CADソフトウェアを使ったデジタル設計工程は、ジュエリー業界に変革をもたらし、ジュエリーデザイナーの仕事に欠かせない一部となりました。さらにこれらのデジタル技術を3Dプリント技術と組み合わせることで、無限の可能性とカスタマイズ性を手に入れることができます。
一般的なCADソフトウェアからジュエリー設計に特化したソフトウェアまで、現在では数十もの選択肢があり、それぞれに長所と短所がある他、得意とするモデリングアプローチやターゲットにしている用途が異なります。この記事では、キャリアを通して使い続けられるようなジュエリー設計に適したソフトウェアをを選択できるよう、様々なCADプログラムについて詳しく解説します。
ジュエリーのデジタル設計入門
ジュエリーの設計はこれまで職人技というイメージが強く、ワックス彫刻、はんだ付け、曲げ加工、織り、石留めなど各工程に対する深い理解が必要でした。しかし、デジタルトランスフォーメーションが活発な現代において、ジュエリー業界も変わり始めています。最新のコンピューター支援設計(CAD)システムを使用して完全なジュエリーの設計を準備し、ラピッドプロトタイピング、試着用モデル、インベストメント鋳造(ロストワックス法)用に3Dプリンタでモデルを物理的に造形することができます。
インレイ、ドルーシー、モクメガネなど複数の材料を使った技術や、スグラフィート、選択酸化、マルチカラー・アルマイト、シャンルベ・エナメルなどの着色効果、1/4mmほどの細いワイヤーを使用する七宝では、依然として手作業による職人技が欠かせないものの、デジタルによるジュエリー設計と3Dプリントの組み合わせで、線条細工や連結構造、メカニカルジョイント、複雑に入り組んだ数学的形状など、シャープで複雑なデザインもほぼ無限に実現することができます。
即座に3Dプレビューが確認できること、そして同日中にモデルの試着ができるため、顧客の要望をしっかりと反映することができ、カスタムジュエリーの製作期間を短縮しながら顧客満足度を向上させることができます。カスタマイズによってニッチな市場にも対応できるようになったことででオンラインのジュエリーブランドが爆発的に増加しましたが、ジュエラー自らがデジタルでの設計方法を学ぶことで内製化も実現できます。
3Dプリント製のジュエリー型の鋳造
本技術資料では、3Dプリント製の型を使って高級ジュエリーを鋳造する方法、ならびにダイレクト・インベストメント鋳造(ロストワックス鋳造)が金型製作技術としてどのように機能するかについて説明します。
ジュエリー設計に最適なCADソフトウェアの種類
これからデジタル化へ一歩踏み出そうというジュエリーデザイナーにとって、ジュエリー設計を補助してくれるCADソフトウェアは豊富にあります。ソフトウェアを選ぶ際に決め手となるのが、ユーザーインターフェースの使いやすさと店舗での取り扱いジャンルへの適合性です。Tinkercadのようなエントリーレベルの無料ソフトウェア、3DesignやFirestormのようなジュエリーの設計に特化したCADソフトウェア、SolidWorks、Rhinoceros、Fusion 360のようにジュエリーを始め幅広い用途での設計に対応できる万能モデリングソフトウェアがあります。
ソリッドモデリングの主な利点は、設計内容が完全にパラメトリックで、モデリング中に行った全ての操作が履歴ツリーとして保存される点です。コンストレイントベースのモデリングでは、すべての形状が寸法入力済みのスケッチとして保存されるため、主要なパーツを再モデリングすることなく設計全体を変更することができます。さらに、ベースサイズや製品バリエーションに変更が入った場合は、新しい値に合わせてジオメトリ全体が自動的に更新されます。他にも、レンダリングソフトウェアのKeyshotや3Dプリント造形準備ソフトウェアのPreFormと統合できる点も、利点の一つと言えるでしょう。ジュエリー設計にソリッドモデリングを使用する主な欠点としては、モデルが幾何学的になりすぎる傾向があり、ジュエリーとして一段階上を行くような表面の滑らかさやディテールが欠けてしまうことです。
そういった理由から、有機的な形状をしたジュエリーの設計にはポリゴンモデリングが可能なCADソフトウェアが向いています。ポリゴンモデリングでは、一連の数値で構成されるソリッドやサーフェスの代わりに、頂点、エッジ(直線)、フェース(面)からなるメッシュでジオメトリを作成します。これらの要素は、オブジェクトに全体に影響を与える高度なモディファイアや基本コマンドで個別に操作することができます。MayaやModoのようなメッシュモデリングのソフトウェアを使えば有機的な形状設計に無限の可能性が与えられる他、BlenderやZBrushでは高度なスカルプト機能を利用できます。
ジュエリーデザイナーの場合、3Design、Firestorm、JCDのようなジュエリー設計特化型のソフトウェアなら習得も比較的容易にできるでしょう。ウィザード形式のユーザーインターフェースの場合、ジオメトリに対する真のカスタム性という意味ではやや劣るものの、デザイナーが技術的な要素よりもクリエイティビティを重視して作業に集中することができます。あらゆるタイプの指輪、ブレスレット、イヤリング、ペンダント、コリエの製作を行え、宝石の自動配置はもちろん、模様の高度な複製機能、クラウンやプロングの配置、3Dテクスチャリング、刻印、マルチパイプツールによるフィリグリー作成、エンボス加工など、優れたジュエリーデザインに欠かせない特殊効果を施せる機能があります。このため作業スピードが劇的に向上し、購入者となるお客様と直接話し合いながらデザインを決めたいというクリエイターにとって理想的なソフトウェアです。
