Formlabsの新登場スタンダードレジン:3Dプリントをさらに速く、強く、アクセスしやすいものに

Clear、Gray、White、Blackレジンで造形した試作品

2011年にForm 1の第一世代とともにGreyレジンを発表して以来、Formlabsのお客様は3Dプリントの大部分をスタンダードレジンで行ってきました。それから10年以上が経過し、4億点もの造形品を作り出してきた今でも、その事実は変わりません。Formlabsのスタンダードレジンは、試作品製作から量産まで、各工程を支えるバックボーン的な存在となっています。

今回Formlabsは、Form 4のリリースに伴って新しいハードウェアでの造形に最適化されたレジンを新たに開発することができました。現在、4種類のスタンダードレジンに加え、Fast ModelレジンPrecision Modelレジンを含む計6種類の新たなレジンがご利用いただけます。

Form 4用に開発された新たなスタンダードレジンであるGreyレジンV5ClearレジンV5WhiteレジンV5BlackレジンV5は、審美性と機械的特性がさらに向上し、これまでより高速での造形が可能でありながら、価格はリットルあたり$99という低価格に設定されています。

Form 4レジンカートリッジ
ウェビナー

Form 4材料ガイド

本ウェビナーでは、Form 4で使用可能な高機能材料の詳細と、用途ごとに最適な材料の活用方法をご紹介します。

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スタンダードレジンで強化されたポイント

ご好評をいただいている既存のスタンダードレジンについて幅広いフィードバックを集め、Form 4のハードウェアを活用して材料の機能を向上させ、ユーザーにより良い価値をお届けできるような新たな配合を開発しました。

スタンダードレジンは、形状やフィット感確認用の試作品、模型や小道具、3Dプリント製のマスターや成形型を始め、幅広い用途にご利用いただける万能材料です。造形速度と精度の高さ、審美性、優れた機械的特性、簡単で信頼性の高い作業手順という各方面のバランスをとりながら、臭気の少ない3Dプリントで心地よく快適なユーザーエクスペリエンスを提供します。

材料特性の強化

スタンダードレジン全種類でV4レジンに比べて衝撃強度が最大30%向上し、破断伸び率が最大2倍になるなど、強度が向上しています。材料特性が向上したことで、一般的に射出成形で製造される試作品や一部の実製品用部品の製作にさらに適した材料となっています。

Formlabsのスタンダードレジン vs. 射出成形で使用する熱可塑性プラスチック

室温で二次硬化60ºCで15分間二次硬化ポリスチレン(射出成形)PET(射出成形)PMMA(射出成形)
材料GreyレジンV5GreyレジンV5INEOS Styrolution PS 3600Eastman 9921Trinseo Plexiglas V825
最大引張強さ54MPa62MPa42.7MPa58MPa70MPa
引張弾性率2500MPa2675MPa3170MPa2400MPa3100MPa
破断伸び15%13%2%120%6%
曲げ強さ91MPa103MPa76.5MPa84MPa103MPa
曲げ弾性率2450MPa2750MPa3310GPa2500MPa3100MPa
ノッチ付アイゾット34J/m32J/m21.4J/m40J/m16J/m
荷重たわみ温度@0.45MPa62℃71°C98℃69°C105°C

スタンダードレジン各種の材料特性の詳細については、テクニカルデータシートをご覧ください

作業手順の最適化

プリント開始から完成までの時間がこれまで以上に短縮されます。造形品は、Form Washで5分間洗浄した後、二次硬化なしでもご使用いただくことが可能です。しかし、表面のベタつき低減や機械的特性の向上のためには室温で5分間、強度や剛性、荷重たわみ温度を最大限に引き出すためには60°Cで15分間、Form Cureで二次硬化を行うことを推奨しています。

寸法精度

新しいスタンダードレジンは収縮率が低く、Form 4の最適化された露光設定と合わせて優れたグリーン強度を実現します。これにより二次硬化後の必要性が減ることに加え、非常に精密な寸法精度で最大±0.15%のXY寸法公差も実現できます。優れた精度により、一貫性のある部品でアセンブリにも安心して組み込むことができます。

審美性

GreyレジンV5、WhiteレジンV5、BlackレジンV5は、射出成形品に匹敵する表面品質と、より豊かでマットな色合いを表現できます。ClearレジンV5はアクリルに近い外観で、透明度が向上しています。

