週産2,000点超:Form Autoが実現する光造形3Dプリントでの量産

woman engineer stands behind the Formlabs Automation Ecosystem print farm

3Dプリントのような展開が早く競争の激しい業界では、百聞は一見に如かずです。具体的な例を挙げると、Formlabsの社内プリントファーム(MSB)には、何十万もの3Dプリントのサンプルパーツ、更にはFormlabsプリンタ用の最終製品用部品もあります。Formlabs製品の生産能力はこのプリント規模が証明しています。そして今、Formlabsの新しいオートメーション製品で、生産性のさらなる向上を図ります。

FormlabsMSBは、3Dプリントは大量生産に使用できるばかりでなく、オートメーション製品を導入することによって生産性とコスト効率を上げられることも実証しています。プリンタの拡張ハードウェア Form Auto、ソフトウェアの拡張機能 Fleet Control(フリートコントロール)、High Volume Resin System(ハイボリューム・レジンシステム)を併せて使い、人件費やスペースを増やすことなく生産規模を拡大します。「FormlabsMSBにおけるパーツの大量生産により、「有言実行」を実践し、他のメーカーにできるであろう方法で自社のマシンを用いて製造を行っています。」とFormlabs オハイオMSBChris Pauwelsは言います。

サンプルと実製品用部品を生産

FormlabsMSBはオハイオ州、トレドにある生産施設では、Form 3シリーズSLA方式プリンタ140台とFuseシリーズSLS方式プリンタ30台以上を所有しています。「ここでは、お客様が新しいプリンタ購入の際の判断材料としてリクエストされたサンプルパーツをプリントしていますが、同時に、Form Wash LForm Cure LForm 3LFuseシリーズ等のFormlabs製品の生産に必要な部品もプリントしています」とPauwelsが話します。

Formlabsのエンジニアは、次世代のマシンの試作と製造の両方に、自社のSLA方式及びSLS方式プリンタを用いています。元々はパンデミックによるサプライチェーン閉鎖中の一時しのぎの策として3Dプリントされた部品もあれば、射出成形の低価格な代用策として3Dプリントされた例もあります。このように大規模な数のSLA方式とSLS方式プリンタの活用できるFormlabsは、最終製品用部品の大量生産を可能にし、自社製品の迅速な製造・販売を実現しています。

40種類を超えるFormlabsの材料には標準プリントされたサンプルパーツが用意されており、Formlabsのプリントを既に持っているかどうかにかかわらず、どなたでもリクエストすることができます。サンプルパーツは各材料の使用目的例を示唆するもので、FormlabsSurgical Guideレジンによる医療用ドリルガイドDurableレジンによるギアサンプル等がその一例です。

課題:生産点数の増加と手作業の労力

140台のSLA方式プリンタと40台を超えるSLA方式プリンタの材料を使用する設備には、細部まで行き届いた管理と継続的な監視が必要になります。設備には、プリントと後処理の時間帯を最適化するための厳密なスケジュールが組まれ、従業員たちの労働時間との最善の調整が行われています。Formlabs Operations ExcellenceのチームメンバーであるAndrew Craneはスケジュールとプリント作業場の流れの最適化に従事しています。「ここには4チームあり、Form 3+プリンタで異なるプリントキューを扱う2グループから成るチーム、Form 3Lプリンタチーム、Fuse 1+ 30Wプリンタチーム、そしてプロセステストチーム時にはプリントキューが同時に500に及ぶこともあります」とCraneは言います。

オートメーション製品が導入されるまでは、プリンタには通常1日に何度もタッチポイントが必要になりました。プリンタの準備としてビルドプラットフォームを取り付け、適切なカートリッジとタンクが挿入されていることを確認し、プリントが完了したらビルドプラットフォームを取り出してパーツをForm Washに移していました。それぞれのタスクは1分以内で済みますが、140台のSLA方式プリンタを有する生産施設では、労働集約的かつ複雑性の低いタスクのみのために1日の大部分が使われることになります。

プリンタ1台で5台分の生産性を発揮

Form Autoとオートメーション製品を使うことで、短くも反復的なタスクを大幅に減らすことができます。Form Autoは、ビルドプラットフォーム 2のクイックリリーステクノロジー(Quick Release Technology)を用いてパーツを取り外した後、プラットフォームを再びプリンタに取り付けて次のジョブが始められる準備を行うので、今まで従業員の手でなされていた2つのタッチポイントを取り除くことができます。Pauwelsは、「プリンタ5台分の仕事を1台で行っているようなものです」と言います。Build Platform 2Form Autoがあれば、パーツをビルドプラットフォームからこすり落としたり、各バッチを1つずつ洗浄したりする作業が取り除けます。

「今では、朝出勤したら前日の夜にプリントされた専用容器一杯の造形品をForm Wash Lに移すだけになりました。業務時間外に自動で連続プリントが行えるため、生産性が大幅に向上します。」

Chris Pauwels Formlabs オハイオMSB マネージャー

Formlabs MSBの従業員たちは、造形品の取り外し、プリンタの準備、バッチごとの洗浄に多くの時間を取られることなく、複雑性の高いタスクを遂行していくことができます。パーツが一晩で完了したときも、または従業員が待機していないときも、次のプリントが自動的にスタートします。FormlabsMSBでは、Form Autoを使うことで、夜間や週末もプリントの継続稼働が実現しています。