ジュエリー製作工程にCADを導入するメリットは以下の通りです。
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迅速なコンセプト開発: 思い描いたデザインを正確にスケッチして早期に視覚化し、鋳造前に3Dプリント製のモデルを試着できます。
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視覚化: 最先端の3Dレンダリング、アニメーション、製作中の作品をVR体験できることで、クライアントや顧客を感動させることができます。フォトリアリスティックなエンジンのおかげで、屈折、収差、シャトヤンシー(猫目効果)、相互反射、および貴金属や宝石間で発生するその他の効果をシミュレートし、構成を最適化できます。
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形状の自由さ: 従来の技術では難しかった複雑な形状、テクスチャ、模様が実現できます。
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製品のカスタマイズ: ニッチな市場や個人客のニーズに応えられる、さまざまなバリエーションを作成することができます。
- 高速製造:3Dプリントのようなデジタル製造技術を内製化することで、手作業による金型製作の必要がなくなり、ジュエリーをより高速で製作できるようになります。原型は新しいものを何度も3Dプリントできるため、製造工程で徐々にディテールが失われてしまうのを防ぐことができます。
無償サンプルパーツをリクエスト
3Dプリント製のジュエリー原型を直接確かめたいとお考えの場合は、Formlabsの3Dプリンタで造形したジュエリーのサンプルパーツをお申込ください。
ジュエリー設計に最適なCADソフトウェアの選び方
最適な3Dジュエリー設計ソフトウェアを選ぶ際に重視すべき要素は、意図する形状が作成できるか、ジュエリー設計に特化した機能の豊富さ、スケールアップとカスタマイズの可能性、使いやすさ、そして価格です。
まず、特定の形状の実現製については、SolidWorksやRhinocerosなどのソリッドまたはサーフェスモデリングのソフトウェアなら、幾何学的形状や滑らかで厳密に制御されたサーフェスの表現が得意です。これらのソフトウェアでは、デザイナーがすべての形状を数値で細かく定義できます。ポリゴンモデリングやメッシュモデリングのソフトウェアの場合、ある程度のパラメトリック制御が可能なものの、デザイナーが形状を直接操作できることが多く、有機的なデザインの製作手順を効率化できます。精度と直感性ではやや劣りますが、大雑把なモデリングで得られる不完全性により、かえってジュエリーが本物らしい印象になることがあります。植物、肖像画、動物などのリアルな装飾品や芸術的なモデルには、フリーフォームのスカルプティングソフトウェアが最適です。CADソフトウェアの中には、これらさまざまなアプローチを組み合わせたハイブリッド型で提供しているものもあります。例えばZBrushでは、非常に複雑な装飾が入ったデザインにも石の配置が可能です。ただし、複雑なパヴェ、バスケット、ヘイローなどの宝石設定が必要な場合は3Designの方が優秀です。RhinoのGrasshopperプラグインを使用すると、数学的・生物学的な構想の形状や模様を作成できます。
ジュエラーにとって、ジュエリー製作をデジタルに移行するということは非常に大きな変化と感じられることが多く、操作の習得のしやすさと効率的にモデリングができる作業手順が最も重要になります。高い生産量が必要とされる企業では、初めてのユーザーでもすぐに一からデジタル設計をして3Dプリントを開始できるような直感的なスカルプティング機能やウィザードがなければ、メッシュモデリングは扱いづらいでしょう。CADプログラムの中には、デザイナーが曲線に沿って自動的に石を配置できるものもありますが、Rhinocerosや3Designはその機能をさらに拡張し、3次元のサーフェスに宝石をちりばめる機能も搭載されていて、手作業によるモデリング作業を短縮できる重要な機能となっています。
最後に主な比較対象となるのが価格で、3Design、Firestorm、JCD、Mayaなどの上位製品は数千ドルと高額なため、低予算のソフトウェアも検討する価値があるかもしれません。無料で利用できるTinkerCADはプリミティブな形状しか扱えませんが、デジタルでジュエリー設計を始める足掛かりにはなるでしょう。エクスポートしたファイルからワックスモデルを作成でき、ディテールが足りないと感じる場合は手作業で素晴らしいデザインを彫ることができます。千ドル以下の価格帯なら、ジュエリー業界標準のRhinocerosが手頃なソフトウェアです。個々のケースによりますが、MatrixGoldやPantherなど、やや高額なプラグインにも投資する価値はありそうです。Fusion 360は、学生、スタートアップ企業、非商用ユーザーなら無料で利用できるソフトウェアで、ジュエリーモデルの作成に使える機能が驚くほど豊富に揃っているだけでなく、造形準備ソフトウェアのPreFormとも連動が可能です。
