

  3. 冷却: 完全に固まる前に部品の肌がたるんだり崩れたりしないように、金型を冷却する時は動かしながらゆっくりと冷やします。そうすることによって、パーツの表層部分が完全に固まる前に垂れ下がったり、崩れたりするのを防ぎます。

  4. パーツの取り外し: 金型からパーツを取り外します。バリが発生していれば、トリミングで取り除きます。

回転成形は、圧力ではなく遠心力を利用して金型に充填するため、他の成形技術に比べてツーリング費を低く抑えることができます。金型は、エポキシやアルミニウムから製作、CNC機械加工、鋳造や成形することができますが、そのコストは他の成形プロセスよりも低く、所要期間も、特に大型部品成形用のツーリングと比べると、遥かに短いリードタイムで完成させることができます。

回転成形では、ほぼ均一な肉厚のパーツを製作できます。ツーリングと成形プロセスの準備が一旦整えば、パーツ1個当たりの製作単価は、パーツの大きさに比例しますが、非常に低く抑えることができます。また、金型に金属のネジや内管、構造物など、予め完成されたピースを追加することも可能です。

これらのことから、回転成形は短納期プロジェクト用の成形プロセスまたは少量生産用のブロー成形の代替手法として最適だと考えられています。回転成形で製作される典型的な製品としては、タンク、ブイ、大型容器、玩具、ヘルメットやカヌーの船体などがあります。

回転成形には、設計上の制約が一部ありますが、最終製品の許容誤差は緩めです。また、金型全体を加熱・冷却する必要があるため、サイクルタイムが長く、手間もかかります。そのため、大量生産には不向きです。

回転成形
形状中程度の自由度(大型の中空部品に最適)
リードタイム数日から数週間
サイクル時間典型的に1時間未満
セットアップ費$$$
パーツ一個当たりの単価$$
ボリューム中量生産用(200~5000個)

製造工程

回転成形の材料として最も一般的なのはポリエチレン(PE)で、用途の8割に使われています。その主な理由は、PEが常温で簡単に粉末にすることができるからです。

回転造形には主に下記のプラスチックの種類が広く使われています:

  • ポリエチレン
  • ポリプロピレン
  • ポリ塩化ビニル
  • ナイロン
  • ポリカーボネート

真空造形

真空成形は通常、金型を使ってプラスチックを加熱し、成形する製造方法です。真空成形機は、低価格のデスクトップ型から自動化された工業機械まで、サイズも複雑さも様々です。典型的な工業用真空成形プロセスでは、以下のステップを踏みながら作業を進めます。

 

製造工程

  1. クランプ: プラスチックシートがフレームにはめ込まれています。

  2. 加熱: シートとフレームを発熱体に近づけることで、プラスチックが柔らかく、しなやかになります。

  3. 真空: フレームを下降させ、プラスチックを金型に張り付けながら、真空装置を作動させてプラスチックと金型の間の空気をすべて吸い出し、パーツを成形します。

  4. 冷却と取り外し: パーツが金型の上で成形されたら、取り外せるようになるまで冷却する必要があります。ファンやスプレーミストなどの冷却システムを使って、サイクル時間を短縮することも時々あります。

  5. トリミング: パーツが金型から取り外せるようになったら、手またはCNCマシンを使って余分な材料をパーツから切り取ります。

真空成形のツーリング費用は、他の成形技術に比べて、少ない力と圧力で成形できるため、低く抑えることができます。金型は、木材、石膏、 3Dプリントされたレジン などから作られ、短納期プロジェクトやカスタムパーツ製作用の型として使われます。大量生産用のプロジェクトでは、製造業者の多くが、より耐久性の高い金属ツーリングを使用します。

熱成形機や真空成形機は幅広く活用されており、ハイエンド機種では自動化も進んでいます。カスタム製品やプロトタイプから大量生産まで、あらゆる用途に対応できるのが熱成形の特徴です。しかし、このプロセスでは形状の自由度が限られており、比較的薄肉で単純な形状の部品の製造にしか使えません。

