新SLS用パウダー材:高い剛性と耐熱性が求められるパーツ製作に。

Fuse 1の対応材料は続々と新たなものが開発されており、エンジニアやメーカー様にこれまでにない工業製品製作を可能としています。そしてこの度Formlabsは、Fuse 1にてより高い剛性と耐熱性を備えたパーツを製作いただけるよう、ガラス繊維強化プラスチック材料 Nylon 12 GF Powderを発売しました。

このNylon 12 GF Powderは、Fuse 1向けに開発された第3の材料として、Formlabsユーザー様の内製環境拡大を低コストで実現する新たなオプションとなります。新たにNylon 12 GF PowderがFormlabsのSLS材料ライブラリのNylon 12 Powder、およびNylon 11 Powder に加わったことで、お客様はこれまで以上に多様な材料特性を活用し、オペレーションや生産規模を拡大いただけます。 

Nylon 12 Powderの汎用性にガラス繊維強化材特有の剛性と耐熱性を加えたNylon 12 GF Powderは、恒常的な耐荷重性と高い耐熱性が求められるパーツを製作する際にお選びいただきたい材料です。Fuse 1のユーザー様はこのNylon 12 GF Powderのリリースにより、高い剛性を有した機能確認用プロトタイプに頑強な治具や固定具、交換部品、ねじ部やソケット付パーツ等が新たに製作いただけるようになりました。 

Nylon 12 glass filled webinar
ウェビナー

Nylon 12 GF Powderとは

本ウェビナーでは、新製品のガラス繊維強化材、Nylon 12 GF Powderによって高い剛性と耐熱性をもつ機能部品を内製する方法をご紹介します。

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Nylon 12 GF Powderの主な用途

自動車産業ではブラケットを製作し、重量物である車体を斜めに固定し、塗装や部品の取付を行います。型式が変わるとそれに合わせてブラケットも交換する必要がありますが、それ専用に少量生産で製作されるブラケットは常に需要がある一方、高額で長い製作期間を要してしまいます。自動車には多くの金属部品が使われているため、組立工程では溶接が多用され、生産用治具はすべて高温に晒されることになります。この生産用治具であるブラケットをNylon 12 GF Powderで製作することで、コストと製作期間を大幅に圧縮しつつ廃棄物低減を一度に実現するソリューションとなります。 

また、Nylon 12 GF Powderに備わる高い引張係数は、高い剛性と組み立てやすさが求められる電子機器のケーシングやハウジングにも適しています。スクーター、モペット(ペダル付きの原動機付自転車)、電動スケートボード等の電動モビリティ用充電装置を設計・製造するKUHMUTEのようなメーカーにとって、製品に直接取付可能な充電装置の筐体を製作できることは、設計の自由度向上を意味します。Nylon 12 GF Powderではそのまま製品に取付可能なパーツが製作できるため、筐体全体を単一の材料で製作でき、他の材料を用いたり形状を変更して取付用ブラケットを別途用意する必要がなくなるのです。

製造時に使用されるパーツ、特にデザインやジュエリー産業で用いられるものは、作業時に高温環境下で部品を固定する特殊なツールや固定具が必要となるケースがあります。こうした固定具は一般的に木材や金属から削り出しで製作されますが、コストが高い上に長い製作期間を要します。ワンオフ品やカスタム品となれば、そのコストは更に高額なものとなってしまいます。そのため高い耐熱性をもった固定具を内製で製作できれば、メーカーやデザイナーは製作プロセスをより円滑にできるだけでなく、効率化と品質向上をも図ることができます。

これまでサージカルガイド、医療用器具やウェアラブルデバイスにNylon 12 Powderを使用していたお客様は、Nylon 12 GF Powderでより厳しい機械的特性が求められる製品も製作いただけるようになります。 

業種用途パーツの種類
自動車または航空宇宙産業高温環境下で恒常的な負荷に晒されるパーツベント、バルブ、キャブレター
製造業高い剛性と耐荷重性が求められる治具、固定具組立ライン用製品固定ブラケット
ヘルスケア産業高い強度、剛性、耐熱性が求められる医療機器や交換部品個々の患者様専用の医療器具コンポーネント