以下のジュエリー設計CADソフトウェアの比較表では、各ソフトウェアの有機的およびパラメトリックなモデリング機能の豊富さ、ジュエリー設計に欠かせない機能の搭載有無、使いやすさや習得のしやすさなどの全体的なユーザーエクスペリエンス、ベースモデルからカスタムパーツやバリエーションを作成する機能、コストなどを一覧にしています。
有機性 | パラメトリック | ジュエリー特化型 | UX | カスタマイズ性 | 価格 | |
---|---|---|---|---|---|---|
3Design | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★☆☆☆☆ |
Blender | ★★★★☆ | ★☆☆☆☆ | ☆☆☆☆☆ | ★☆☆☆☆ | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ |
Firestorm | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★☆☆☆☆ |
Fusion 360 | ★☆☆☆☆ | ★★★☆☆ | ☆☆☆☆☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
JCD | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★★★★★ | ★☆☆☆☆ |
Maya | ★★★★★ | ★☆☆☆☆ | ☆☆☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★☆☆☆☆ | ☆☆☆☆☆ |
Modo | ★★★★☆ | ★☆☆☆☆ | ☆☆☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
Rhinoceros | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
SolidWorks | ★☆☆☆☆ | ★★★★☆ | ☆☆☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ☆☆☆☆☆ |
TinkerCAD | ☆☆☆☆☆ | ★☆☆☆☆ | ☆☆☆☆☆ | ★★★★★ | ☆☆☆☆☆ | ★★★★★ |
デモセッション:Castable Wax 40レジンで鋳造
Formlabsでは、ジュエリー業界向けに特別開発したワックス40%含有材料のCastable Wax 40レジンを提供しています。Formlabsのジュエリー事業統括マネージャーのJoin Patrick Digginsによる、Castable Wax 40レジンの活用方法を紹介するデモセッションにご参加ください。
ジュエリー用CADソフトウェアの比較
3Design
開発元:Type3
リリース:1990年代後半
使用環境:Windows、macOS
最適な用途:Proのジュエラー、営業ツールとしてのCAD
価格:$6,950
3Designは、ジュエリー設計に完全に特化したソフトウェアです。カスタムロフトプロファイル、ツイストロフト、高度なマルチレールスイープ、マルチパイプツールによるフィリグリーとブレイド、特殊効果、サイズ範囲、豊富なパヴェ設定、ドリルホール、テクニカルドローイング、刻印、画像やメッシュ入力、ビルトインのテクスチャ生成機能に基づいた高度な3Dテクスチャリング機能などを備えています。20種類以上のモディファイアがあり、曲げ、ねじり、先細り、シャーリング、引き伸ばし、潰し、波打ちなど、オブジェクトを有機的に変形させることができます。特筆すべきはエンベロープを使用した変形機能で、形状全体を完全にフリーフォームで制御しながら変形させることができます。3Shaper Proで機能拡張をするとフリーフォームのスカルプティングツールが利用できるようになり、デザインの自由度がさらに広がります。また、3Designはパラメトリックのため、石の配置も設計工程のいつでもシームレスなスケーリングや変更ができます。
ユーザーインターフェースはフルスクリーン形式で、広々と使用できます。操作もアイコンベースなので習得がしやすく、ジュエリー製作のさまざまな段階でユーザーを快適に導いてくれます。ウィザード形式のインターフェースで動きも素早く習得も簡単なため、3Designはジュエリーの購入者と共同でデザインしたいという企業に最適な3Dジュエリー設計プログラムです。このソフトウェアの欠点としては、伝統的な作業手順と形状ライブラリに従う必要があるため、デザイナーのクリエイティビティがやや制限されてしまうことが挙げられます。
Jewelry CAD Dream
開発元:Jewelry CAD CAM Masters (JCCM, LLC)
リリース:2011年
使用環境:Windows
最適な要素:プロのジュエラー、宝石の見本展示
価格:$5,850
最もパワフルなエンジンの1つであるJewelry CAD Dreamは、その名の通りジュエリー製作に最適なモデリング機能が搭載されています。標準的なソリッドおよびサーフェスモデリングツールで、フェース(面)、オフセット、寸法、その他の形状を画面上で直接編集できます。モーフィングツールを使用すると、流れるような有機的な形状を作ることもできます。また、一からモデルを作るのではなく、ビルトインのライブラリで数百種類ものベースモデルから選ぶことも可能です。