3D printed dental models

Formlabs MSBでは、自動化により夜間や土日祝にも常時稼働でプリントが行えるようになり、従業員は自動でプリントされた数回分の造形品を一度にまとめて効率的に後処理が行えるように。

Fleet Controlで複数プリンタを一元管理

Fleet ControlDashboardの拡張機能で、複数プリンタを用いる生産環境において、プリントのキュー管理、割り当て、スケジュール設定を最適化します。FormlabsMSBは、140台のSLA方式プリンタと40種類のレジンを有しているため、作業の体系化と最適化の機会すべてを素早く捉えなければなりません。

Fleet Controlがあることで、管理者からのプリント作業へのインプットが大幅に減少しました。プリントキューにカスタムジョブを簡単に入れ込むことができ、技術者たちは適切なプリンタへの適切なジョブの割り当てに関する悩みが軽減されました。

Formlabs' automation ecosystem fleet control software suite

FormlabsMSBでは、140台のSLA方式プリンタグループの中で、材料の種類によりさらに小さなプリンタグループに分けられています。これらのグループ分けには柔軟性があり、例えば、新しい材料が発売され新しいサンプル製作の需要があるときなどは変更することができます。Fleet Controlを使うと、ユーザーが特定のプリンタに造形ファイルを送るのではなく、プリンタグループというソフトウェア上の仮想空間に送信され、そこから各プリンタにプリントジョブが自動的に振り分けられます。またグループ内でのキューの管理も行えます。また、生産ユニット全体がどのように機能しているかの概要を表示することで、技術者は問題が発生する前に対処することができます。

Fleet Controlのおかげで、プリント作業場の生産管理が信じられないほど簡単になりました。2つのタッチスクリーンにその機能があり、技術者はいち早く問題を見つけて対応することができます」とCraneは言います。

Fleet Controlの自動制御や監視機能とForm Autoの生産力により、FormlabsMSBの生産性は大幅に向上しました。「Fleet ControlForm Autoを組み合わせることで、パーツ生産を大幅に増加させることができましたが、おそらくもっと大切なことは、Form Autoと従来の方法の組み合わせと比較して、パーツへの接触が減少することによって、同じパーツの生産における歩留まり率が上昇したことだと思います」とCraneは述べています。

大量のプリントに必要な大容量レジン

長年サンプルパーツのプリントを実践してきたFormlabs MSBのチームは、レジン充填を科学的知識として、レジンカートリッジ1つから造形できる各パーツのバッチ数、そして新しいカートリッジへの交換時期を正確に把握しています。これらの交換タスクは素早く簡単に実践することができますが、パーツの取り外しと同様に、140台のプリンタを扱う従業員は膨大な作業時間をこのタスクに費やすことになります。「プリンタのオペレーター主要な作業の1つは、レジンカートリッジの交換です。1日に440パーツをプリントするとしたら、カートリッジをかなり頻繁に交換しなければなりません」とPauwelsが言います。

労働時間に加えて、この量のプリントをこなすことで空のカートリッジが増え、その収納場所が必要となり、それらの廃棄方法も課題となります。

FormlabsHigh Volume Resin System(ハイボリューム・レジンシステム)を開発し、自動供給システムを用いて5リットルのレジンをスムーズに供給し、Form Autoと併せてプリント設備を整えることで、人の手を使わずに複数バッチ生産を可能にします。「High Volume Resin Systemはレジンの容量が5倍なので、レジンの容器に関わる作業が5分の1になります。カートリッジ充填回数も5分の1で済むため、レジンがこぼれるリスクも5分の1ということになります」とPauwelsは説明します。

自動化製品で大規模な量産を実現

3Dプリントは長年カスタム製品に使われており、また3Dプリントによるラピッドツーリングの導入も増加し、現在は大量生産のプロセスにおける1つの段階として広く使われるようになっています。3Dプリントのカスタマイゼーションパワーと大量生産の高生産性を組み合わせたテクノロジープラットフォームは今まで存在しませんでした。自動化製品は、人件費を削減することでカスタマイゼーションのコストを下げることと、平均的従業員の時間的制約を取り除くことで大量生産の効率性を高めて、その2つの隔たりを埋めました。

現在まで、FormlabsMSBは何十万ものパーツを生産し、Form 3シリーズプリンタの生産能力とFormlabs製材料の一貫性を証明してきました。Formlabsカスタマーからの3Dプリンタとパーツの需要の増加と共に、Formlabs内部での需要も増加しました。自動化製品は、生産規模を効率的に高めることの必要性に応え、その能力をどこよりも適切に実証したのが自社の製造施設でした。

「オートメーション製品のおかげで、MSBでは人員を増やすことなく生産力が向上でき、生産数に対する人件費率を50%以上低減することができました。」

Andrew Crane オペレーショナル・エクセレンス部門

こうした規模での継続的プリントが可能になったことで、Formlabsの作業工程とサプライチェーンの効率性を高めることにつながりました。また、自社の製品を使って生産することで学びと開発を繰り返し、根拠に基づいてビジネスモデルとテクノロジーを最適化するといった継続的フィードバックループを生み出すこともできました。

自動化製品の詳細