切削・穿孔用骨シミュレーションモデルの製作

ClearレジンとWhiteレジンで3Dプリントした接合部

3Dプリントによる骨シミュレーションモデルの製作は、患者固有の骨格構造をリアルに再現し、それを医療従事者・研究者・エンジニアが手にできるようにすることで、医療トレーニング・手術計画・研究・医療機器開発を大きく変革しつつあります。

骨シミュレーションモデルの内製化は、遺体骨や外注の汎用モデルを用いる従来手法に比べ、コスト削減・待ち時間の短縮・患者固有あるいはカスタム形状の製作といった多くの利点をもたらします。

Formlabsの豊富な材料ラインナップから最も骨に近い特性を持つ材料を特定するため、骨の切削・穿孔経験が豊富な8名の臨床協力者とその同僚から詳細なフィードバックを収集しました。

  • 各協力者には、自身の患者のスキャンデータに基づいて複数の異なる材料で造形された骨モデル一式を提供しました。 
  • これらのモデルに対し、骨ドリル、ノコギリ、リーマーを用いた切削や穿孔など標準的な手術手順を実施してもらいました。 
  • 質的フィードバックはビデオ通話で、量的フィードバックは骨様特性を評価する採点マトリクスで収集しました。
  • 総合パフォーマンススコアに基づいて推奨材料を選定し、その結果に対し質的フィードバックによる裏付けを行いました。 

現在、骨シミュレーションモデルの製作に推奨される材料は、BioMed DurableレジンRigid 4000レジンの2つです。SLA光造形による切削・穿孔用の骨様解剖モデルの内製化に必要な手順を網羅したステップバイステップのガイドもご用意しています。ダウンロードしてご活用ください。

左:3Dプリント製の医療器具、右:ヘッドセットを着用してPCに向かう人物
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患者様一人ひとりに合った手術器具や心臓補助装置のプロトタイプなど、医療用途での造形に関するご相談をいつでも受け付けております。Formlabs Medicalチームは専門のスペシャリスト集団として、お客様や企業のニーズを的確にサポートします。

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骨シミュレーションモデルとは

骨シミュレーションモデルとは、切削や穿孔時に実際の骨と同様の機械的特性を示す機能的な解剖学モデルです。これらのモデルは、外科手順の練習・トレーニングなど、医学教育の現場で広く利用されています。症例に特化した解剖構造を再現するため、患者のスキャンデータを基に製作されることもあります。このようなケースでは、臨床医は実際の手術前に特定のアプローチを試すことができるだけでなく、滅菌後に参照用として手術室へ持ち込むことも可能です。また、医療機器開発者がカッティングガイドやテンプレートなど、骨に接触するツールの適合性や機能を検証する目的で用いることもあります。

2つの鼻モデル(左:Rigid 4000レジン、右:BioMed Durableレジン)。

鼻骨骨切り術のトレーニングモデル。左がRigid 4000レジン(加熱なしで硬化)、右がBioMed Durableレジンで造形したもの(提供:Beth Israel Deaconess医療センターのLauren Schlegel博士)。

3Dプリント製の脊椎モデル

Rigid 4000レジンで造形し、加熱なしで硬化させた脊椎モデル。

骨シミュレーションモデルの3Dプリントに最適な材料の選び方

Formlabsでは、骨シミュレーションモデルの3DプリントにはBioMed Durableレジンを第一候補として推奨しています。BioMed Durableレジンは、生体適合性が求められる用途向けに開発された透明材料で、衝撃・破損・摩耗に対する耐性を備え、透明でありながら骨に近い機械的特性を発揮する材料として最高評価を獲得しました。一部のテスターは、不透明な標準骨モデルより手元の可視化に優れているとして、材料の透明性を高く評価しています。BioMed DurableレジンのX線不透過性(CT値)は約84HUで、実際の骨よりは低くなるものの、CTでも十分に視認できます。BioMed Durableレジンによる造形品は滅菌が可能で、手術室における手術計画用途での使用にも適しています。

「BioMed Durableレジンは、薄い骨が持つわずかな柔軟性と、圧力下でのリアルな骨折挙動のバランスに優れています。プリントしやすさも相まって、医療現場でのシミュレーションに最適な材料です」

Beth Israel Deaconess医療センター、Lauren Schlegel医学博士

2つ目の推奨材料は、Rigid 4000レジン(加温なしで硬化)です。Rigid 4000レジンは、骨の機械的特性の再現度ではBioMed Durableレジンにやや劣るものの、依然として有力な選択肢です。この材料は、不透明なモデルを好むテスターから特に高く評価されました。加温せずに硬化させることで、モデルの外層と内層で異なる機械的特性を持たせることができ、海綿骨と緻密骨の違いをより現実に近い形でシミュレートできます。Rigid 4000レジンのX線不透過性は341HUで、概ね海綿骨の範囲内に相当します。

X線不透過性値の算出手順の詳細についてはこちらをご覧ください。

BioMed DurableレジンRigid 4000レジン*
機械的性能★★★★★★★★☆☆
骨との視覚的類似性☆☆☆☆☆★★★★☆
骨とのX線不透過性の類似性★★☆☆☆★★★★☆
生体適合性
減菌処理対応