しかしJCDの特徴はなんと言っても、業界で最もパラフルなパラメトリックモデリングが可能なことでしょう。独自の形状履歴機能で、多列チョーカーコリエやラヴァリエールペンダントのように500個以上の宝石を使用したモデルでもスムーズに操作できる唯一のソフトウェアです。重要な設計パラメーターを定義した後に入力パネルへ転送することでエンドユーザーがカスタマイズできるるようになり、デザイナーは重要な部分をいつでも変更することができます。宝石が並べられた複雑な曲面を編集する場合でも、問題なくモデルの更新が行えます。
このソフトウェアには、ゼリー、スプリング、マイクロパヴェなど多岐に渡るパヴェ設定、球体模様、バゲットアレイ、ヘイロー、アズール、ハニカムカッター、プロング、ベゼル、ワイヤー設定、チェーン、ペンダントベイル、ブレイド、テクスチャ、ピアスワーク、ミル打ち(ミルグレイン)、高度なエンボス加工、リングサイザーなど、ジュエリー製作に特化したツールやウィザードが豊富に搭載されています。画像をインポートしてレリーフにしたり、メッシュをインポートしてサーフェスに沿ってモーフィングや乗算を行うことで、テクスチャも追加できます。
JCDでは3Dプリント用ファイルを生成・修正したり、必要に応じて鋳造用の湯道を追加したりすることも可能です。3D機能の1つとしてフォトリアリスティックなレンダリング機能も搭載されており、画面に華やかさを加えることができます。また、豊富な機能やパラメトリック設定の高度さとは対照的に、ユーザーインターフェースは明瞭で比較的簡単に習得が可能です。
Rhinoceros
開発元:Robert McNeel & Associates
リリース:1998年
使用環境:Windows、macOS*(*macOSの場合は機能制限あり)
最適な要素:プロのデザイナー、複雑な形状、コンピュータによる設計
価格:$995(一般)、$195(学生)
Rhino3DはNURBSベースのフリーフォームサーフェスモデリングソフトウェアで、特に複雑な形状の設計に最適な上、ほぼ無限で洗練されたスイープやロフトサーフェスが作成できます。こういった理由から、Rhinoは自動車、消費者製品、海運業界でも使用されています。しかし、モデリングの履歴機能が無いため過去の状態に戻したい場合は「元に戻す」コマンドを使用するしかなく、モデルの修正が面倒かつデザイナーに相当なプロ意識が求められます。
また、ユーザーインターフェースも複雑で習得が難しいと言えます。CADモデリングを始めたばかりの方の場合、基本操作を身につけるだけでもマニュアルやチュートリアルで何週間も勉強する必要があるかもしれません。ただ、設計の質という点ではそういった労力に見合うだけの結果が期待できるうえ、ユーザーの熟達度が高まるにつれ、ショートカットキーやテキストの入力方法にも慣れ、作業スピードも劇的に上がるでしょう。自らスクリプトを作成してカスタム機能やアクションシーケンスを追加実装することも可能です。
ジュエリー業界の標準ソフトウェアなのでオンラインコミュニティも活発で、サードパーティのプラグインも充実しています。特筆すべきプラグインはMatrixGoldですが、その理由は$7,000という高額な値段だけではありません。このプラグインを使うと、Rhinocerosのエンジンで複雑な流線型サーフェスの作成ができるようになるだけでなく、ジュエリー製作に自動化機能を追加できます。また、彫刻文字、パヴェ設定、プロング、クラウン、ベゼル、カッターなど高度な機能も利用可能です。MatrixGoldを追加すると、Rhinocerosの機能をはるかに超え、ねじれ、シャーリング、先細りセクションにメッシュモディファイアを追加したり、サーフェスに合わせてスマートに拡大・縮小できるバンプマッピングベースの3Dテクスチャライザ、シグネットリングビルダー、レンダリングスタジオ、プロファイルエディタ、高度なレールスイープ、ミルグレインでジュエリーを装飾するJaliツールが利用できるようになります。Rhinocerosとは対照的に、MatrixGoldにはパラメトリック履歴があるため、モデルの作成中に修正やサイズ変更を行なっても後からいつでも戻すことができます。店頭販売用のユーザーフレンドリーな製品カスタマイズソフトウェアのCounterSketchでMatrixGoldの機能を拡張させることも可能ですが、スカルプティングモジュールのClayooが$1,000弱なのに対し、CouterSketchは$5,000と高額です。
CounterSketchの代わりとなるアドオンがPanther3Dで、3分の1の価格であらゆる種類の指輪や他のジュエリーを製作できる包括的なツールセットです。Rhinocerosの高度なサーフェシングツールを使用してカスタムのベース形状やディテールをデザインしながら、Panther3Dで石の配置、プロング、カッター、サイズ範囲を作成できます。
RhinoJewelは$660と手頃な価格ながら、宝石ライブラリ、さまざまな配列ツールが使用できる曲線・サーフェスに沿った宝石の配置機能、重量の推定など、面白い深い機能が利用可能です。
