医療機器の開発には、長い年月と数十万ドル規模の費用がかかることが少なくありません。Formlabsの規制関連及び品質保証(RA/QA)チームは、お客様企業と連携し、このプロセスの効率化を支援しています。その方法の一つが、FormlabsのBioMedレジンに関するマスターファイル(MAF)をアメリカ食品医薬品局(FDA)に提出することです。
「[マスターファイルによる]信頼性の裏づけがあったからこそ、510(k)(市販前通知)に要した費用は50万ドルではなく15万ドルで済みました。しっかりしたマスターファイルがなければ、これほど良い結果にはならなかったでしょう」
TechFit CEO兼共同創設者、Mauricio Toro氏
マスターファイルとは?
マスターファイルとは、FDAに提出する機密資料で、市販前承認(PMA)、510(k)、治験医療機器に対する適用免除(IDE)、De Novo申請などにおいて、他社が参照できる情報を含みます。マスターファイル自体はFDAによる承認・不承認の対象ではありませんが、当該マスターファイルが参照情報として付帯された申請内容の審査において、ファイルの内容が評価されます。
要するに、機密となる商業データを保護しつつ、メーカーとFDAの間で重要な情報の共有を可能にすることで、規制対応のプロセスを合理化するものです。マスターファイルはFDAのみに開示され、ユーザーに共有されることはありません。そうすることで、企業秘密を守りながら健全な科学的評価を行うことができます。デバイスマスターファイルに関する情報は、FDAのWebサイトでご確認いただけます。
FDAのマスターファイルには次の5種類があります。
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デバイスマスターファイル(Device Master Files/MAF)
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生物製剤マスターファイル(Biologics Master Files/BMF)
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ドラッグマスターファイル(Drug Master Files/DMFs)
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食品マスターファイル(Food Master Files/FMFs)
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動物用医薬品マスターファイル(Veterinary Medicine Master Files)
これらは、医療機器・放射線保健センター(CDRH/Center for Devices and Radiological Health)、生物製品評価研究センター(CBER/Center for Biologics Evaluation and Research)、医薬品評価研究センター(CDER/Drug Evaluation and Research)など、FDA内のさまざまなセンターと密接に連携しています。各センターで審査される提出書類の中でその情報が参照される場合、各センターにそれぞれマスターファイルを提出する必要があります。
また、マスターファイルは含まれる情報によっても分類されます。FDAはこれらを「機能タイプ」と呼び、それぞれを以下のように定義しています。
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設備および製造手順・管理
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化学物質・材料(合金、プラスチック等)または機器用サブアセンブリの合成・処方・精製・規格
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梱包材
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受託包装およびその他の製造(例:滅菌)
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非臨床試験データ
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臨床試験データ
Formlabsが提出するデバイスマスターファイルは複数の機能タイプで構成され、処方情報と非臨床試験データを含みます。これは、機密情報となるレジンの配合をFDAと共有し、非臨床データも提供しているためです。
用語の整理
Formlabsはマスターファイル(MAF)の提出者であるため、「MAFホルダー(MAF Holder)」に該当します。BioMed材料を使用し、Formlabsのマスターファイルを参照するお客様は「申請者(Applicant)」です。ただし、治験医療機器に対する適用免除(IDE)を提出するお客様は「スポンサー(Sponsor)」と呼ばれます。「MAFホルダーの代理人/代表者(Agent or Representative for an MAF Holder)」とは、FADに対し、MAFの内容についてホルダーを代表する権限を付与された個人または組織を指します。これはホルダーが米国外に所在する場合に用いられることが多く、私たちのケースではFormlabsがこの役割を担うことになります。
MAFホルダー:MAFを提出する組織または個人(例:Formlabs)
申請者:PMAまたは510(k) を提出する組織または個人
スポンサー:IDE(治験医療機器に対する適用免除)を提出する組織または個人
MAFホルダーの代理人/代表者:FDAに対し、MAFの内容に関してホルダーを代表する権限を有する者(例:Formlabsまたはその代理人)。通常は米国外所在のMAFホルダーに用いられます。
医療専門チームへのお問合せ
患者様一人ひとりに合った手術器具や心臓補助装置のプロトタイプなど、医療用途での造形に関するご相談をいつでも受け付けております。Formlabs Medicalチームは専門のスペシャリスト集団として、お客様や企業のニーズを的確にサポートします。
Formlabsが保有するマスターファイルの種類
Formlabsが販売するすべてのBioMedレジンについて、医療機器・放射線保健センター(CDRH/Center for Devices and Radiological Health)にデバイスマスターファイルを提出・登録しています。これには以下が含まれます。
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BioMed Clear レジン
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BioMed Blackレジン
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BioMed Whiteレジン
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BioMed Durableレジン
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BioMed Flex 80Aレジン
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BioMed Amberレジン
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BioMed Elastic 50Aレジン
Arbutus MedicalのQuikBow®アームを、Form 4BLでBioMed Blackレジンを使って造形。
Formlabsは、マスターファイルの提出ごとにレジンの詳細情報をFDAに提供しています。その内容には、材料の説明、配合、機械的特性、生体適合性に関する情報(すべてのエンドポイントに関する完全な試験報告書を含む)が含まれます。これらの情報は機密性が高いため、すべてをユーザーに直接提供することはできません。それが、Formlabsがマスターファイルの仕組みを活用している理由です。
BioMedレジンのサンプルパーツ
BioMedレジンのサンプル品にはエンボス・デボス加工が施され、カットアウトの厚みは0.5~2.0mmと、細部の仕上がりをご確認いただけます。また、本レジン固有の規制関連情報も付属しています。
ユーザーの声:マスターファイルの活用例
「FDAに外部機関による検証情報を求められた時、外部機関の提示データがFormlabsの提示データと完全に一致することを示すことができました。Formlabsは確実にこのプロセスの迅速化に貢献してくれました」
ImmersiveTouch 製品品質・規制スペシャリスト、Namratha Kumara氏
Formlabsはこれまで、FDAへの市販前申請を予定している企業向けに、20通以上の承認書(Authorization Letter)を発行してきました。これらは主に510(k)申請に向けたものでしたが、中にはDe Novo申請向けに発行した例もあります。こうして提出された申請のうち、少なくとも6件が承認を取得していることがわかっています。
Adaptiivは、FormlabsのBioMedレジンを用いて放射線治療時に使用する患者専用のカスタムボーラスを3Dプリント。詳細はこちら。
審査過程においても、FDAから当社材料について寄せられた質問への回答支援など、Formlabsは可能な限りお客様をサポートします。これまで寄せられた質問の例として、「当該データが本当に貴社デバイスに関連していると示すものはありますか?」というものがあります。これは、マスターファイルで参照されるFormlabsのデータが、お客様の申請デバイスを裏付けるものであるかをFDAが評価するもので、特に生体適合性に関連しています。Formlabsがとったアプローチの一つとして、表面積の計算結果を用い、当社データが実際にお客様製品を裏付けるものであることを示しました。
Formlabsから承認書を取得する
FormlabsのBioMedレジンを使った機器でFDAに市販前申請を行う予定がある場合、Formlabsは申請書の参照書類として提示可能な承認書(Authorization Letter)を発行します。発行をご希望の方は、[email protected]までメールでご連絡ください。承認書の発行に際しては、以下の情報が必要です。
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会社名
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会社所在地
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ご担当者氏名
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製品名
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FDA製品コード
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申請区分
BioMedレジンおよびFormlabsのマスターファイルの詳細は、以下からウェビナーをご覧いただくか、無料のRA/QA相談セッションをご予約ください。