高機能な多用途材として

Fuse 1向けに開発された各材料は、エンジニアやプロダクトデザイナーが抱える課題を解決するソリューションとなるよう設計されています。Nylon 12 GF Powderと他のFuse 1向け材料の比較:

Nylon 12 GF Powderは、Formlabsのナイロンパウダーで最も高い引張係数と荷重たわみ温度を備えており、高温環境下で持続的に負荷が加わり続けるような部品の製作に適しています

Nylon 12 GF Powderの引張係数は、Nylon 12 Powderより50%以上、Nylon 11 Powderより75%程度高くなっています。そのため、Nylon 12 GF Powderは、長期間にわたって高い負荷に晒されても曲がったり伸びたりしない高い剛性が求められるパーツを製作するお客様に、特におすすめしたい材料です。高い強度と剛性を備えたこの新たなパウダーの利点は、高い剛性をもつ治具や固定具、ブラケット、マウント、ケーシング等の製作時に特に大きく発揮されます。 

またNylon 12 GF Powderは、熱たわみ温度( 1.8MPaにおけるHDT)が113℃と、高温環境への耐性も備えています。多くの材料は高熱に晒されたり、特に荷重を受ける場合には、変形して形状や寸法面で精度が劣化してしまいます。しかしNylon 12 GF Powderは、他のSLS用パウダーではたわみや変形が起こる用途にも耐えられる耐熱性を有しています。
 

リフレッシュ率は経済的、材料の切替も簡単に

リフレッシュ率とは、再利用分のパウダーに加える未使用分の新しいパウダーの推奨混合率を指します。Nylon 12 GF Powderのリフレッシュ率は30%から50%の間となっており、お客様は材料ロスの最小化、部品当たりコストの最適化、造形品質向上等の目的に合わせてリフレッシュ率を調整いただけます。造形後の後処理、使用済みパウダーの回収と再利用、未使用パウダーとの混合は、専用後処理機のFuse Siftがすべて行います。リフレッシュ率は必要に応じてタッチスクリーン上で調整することができ、後処理やパウダーの再利用は誰でも簡単に行えます。 

また、Nylon 12 PowderとNylon 12 GF Powderを切り替える際は、Fuse 1とFuse Siftの洗浄時間が大幅に短縮できるようになり、2時間程の洗浄と準備で材料を切り替えて次の造形を始めることができます。一般的な産業用SLS装置では丸1日を要する材料の切替は、材料交換プロセスの簡素化により材料切替に伴う洗浄と準備時間を大幅に削減し、1台のプリンタでの複数材料の使用を実現します。 

Fuse 1は、Formlabsの特許技術であるSurface Armorテクノロジーを採用し、造形物周囲に半溶融状態のシェルを形成することで表面品質を高め、滑らかな表面を実現しています。Nylon 12 GF Powderを使用する場合、この半溶融状シェルはFuse Siftでのパウダー除去を行った後、ブラスターでの仕上げ工程が必要となります。デスクトップサイズや小型のブラスターは、2万円程度で購入でき、あらゆるSLS方式3Dプリントを更に高品質に仕上げることができます。

Nylon 12 GF Powderがもたらす製造面の柔軟性

automotive 3d printed part

これまで、ガラス繊維強化材のような高機能3Dプリント用パウダー材は、多くの中小メーカーにとっては手が出せないものでした。本当の意味での工業品質の複合材部品は、これまで数千万レベルの機器でしか手に入らなかったのです。Fuse 1と更に充実したSLS用材料ライブラリによって、より幅広い製品の設計や、試作と設計調整による反復検証、そしてその生産はかつてないほど簡単なものになります。 

Nylon 12 GF Powderが新たに加わったことで、FormlabsのSLS用材料ライブラリは、ユーザー様の試作品製作や製品生産のより確実な管理とその生産能力の拡大に、更に寄与できるものとなりました。最高の引張係数と熱たわみ温度を備えたこの新しいガラス繊維強化材により、Fuse 1ユーザー様はより幅広い工業ニーズに対応できるようになるのです。 

この新たな材料を是非直接手に取り、貴社にてどんな可能性があるものかご検証ください。以下より無料のサンプルパーツをお申込みください。営業担当者までお問合せいただければ、更に詳しいお話をさせていただくことも可能です