2ShapesもRhinoに統合できるソフトウェアの1つで、500ユーロから利用できます。Rhinocerosを店頭販売用の製品カスタマイゼーションツールに変換するようなプラグインで、1200種類以上のモデルライブラリからカテドラル、スプリットシャンク、バイパス、エタニティ、フィリグリー、テキスト、シグネットリングなどが利用できます。
無料プラグインのFree Jewelsでも宝石製作に必要な基本ツールをRhinocerosに追加することができます。Rhinoに追加できるプラグインの中で最も優れた無料プラグインがGrasshopper3Dで、Peacock、Matrix、Lunchbox、Grasshopper Goldを使用してジュエリー製作機能を拡張するとさらに適したツールになります。これらのアドオンをRhinoに追加することで、カッター、ベゼル、プロング、パヴェ、曲面への宝石配置、チェーン、ミルグレイン、シグネットリング、テクスチャ、鋳造用のワックスツリー作成機能など、パラメトリックなジュエリー設計に必要なツールを実装できます。Grasshopperにはノードベースのフローチャートがあり、スクリプトを使って複雑なモデルやパターンを作成することができます。作成したメッシュモデルはその後Rhinocerosのメイン画面に戻し、3Dプリント用にさらに最適化することができます。Rhinoと同様、使いこなすにはデザイナー自身にある程度の専門知識が求められます。
Firestorm CAD
開発元:3D Space Pro
リリース:2008年
使用環境:Windows
最適な用途:既製品の設計
価格:$6,500
Firestormは、SolidWorksをシンプルにしてジュエリー設計用の機能を追加したようなソフトウェアです。3Dカーブを描き、ブレンドとフィルを使用してサーフェスに変換することでほとんどの形状が作成できます。ソリッドはプルツールを使ってスケッチを押し出し、ブール演算で結合が可能なボディを作成します。エッジを直接操作できることで、モデリング工程がさらにスピードアップします。
また、Firestormにはゼロから始める代わりにジュエリー関連のベースモデルが4,000種類以上揃った膨大なライブラリが用意されています。宝石のレイアウトタイプもほぼ全種類揃っていて、カーブや有機的な形状に沿って自動的に配置することができます。テキストや画像を作品に直接エンボス加工したり、カスタムメイドの3Dウィジェットをサーフェス全体に複製することで、高度な3次元テクスチャを作成できます。
必要最低限のツールとモディファイアに限定されているので、習得がしやすいユーザーインターフェイスになっています。完全な履歴ツリーはないものの、後からでも設計のほとんどの部分を修正できるため、Firestorm CADを効果的な店頭販売ツールに変えることができます。欠点としては、Rhinocerosや3Designのような業界を代表するソフトウェアに比べるとユーザーベースとサポートシステムが限定的なことが挙げられます。しかし、トレーニングビデオが多数用意されていること、そして全体的なインターフェースがシンプルなため、業界のプロの方なら数日ほどで思い描いたジュエリーを表現できるようになるでしょう。
TinkerCAD
開発元:Autodesk
リリース:2011年
使用環境:WebGLが有効化された全てのブラウザ
最適な用途:初心者
価格:無料
TinkerCADは、ブラウザベースの無料CADソフトウェアで、簡単な形状の作成、修正、再結合が可能です。ブロックで構築するアプローチのため、完成品は単純で細かなディテールに欠いた形状になりますが、ジュエラーが初めてデジタル作業手順を導入する際には一考の価値がある選択肢となるでしょう。ジオメトリを数値ベースでスケーリングしてジュエリー用のベースモデルを設定することも可能です。装飾や模様をつける場合は、手動でモデリング、手書き、クラウドライブラリやユーザー自身の3Dライブラリからインポートが可能です。
TinkerCADではドラッグ・アンド・ドロップでジオメトリを追加できること、アイコンベースの機能ボタンが少数に抑えられていること、そしてナビゲーションギズモのおかげで全くの初心者でも使いやすいソフトウェアになっています。一方で、履歴ベースやパラメトリックモデリングなどの機能がないため、最初から適切なモデルを作成することが推奨されます。TinkerCADではすぐに3Dプリント可能なSTLファイルまたはOBJファイルが作成できるため、MeshMixerやZBrushCoreMiniなどのメッシュ編集ソフトウェアやスカルプティングソフトウェアで編集が可能です。
Fusion 360
開発元:Autodesk
リリース:2013年
使用環境:Windows(x64)、macOS
最適な用途:3Dプリント
価格:年間$495(一般)、無料(学生、スタートアップ)
Fusion 360は、AutodeskのクラウドベースのCADソフトウェアで、学生やスタートアップ企業は無料で利用できます。モデルをパラメトリックに定義することができ、簡易版の履歴ツリーも備わっています。多くのリソースが必要とされる操作もネットワーク上で行われるため、使用デバイスの処理能力に左右されない点がクラウドベースのCADソフトウェアのメリットです。