一般的な真空成形品には、製品パッケージ、シャワートレイ、車のドアライナー、ボート船体や歯科用アライナーといったカスタム製品が含まれています。

真空造形
形状自由度は限定的。薄肉部品に限られている。複雑な形状には対応不可。
リードタイム24時間未満から数週間
サイクル時間数秒から数分。使用する機械類による。
セットアップ費$-$$$$
パーツ一個当たりの単価$-$$$
ボリューム無制限

材料

大半の熱可塑性プラスチックは、熱成形に使用可能で、熱成形用の材料として選択の幅が広いです。

熱成形によく使用されるプラスチックの例:

  • アクリル(PMMA)
  • アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)
  • ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)
  • ポリスチレン(PS)
  • ポリカーボネート(PC)
  • ポリプロピレン(PP)
  • ポリエチレン(PE)
  • ポリ塩化ビニル(PVC)

射出成形

射出成形(IM)では、溶融した熱可塑性プラスチックを金型に注入して成形します。プラスチック部品の大量生産に最もよく使われているプロセスです。

 

製造工程

  1. 金型のセットアップ: パーツにインサートがある場合は、手作業またはロボットでインサートを追加します。金型を油圧プレスで閉じます。

  2. 金型のセットアップ: 小さなプラスチックペレットを溶かし、加熱されたチャンバーからスクリューで押し出します。

  3. 金型への注入: 溶けたプラスチックを金型に注入します。

  4. 冷却と取り出し: パーツを金型内で冷却し、機械的または圧縮空気で排出できるようになるまで固形化します。

  5. 後処理: スプルー、ランナーやバリ(ができていれば)をパーツから取り除きます。この処理は多くの場合、型開きの一部として自動的に行われます。

射出成形用の金型は非常に複雑で、高品質のパーツを製造するために厳しい公差で製造する必要があります。この金型を製作するには高温高圧の環境が必要なため、硬化鋼などの金属を使って機械加工されることが多いです。柔らかいアルミを使って製作する金型は安価ですが、摩耗が早いので、製造工程が中程度の長さのプロジェクトに使用されるのが一般的です。

射出成形は、高度に複雑なパーツを作ることができますが、形状によってはコストが大幅に上昇することがあります。 製造性考慮設計(DFM) ガイドラインに従うと、ツーリング費用を管理しやすくなります。射出成形用の新しい金型を製作するのに何か月もかかり、費用が非常にかさんでしまう場合もあります。

このように高額な初期費用が必要で、準備期間も長くかかりますが、射出成形ほど大量生産プロジェクトに向いている成形プロセスは他にありません。金型の準備が完了し、製造工程に使用可能になれば、数秒単位のサイクル時間で稼働し、他の製造工程の何分の一かのコストで、高品質のパーツを何百万個も量産できるようになります。

射出成形
形状適度から高い自由度
リードタイム2~4ヵ月
サイクル時間数秒
セットアップ費$$$$$
パーツ一個当たりの単価$
ボリューム大量生産用(5000個以上)

材料

射出成形には、ほとんどの種類の熱可塑性プラスチックが利用可能です。熱硬化性プラスチックを使う場合は、反応射出成形(RIM)と呼ばれる同様の手法が用いられます。

射出成形によく使われるプラスチックとして、以下の種類が含まれます:

  • アクリル(PMMA)
  • アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)
  • ポリアミド(PA)
  • ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)
  • ポリスチレン(PS)
  • ポリカーボネート(PC)
  • ポリプロピレン(PP)
  • ポリエチレン(PE)
  • ポリ塩化ビニル(PVC)
Silicone Molding
White Paper

3Dプリントした型を使った少量高速射出成形

FormlabsWebサイトでは3Dプリント製の金型で射出成形を行う際のガイドラインを詳述したホワイトペーパーや、実際にこの手法を導入しているBraskemやHolimaker、Novus Applicationsのケーススタディをダウンロードしていただけます。