ゲームコントローラーの試作品2種。左がより鮮明な白色、右が黄色がかった色合いの白。

写真左のWhiteレジンV5で製作した試作品は、右のWhiteレジンV4で製作したものよりも明るく鮮明な色合いになっている。このパーツはForm 4にて2時間36分で造形が完了。

作業手順の合理化、審美性の向上、優れた機械的特性、プリントの信頼性向上など、すべてのメリットがリットルあたり$99ドルという価格で利用できるスタンダードレジンなら、より多くの用途にもご活用いただけます。

これ以降は、Form 4にてスタンダードレジンを使って造形した部品が、生産スピードと品質の両面で射出成形品に匹敵することを示す最新情報をご紹介します。

Greyレジンのサンプルパーツ
サンプルパーツ

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Formlabsのプリンタで実際に造形したサンプル品をお届けします。Formlabsの品質を手に取って直接お確かめください。

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GreyレジンV5で繊細な形状を可視化

Greyレジンで造形した4つのコンポーネント。左の2つは黄色味が少なくマットな仕上がり。

写真左のGreyレジンV5で製作した試作品は、右のGreyレジンV4で製作したものよりも暗く濃厚な色合い。また、GreyレジンV4よりも耐衝撃性が30%、造形速度は4倍向上している。

GreyレジンV5は寸法精度と信頼性に優れ、多岐にわたる部品の製作に最適です。GreyレジンV4よりも衝撃強度が30%高く、形状やフィット感確認用の試作品や治具の造形に適した万能材料です。

「オリジナルのCAD設計と一致し、アセンブリとしてスムーズにフィットし、複数の部品がしっかりと噛み合う成形型を3Dプリントする必要があります。GreyレジンV5で作る成形型は、フィット感が完璧です」

Black Diamond プロトタイピングマネージャー、Matt Tetzl氏

機能が向上したGreyレジンV5は、グレーの色合いもGreyレジンV4に比べて濃厚で、マットな表面は細かい特徴を正確に捉えます。このように審美性も向上したことで、優れた表面品質や細かなディテールが重要視される一般的な歯科模型やプレゼンテーションモデルの造形に最適です。

Greyレジンで3DプリントしたBlack Diamondのヘッドランプのコンポーネント

Black Diamondは写真のヘッドランプに使用する部品(写真左、GreyレジンV5で造形)の試作・検証プロセスをForm 4で1日に3回繰り返すことができた。

Black Diamond Equipemntのデザインチームに求められるのは、登山を始めたばかりの初心者でも快適な山登りができるような製品から、登山のプロの新記録達成を支援できるような製品まで、さまざまな課題に挑める製品の開発です。ディテールと精度が重要で、製品によっては数百万サイクルにも及ぶ広範なテストが行われます。

新しいスタンダードレジンを使ってForm 4で造形を行っている、製品設計ラボのマネージャーを務めるMatt Tetzl氏はこう言います。「仕上がりが素晴らしいです。Form 4でGreyレジンとClearレジンを使って造形しましたが、どの造形品も高品質でみんな驚いています」

Black Diamond製のスキーポールと3Dプリントで製作した試作品

Form 4でGreyレジンV5を使って造形した治具を使ったトレッキングポール(左)とFuse 1+ 30WでNylon 12パウダーを使って造形した治具を使用したトレッキングポール(右)の疲労試験用セットアップ。

しかし、印象的なのは美しさだけではありません。Tetzl氏は、トレッキングポールの伸縮動作を制御する治具をGreyレジンV5で造形し、その性能を確かめました。疲労試験の間、Tetzl氏は「1サイクル55ポンドの荷重で250万サイクルを行いましたが、摩耗や変形は見られませんでした」と、新しいレジンの耐久性に驚いた様子でした。

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ClearレジンV5:驚きの透明度を実現

透明な成形型2種。写真左は透明度が高く、右は黄色がかった色合い。

写真左のClearレジンV5で製作した部品は、写真右のClearレジンV4で造形したものより透明度が高く黄色味が少ない。

ClearレジンV5は非常に透明度が高いニュートラルカラーのレジンで、造形スピードと高精細さ、透明度、高度な材料特性、使いやすく信頼性の高いワークフローという絶妙なバランスを備えた材料です。