モダンなデザインのユーザーインターフェースには、7つのワークベンチがあります。Modelワークスペースでは、標準的なサーフェスおよびソリッドボディの操作機能を使ってベースモデルを作成し、寸法拘束を適用することができます。Sculptワークベンチでは、特にEdit Form(フォームを編集)コマンドでフリーフォームでの修正が可能です。Fusion 360が形状全体の曲率を滑らかに調整してくれている間に、ユーザーはメッシュの個々の面や頂点を操作できます。ジュエリー設計に最適な別の機能として、Pipe(パイプ)コマンドもあります。このコマンドでは、メッシュのノード間に有機的なフィリグリーワイヤーネットワークを自動作成できます。Refold Faces(フェースの折りたたみ)コマンドでは、平面モデルをリングやブレスレット用の曲線形状に変換できます。模様の作成も可能ですが、高度な石の配置やディテールは手動でモデリングする必要があります。
さらに3つのワークベンチが用意されており、そこではシミュレーションやジェネレーティブデザイン、アニメーション、レンダリング、製図作成ができます。Fusion 360は習得が簡単で、こちらのチュートリアル記事でもご紹介したように、Formlasの造形準備ソフトウェアPreFormとも統合可能なため、3Dプリントしたい部品の設計に最適です。
SolidWorks
開発元:Dassault Systèmes
リリース:1995年
使用環境:Windows
最適な用途:幾何学的な形状
価格:製品価格$3,995+年間$1,295(一般)、年間$99(学生)
SolidWorksは、おそらく最も普及している3D CADソフトウェアでしょう。境界サーフェスや曲率フィレットなど、Fusion 360よりも高度なサーフェスおよびソリッドモデリング機能がありますが、モデルを直接操作したりスカルプティングすることはできません。コンストレイントベースのモデリングで、すべてのフィーチャーがパラメータとともに履歴ツリーに保存されます。このアプローチの主な利点は、修正する際に設計要件の変更に応じてモデルが動的に更新されること、そしてモデルをいつでも以前の状態に戻すことが可能なことです。プロシージャによる作業手順は、より探索的なアプローチとは対照的に、エンジニアリング寄りの考え方と慎重な計画性が求められます。
ニッチな用途に対応できるという点では、SolidWorksの右に出る3Dモデリングソフトウェアはありません。しかし、SolidWorksはジュエリー設計専用ではないため、曲線や平面に沿って模様を作成できる機能はあるものの、曲面に模様を作成したい場合は他の方法が必要になります。3Dテキストのオプションも限られていて、イラストをモデルに追加したい場合はイラストを再描画する必要があります。自動エンボス加工機能は、平面と円筒面にのみ適用が可能で、複雑なサーフェスにエンボス加工をする場合には他の方法が必要になります。パーツはインポートが可能なので、宝石や装飾品ウィジェットとして自分だけのライブラリを作っておくと良いかもしれません。
使いやすさの面では、SolidWorksではすべての機能が各メニューとタブの下に非常に論理的にまとめられています。右クリックメニュー、上級ユーザー向けのショートカットキー、さまざまなインタラクションと、一見複雑なユーザーインターフェースに見えますが、実際には驚くほど効果的で中級ユーザーには習得しやすいソフトウェアです。SolidWorksから3Dプリント用のSTLファイルとしてエクスポートするには若干の編集作業が必要ですが、十分使える程度と言えます。SolidWorksの機能の詳細については、3Dプリント向けSolidWorksチュートリアル記事をご覧ください。
Blender
開発元:NeoGeo
リリース:1994年
使用環境:Linux、macOS、Windows、Android、BSD
最適な用途:3Dプリント、レンダリング、無料CADの中ではベストなソリューション
価格:無料
Blenderの高度なメッシュモデリングとスカルプティング機能の組み合わせは、ジュエリーデザイナーや3Dプリント愛好家をも魅了しています。ただし、Blenderに移行する際は、初心者の方にとっても技術的な作業が好きな方にとっても、習得までに時間がかると言えるでしょう。ポリゴンモデリングではメッシュを正確に制御し、最も複雑な形状や装飾品を作ることができます。曲げやツイスト、テーパー(先細り)、ストレッチ(引き伸ばし)、ワーピング(たわみ)、スムージング、ワープなどさまざまな変形が可能です。
Blenderには3Designのようなエンベロープ変形機能があり、フリーフォームでの操作が可能なスカルプティング機能もあります。特筆すべきはカーブモディファイアで、形状をカーブに沿ってモーフィングすることでジュエリーにぴったりフィットさせることができます。モディファイアのスタックには使用したすべてのモディファイアパラメータが保存されるため、ジオメトリとカーブが紐づいたままの状態となり、いつでも後から変更することができます。新しいGeometry Nodesワークスペースでは、Grasshopperのようなジェネレーティブデザインの機能を使用することができます。これは複雑な模様を作るのに最適で、作った模様は石の配置やフィリグリーに変換することができ、3Dプリンタの可能性を最大限に生かすことができます。
オープンソースのBlenderは商用の代替ソフトウェアと比べると習得が難しく、ブール演算などの機能にはバグが多くスカルプティング機能にも制限があるため、全体的に小規模なプロジェクトに適しています。とはいえ、有機的なデザインのジュエリーをモデリングする第一歩として素晴らしいスタートになるでしょう。