※これらのモデルを造形する際、Rigid 4000レジンは加温せずに硬化させます。詳しい二次硬化手順については、ガイドをダウンロードしてください。 

顎のモデル左が白色モデル、右が透明モデル。

Rigid 4000レジン(加温なしで硬化、左)とBioMed Durableレジン(右)で造形した骨解剖モデル。

「FormlabsのBioMed Durableレジンは、骨様モデルの製作で私が最も信頼しているレジンです。この透明性は臨床現場では非常に有用で、手術準備段階で重要な解剖学的ランドマークの確認が容易になります。私の臨床では教育・トレーニングにも用いており、初心者が手術中に遭遇する重要な構造を明瞭に把握できます」

Alfred獣医整形外科、Desmond Tan氏(BVSc、DACVS-SA)

BioMedレジンで造形した多彩なサンプルパーツ
無償サンプルパーツ

BioMedレジンのサンプルパーツ

BioMedレジンのサンプル品にはエンボス・デボス加工が施され、カットアウトの厚みは0.5~2.0mmと、細部の仕上がりをご確認いただけます。また、本レジン固有の規制関連情報も付属しています。

無償サンプルパーツのお申込
Form 4B 3Dプリンタの前には、骨格を持った3Dプリント製の透明な手のモデルが置かれている。
技術資料

Formlabsの生体適合性レジン:最適な材料選択のための完全ガイド

本技術資料では、Formlabsの生体適合性材料の比較検討、およびお客様の医療用途に最適な材料の選択に役立つ情報をご提供します。

技術資料をダウンロード

骨シミュレーションモデルの設計・プリント手順

患者スキャンに基づく骨構造セグメンテーションのMaterialise Mimicsスクリーンショット

患者スキャンに基づいてMaterialise Mimics Innovation Suiteで骨の解剖構造をセグメンテーションした例。

設計

CT、MRI、または3D超音波画像などで製作したい骨構造を取得し、任意のセグメンテーションソフトウェアでセグメンテーションします。骨モデルによっては、プリント成功のために追加の修正が必要となる場合があります。場合によっては、レジン排出用の水抜き穴を設けたり、脆弱な部分に厚みをつけて補強する必要があります。完成したモデルがForm 4シリーズプリンタ、Form 3/3BForm 3L/3BLのFormlabsデザインガイドラインに準拠していることを確認してください。

PreFormでサポート材付きの解剖モデルを表示したスクリーンショット

長いモデルの理想的な配置例急な角度をつけてモデルを配置することで自立性が高まり、サポート材の密度を抑えながらビルドプラットフォーム上により多くのモデルを配置できる(モデル提供:Desmond Tan博士(Alfred獣医整形外科、Alogus Innovation経由

)。

プリント

PreFormにファイルをインポートします。造形方向を設定してサポート材を追加し、ビルドプラットフォーム上でモデルの配置を調整します。必要に応じて、プリンタへ送信する前にラフトまたはモデル自体に患者の識別情報を追加できます。

警告:コンプライアンス準拠と生体適合性の完全性を維持するためには、BioMed Durableレジン専用のレジンタンクとビルドプラットフォームが必要です。すべての骨シミュレーション製作用途において、完全なコンプライアンス準拠と生体適合性が求められるわけではありません。

ビルドプラットフォーム上の3Dプリント製解剖モデル。

Form 4Bで造形直後のRigid 4000レジンによる製腸骨モデル。

後処理

プリント後は造形品をビルドプラットフォームから取り外し、Form WashまたはForm Wash Lで洗浄します。サポート材を除去し、再洗浄・乾燥のうえ、指示に従って二次硬化を行ってください。より骨に近い機械的特性を得るために推奨される二次硬化時間は、技術資料を参照してください。

警告:コンプライアンス準拠と生体適合性の完全製を維持するために、BioMed Durableレジンの使用時は専用のForm WashまたはForm Wash Lが必要です。これらの機器は、Formlabsの他の生体適合性レジンでのみ使用してください。

生体適合性と滅菌性

BioMed Durableレジンは、ISO 10993およびUSP Class VIの認証取得済み材料です。FDA登録済みかつISO 13485認証取得済み工場で製造され、長期の皮膚・粘膜接触(30日以上)、短期の組織・骨・象牙質との接触(24時間以内)を必要とする外部通信機器としての用途にも対応しています。BioMed Durableレジンは、蒸気、ガンマ線、エチレンオキサイド、Eビームによる滅菌に対応しています。BioMed Durableレジンの滅菌ガイドラインおよび試験結果は、ご要望に応じて提供可能です。

Rigid 4000レジンは汎用エンジニアリング材料であり、医療用途を想定して特別に開発されたものではありません。このため、生体適合性試験は実施されておらず、現時点で滅菌・消毒ガイドラインも存在しません。

ウェビナー用タイトルカード
ウェビナー

STERISとFormlabsによる3Dプリントモデルの滅菌

3Dプリント品の滅菌は考慮すべき重要な工程であるにもかかわらず、関連情報の入手が難しい場合があります。感染予防や手術関連製品の大手プロバイダーであるSTERISによる、3Dプリント部品の活用方法をご覧ください。

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3Dプリントによる内製化を実現

骨シミュレーションモデルは、医療教育・手術計画・研究・医療機器開発に多くのメリットをもたらすツールです。3Dプリントを活用した内製化により、遺体骨や外注の汎用モデルを用いるよりも低コスト・短納期での入手が可能になり、かつ高度なカスタマイズも実現できます。滅菌対応のモデルを選べば、手術室に持ち込んで手術中に参照することも可能です。

さらなる詳細は、アプリケーションガイドをダウンロードするかForm 4Bの製品情報をご確認ください。お客様企業の目標達成にどう3Dプリントを活用できるのかについて、3Dプリントのスペシャリストへのご相談も承っております。お気軽にご相談ください。