透明度と色合いが向上したClearレジンV5は、サンディングや研磨を追加で施さずとも、手触りが滑らかで透き通るような透明部品を製作できます。高い透明性が求められる用途では、造形品を磨き上げることで完全に透明に近い状態にし、アクリルに匹敵する仕上がりを再現できます。流体デバイスなどの内部構造が見える部品や、透明なエンクロージャ、光学コンポーネント、照明の試作品など、透明性と精度が同時に求められる部品の製作に最適な材料です。

ClearレジンV5で造形した部品は透明度が非常に高く、硬度・強度ともに優れています。ClearレジンV4と比べて破断伸び率が2倍、耐衝撃性は25%増となるなど、強度をはじめとする機械的特性がさらに向上したことで、ラピッドプロトタイピング用のモデルや原型、成形型としての使用にも耐えられます。

透明な流体デバイス
技術資料

デスクトップサイズでミリ流路の製作を可能にするSLA光造形3Dプリント

本技術資料では、ミリ流路の製作を可能にしたSLA光造形3Dプリントについて詳細を解説しています。チップを3Dプリントすることで、カスタム設計のコストを削減しながらパフォーマンスを向上させることに成功しました。

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WhiteレジンV5:より鮮明に、より強く

白色の骨の解剖学的モデルがビルドプラットフォームに乗っている

WhiteレジンV5なら、Form 4でこれまでより5倍も速く高精度な解剖学的モデルを製作可能に。

WhiteレジンV5の明るく鮮明な色は、細部までくっきりと正確に表現する必要のある解剖模型の造形に最適です。GreyレジンV5やBlackレジンV5と同様、WhiteレジンV5もWhiteレジンV4に比べて破断伸び率が2倍、衝撃強度が25%向上しており、強度と精度に優れています。

WhiteレジンV5は、プレゼンテーションでの使用も可能な審美性と射出成形に匹敵する表面品質で、形状やフィット感確認用の試作品、解剖学的モデル、細かい特徴や複雑なディテールを持つプレゼンテーション用モデルなどの造形にお使いいただけます。

BlackレジンV5:射出成形に匹敵する外観の美しさ

3Dプリント製の黒色部品。写真左の方がより色合いが濃くマットな仕上がり。

写真左のBlackレジンV5で製作した部品は、右のBlackレジンV4で製作したものと比べてよりマットで豊かな色合いとなり、細かなディテールも鮮明に。

BlackレジンV5はこれまでより非常に豊かで深みのある黒色が特徴のレジンで、微細な特徴を捉え、射出成形に匹敵する表面品質を叶えながら高い剛性と強度を備えた部品を製作できます。審美性が向上したことで、プレゼンテーション用モデルとしても最適です。

BlackレジンV5は、BlackレジンV4と比較して破断伸び率が2倍、耐衝撃性が25%向上するなど強度が高まり、形状やフィット感の確認用試作、エンクロージャ、ハウジング、治具・固定具などの幅広い用途で必要とされる強度、靭性、剛性のバランスを兼ね備えています。また、Form 4にてBlackレジンV5を使用した場合、Form 3+にてBlackレジンV4を使用した場合と比較して造形の信頼性と寸法精度が大幅に向上しています。

以下の動画では、BlackレジンV5を使用してForm 4プリンタ 4台と射出成形機の生産量を比較し、その結果、スピードと品質の両方で3Dプリンタが射出成形を上回る成果が出ています。

より速く、より低コストで造形を開始する

スタンダードレジンは、高精度な解剖学的モデル、透明性の高い流体デバイス、プレゼンテーション用のモデル、治具や固定具の造形など、どのような用途にも対応できる万能材料です。

Form 4にてスタンダードレジンを使用することで驚きの造形スピードを叶えることができ、ラピッドプロトタイピングや量産で活用できるほか、新しい用途開発の可能性も広がります。レジンを30L以上まとめてご購入される場合は、さらなるディスカウントをご利用いただけます。詳細についてはFormlabsまでお問い合わせください。

スタンダードレジンを使った造形を開始するには、弊社のストアをご覧いただくか、無料のサンプルパーツをお申込みください。機能向上を遂げた材料を、直接手に取ってご確認いただけます。