ZBrush
開発元:Pixologic
リリース:1999年
使用環境:Windows、macOS
最適な用途:スカルプティング、3Dテクスチャ、コストパフォーマンスが良い
価格:無料、$895または年間$360
ZBrushは、花、レリーフ、肖像画、動物などのスカルプトデザインを作成するには最高のソフトウェアです。さらに嬉しいことに、精度が要求されるデザイン向けに広範なポリゴンモデリング機能が利用できます。デザイナーは、ピンチ、ラウンドオーバー、面取り、折り目などのモデリング機能を操り、最適な効果を表現することができます。ジオメトリックプリミティブはパラメトリックに設定が可能で、例えばルーラーや数値入力フィールドでは精度を維持したまま、サイズだけを変更することも可能です。
ZBrushは、3Dテクスチャの作成にも優れています。装飾用ブラシのライブラリや、有機的なサーフェス全体のテクスチャを素早く適用できるカスタムブラシの作成が可能です。Nanomeshでは、微調整が可能なテクスチャのランダム配置が可能です。Curve Modeでは、パヴェ設定や装飾時に便利なスプラインに沿ってジオメトリを繰り返し回転させることができます。Gem Cut Studioで宝石やプロング設定を直接インポートし、そのままKeyshotにエクスポートしてレンダリングも可能です。
ZBrushは他にはないタイプのソフトウェアで、習得に時間はかかりますが、一度マスターすればデジタルで職人技を実現することができます。
ジュエリー設計のためのZBrush入門: 複雑な有機的形状を設計・3Dプリントする
本ウェビナーでは、デジタルスカルプターであるTomas Wittelsbachが、設計、プリント、鋳造を内製で高速に行えるようになったことで、作業工程がどのように変化したかを解説します。
Maya
開発元:Autodesk
リリース:1998年
使用環境:Windows、macOS、Linux
最適な用途:有機的で繊細な形状の設計
価格: $1,700/年
Mayaはもともと映画やアニメーション業界をターゲットにしていたものの、3Dプリント用のモデリングにも使用されることが増えました。この用途では最も高度なポリゴンモデリングが可能です。ツイスト、フレア、スカッシュ、テーパー、面取り、ベベル、ブリッジ、曲げなどのスカルプティング機能やモディファイアに加え、形状に曲線を投影したり、曲線ベースの模様を作成することもできます。MASHは、複雑なプロシージャ形状や模様を作成できる追加ツールキットで、ジュエリーに視覚的な変化を加えることができます。
ダイレクトモデリングソフトウェアのMayaは、精密なデザインには向いていません。しかし、ジオメトリだけでなくそのプロパティや相互関係もノードグラフアーキテクチャに保存されるため、デザイナーはモデリング画面で全体像を把握し、変更を加えることができます。コマンド履歴もある程度までは保存されます。
カスタマイズ可能なユーザーインターフェースのおかげで作業手順もスピードアップできます。Mayaで使える機能にはほぼ無限の可能性が秘められている一方、ジュエリーデザイナーにとっては、ほぼすべてのプロジェクトで作業可能なデザインにするための地道な作業が必要になるため、忍耐が必要と言えます。Mayaはその高度な機能とパワフルさゆえに習得が最も難しいソフトウェアの1つですが、その代わり実現できないことはほとんどありません。
Modo
開発者:Foundry
リリース:2004年
使用環境:Windows、macOS、Linux
最適な要素:概念設計、自由曲線の形状
価格:$1,799
Modoは、エンジニアリングの世界に足を踏み入れることなくクリエイティブな可能性を探求したい場合に最適なポリゴンモデリングソフトウェアです。通常、モデルの作成はボックスから始まり、ボックスの頂点をドラッグして目的の形状に近づけていきます。その後、スムージングや折り目付け機能を使ってシャープな部分とソフトな部分を定義します。オフセット、ベベル、ブリッジ、エッジスライスなどのポリゴン技術でディテールを追加し、サブディビジョン機能でさらに形状を最適化していきます。作業全体としては、スカルプティングとソリッドモデリングの中間のようなイメージです。
他のダイレクトモデリングソフトウェアと同様、Modoにはツイスト、ベンド、ボルテックス、スワール、ラティス、テーパー、バルジ、シックン、ラップ、プッシュ、スムースなどの変形インベントリがあります。ここで重視すべき機能は、エッジの重み付けです。オブジェクト全体を変形させるだけでなく、特定の領域を選択し、その領域に対して重みを付けることでモディファイアの効果をどの程度表現するかを定義します。フォールオフ機能ではこの手順が自動化されていて、モディファイアツールはユーザーが選択したライン、カーブ、または空間体積に沿った傾度に基づいてエレメントに影響を与えます。その結果、人目を引くジュエリーデザインに望ましい、滑らかなサーフェスの遷移を実現できます。
もう1つModoの主な利点は、3Dペイントと画像に基づくテクスチャ生成機能です。ユーザーインターフェースはBlenderと似ていますが、よりシンプルで視覚的で高度なカスタマイズが可能です。上級ユーザー向けにコマンドのほとんどにショートカットキーが割り当てられている他、SolidWorks、Thingiverse、Sketchfab、その他いくつかの3Dプリンタとも統合できるプラグインがあります。