※本ホワイトペーパーは現在翻訳中です。近日のアップデートをお待ちください。内容の詳細は[email protected]までお問合せください。

ホワイトペーパーを読む

押出成形

押出成形では、ダイにプラスチックを押し込んで成形します。金型の形状は、最終部品の断面形状と同じです。

 

製造工程

  1. プラスチックの押し出し: プラスチックを加熱し、スクリューによって加熱されたチャンバーに押し込みます。

  2. 成形: プラスチックは、部品の最終的な形状を作る金型に押し込まれます。

  3. 冷却: 押し出されたプラスチックは冷やされます。

  4. 切断または巻き取り: 連続した形状は、適切な長さに切断するか、スプールで巻き取ります。

押出成形機は、CNCや射出成形などの他の工業機械に比べ、それほど複雑ではなく、高い機械精度も要求されないため、比較的低コストで導入できます。また、形状が単純なため、金型のコストも射出成形用の金型の数分の一で済みます。

射出成形と同様に、押出成形はほぼ連続的に行われるため、押出成形品の価格は非常に低くなります。

押出成形で製造できる形状は、T字型、I字型、L字型、U字型、角型、丸型などの連続した形状の製品に限られます。代表的な用途としては、パイプ、ホース、ストローや窓枠のモールディングなどがあります。

押出成形
形状限定的、長い連続的な形状のみ
リードタイム数週間
サイクル時間数秒(または連続)
セットアップ費$$$
パーツ一個当たりの単価$
ボリューム中量から大量生産用(1000個以上)

材料

下記を含む、ほぼすべての熱可塑性プラスチックが押出成形に使用可能です:

  • アクリル(PMMA)
  • アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)
  • ポリアミド(PA)
  • ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)
  • ポリスチレン(PS)
  • ポリカーボネート(PC)
  • ポリプロピレン(PP)
  • ポリエチレン(PE)
  • ポリ塩化ビニル(PVC)

ブロー成形

ブロー成形とは、金型内で加熱したプラスチックチューブを膨らませ、目的の形状に成形することで、中空のプラスチック部品を作る製造方法のことです。

 

製造工程

  1. 金型のセットアップ: 小さなプラスチックペレットを溶かし、パリソンまたはプリフォーム(ブロー成形のサブタイプによって異なる)と呼ばれる中空管に成形します。

  2. 金型成形: パリソンを型にはめ込み、加圧した空気でパリソンを膨らませ、型の中の形状に合わせます。

  3. 冷却と取り出し: 成形品を射出可能な固さになるまで金型の中で冷却します。

ブロー成形は、射出成形よりも遥かに低い圧力で行われるため、金型製作コストも低く抑えることができます。ブロー成形は、射出成形や押出成形と同様に、完全自動化が可能な連続プロセスであり、高い生産率と低い単価を実現することができます。

プラスチック製の中空製品を大量に製作するには、ブロー成形が最も一般的な方法です。代表的な用途としては、ボトル、玩具、自動車部品、工業部品、包装材などがあります。

ブロー成形
形状自由度は限定的。薄肉部品に限られている。複雑な形状には対応不可。
リードタイム数週間
サイクル時間数秒
セットアップ費$$$$
パーツ一個当たりの単価$
ボリューム大量生産用(5000個以上)

材料

ブロー成形は、様々な熱可塑性プラスチックで行えます。その代表例としては、以下の種類が含まれます:

  • ポリエチレンテレフタレート(PET)
  • ポリプロピレン(PP)
  • ポリ塩化ビニル(PVC)
  • ポリスチレン(PS)
  • ポリカーボネート(PC)
  • アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)

3Dプリンタでプラスチック部品を高速製造

プラスチック製造工程は常に進化しており、ある技術から別の技術に移行することで、設備、材料や規模の経済の改善が図れる場合もあります。

比較的新しい技術である3Dプリントは、ハードウェアと材料の改良、パーツ1個当たりの製作単価の低下によって、中・少量生産の幅広い用途に対応できるようになったことで、急速に普及しています。

大手メーカーが3Dプリントを活用して、コスト削減と設計から生産までのリードタイム短縮を実現している事例をご紹介します。