3Dプリントでジュエリーデザインを実現
デジタル設計と一緒にSLA光造形方式3Dプリンタを導入することで、ジュエリー事業におけるデジタルフォーメーションが実現できます。FormlabsのGreyレジンは、外観と形状を確認するために試作・検証を繰り返し行いたい場合に最適です。また、試作品が手元にあることで、顧客とのコンサルティングセッションも可能になります。実際に作品を見たり試着したりできることで、顧客の満足度と信頼度が高まり、多くのフィードバックを得られることでデザイン、フィット感、着け心地などを改善することができます。
オーダーメイドのジュエリーは、何世代にも渡って愛用できる世界に1つだけのものでなければなりません。そのため、早い段階での試作品製作は「希望通りの」設計を実現するためにも欠かせません。試着によって顧客の気持ちが高まり、センターストーンをより高級なものにしたり、より凝ったデザインのオプションを組み込むなど、予算の幅を広げる「リーチオプション」を取り入れる絶好の機会にもなります。また、顧客が待っている間に試作品を製作するような場合には、最大4倍の速さで造形が可能なDraftレジンの使用をご検討ください。
製造段階に入ると、ダイレクトインベストメント鋳造(ロストワックス鋳造)で一点物のジュエリーを作ります。ワックスを混合したレジンでジュエリーを直接3Dプリントし、耐火性鋳造材料に浸して焼き切り、従来のワックス型と同様に鋳造することができます。Castable Waxレジンは、ワイヤーフィリグリーのような非常に複雑な特徴も再現しながら、灰の残らないきれいな焼成を実現します。Castable Wax 40レジンにはワックスが40%混合されており、非常に簡単な作業手順で確実に焼成ができます。
次に、ゴム成形でやや多めの製作に備えます。1つまたは複数の3Dプリント製原型を使ってゴム成形し、インベストメント鋳造で使用するワックス型を繰り返し鋳造します。スタンダードレジンで隅々まで造形した原型を使って、RTVシリコン成形を行います。引裂強さの高い天然ゴムは肉厚の成形品や耐久性のある金型に適しており、155°Cで加硫します。熱加硫シリコンゴムは175°Cで加硫が完了し、複雑なディテールを持つ成形品に適しています。このような用途には、二次硬化後は238°Cまで耐えられるHigh Tempレジンをご使用ください。
重厚な指輪から繊細な宝飾品まで、最新の材料で容易に鋳造
このウェビナーでは、Formlabsのジュエリー部門マネージャーのPatrick Digginsが、Castable Wax 40レジンの機能を紹介しながら、この最新材料がこれまでのジュエリーデザインと生産効率の限界を超える新しい可能性の追求にどのように役立つかについて説明します。
デジタルによるジュエリー設計と3Dプリントを始める
ジュエリー業界は歴史的に、数十年から数百年かけて独自の知識と技術を発展させてきた家族経営のビジネスです。CADや3Dプリントなどのデジタル技術により、設計および生産工程の高速化、製品のカスタマイズの可能性、顧客の関与、クリエイティビティの新しい可能性の探求、新しい市場への対応ができるようになる一方、従来の作業を奪うのではなく強化することでジュエラーを支えます。
ジュエリーの設計をワンクリックで成功させる魔法のようなソリューションはありませんが、3DesignやFirestormのようなCADソフトウェアには特定の設計ウィザード、宝石やベースモデルのライブラリがあり、限りなく完璧なものに近づけることができます。JCDは宝石の複数配列やパラメトリック設計の扱いに優れています。Rhinoceros+プラグイン機能なら、モデリングに関する高度な専門知識が必要となるものの、ジュエリー設計のほとんどの機能を利用できます。Grasshopperは、複雑なジオメトリをデータドリブンで生成しながらパラメトリックな設計が可能で、超高度なカスタムジュエリーを設計する新たな可能性を切り拓くソフトウェアと言えます。
3Dデザインに足を踏み入れたばかりの小規模な企業や独立系デザイナーの場合は、BlenderやModoなどのポリゴンモデリングソフトウェアが合理的な選択と言えるでしょう。ジュエリーに限らず、より広い分野に重点を置くデザイナーであれば、Fusion 360やSolidWorksのようなソリッドモデリングソフトウェアも使用できます。Tinkercadでも、シンプルなカスタム3Dデザインであればある程度見込みがあります。ZBrushには高度なスカルプティングとテクスチャリング、ポリゴンモデリング、宝石ライブラリ、高度な3Dレンダリング機能が統合されていて、特に有機的な形状のモデリングには最適なソフトウェアです。
どのソフトウェアもそうですが、完璧なCADソリューションというものは存在しません。何が最適かを決めるのは、デザイナー一人一人や企業が好むモデリングアプローチ、専門知識、プロジェクトの範囲によるところが大きいためです。ソフトウェアによって、ジュエリー設計のどこに重点を置くかが変わります。このガイドが、3Dを使ったジュエリー設計へ一歩踏み出そうとするジュエラーの皆様にとって、さまざまなデジタルソフトウェアや3Dプリント用途を知る材料としてお役に立てば幸いです。