PreForm 3.54でより優れた表面品質・精度・パッキングを実現

PreForm 3.54では、FormシリーズSLA光造形プリンタとFuseシリーズSLS(粉末焼結積層造形)3Dプリンタの両方に対応する新機能が追加されています。使用感がさらに向上したPreFormの各種ツールにより、それぞれのワークフローをより速く、簡単に、そしてより効率的に実施できるようになります。今回追加された新機能は以下の通りです。

  • Support V2(SLA光造形用の新しいサポート材生成アルゴリズム)

  • サポートツールの向上(SLA光造形)

  • 測定ツール

  • CADアセンブリインポート機能の向上

  • パッキング機能の向上:Fill the Build(ビルドを埋める)ツールが新登場

  • 使用感の向上

今回のPreFormのアップデートは、プリント準備にかかる時間を減らし、ワークフローのボトルネックになりがちな問題を解消し、サポート材やインポート、パッキングなどの作業ではなく、デザインや問題解決にユーザーの貴重な時間を使えるようにすることを目的としています。PreForm 3.54では、それが可能になります。 

新しいツールやコントロールを使用するには、PreFormをダウンロードまたはアップデートしてください。

Supports V2でより高い表面品質・精度・使いやすさを実現

サポート材はSLA光造形に欠かせない要素ですが、サポート痕が残る・除去に時間がかかるといったトレードオフがあり、表面品質・造形速度・後処理の手間のうち、優先したいものを選ばなければならない場面が多くありました。Supports V2は、表面品質・寸法精度・使いやすさを高めるために一から設計された次世代サポート生成システムです。

表面品質

Supports V2は、従来比でタッチポイントが平均50%小さくなり、新たなアルゴリズムが平面へのタッチポイント配置を積極的に避けることで、サンディングや造形向きの調整に費やす時間を短縮できます。従来のサポート材とは異なり、痕が目立ちにくく、処理しやすいエッジやコーナーにタッチポイントを配置するよう変更されたことで、プリンタから取り出した直後から表面品質がこれまでより滑らかで、かつエッジやコーナーがよりシャープになりクリーンなアセンブリが製作可能です。

寸法精度

新しいSupports V2アルゴリズムは、各モデルを解析することで安定化が必要な重要形状や面を特定し、より正確に造形できるようタッチポイント配置を最適化します。難易度の高いお客様モデルで行った社内テストでは、Supports V2 により寸法精度が2倍*向上し、反りやすい部品でも設計どおりの形状を保てることがわかっています。

* ベンチマークの形状に基づく精度向上測定結果。Supports V2では平均誤差が約2mmから約1mmへ改善。

PreForm のタッチポイントの配置改善

従来のサポート材は平面にタッチポイントが配置される傾向があり、小さな痕が目立ちやすい構成になっていた(左)。Supports V2では、痕跡を隠せるような曲面の領域にタッチポイントを配置する(右)。

取り外しがさらに容易に

プリント後のサポート材の取り扱いについても設計し直しました。手で潰して外すことのできる新たなラティス構造により、サポート材をさらに迅速かつ低リスクで除去できます。小さくなったタッチポイントとラティス構造化により、造形品の繊細な形状を傷つけにくく、安全かつきれいなサポート材の取り外しを可能にします。

Supports V2は、お客様のアイデアを現実にするツールを提供するというFormlabsのビジョン実現に向けた新たな一歩であり、滑らかさ・高精度・迅速さを追求したSLA光造形最高の品質を提供します。

Supports V2はTough 1000レジンTough 2000レジン V2のデフォルト設定として、また、GreyレジンClearレジンBlackレジンWhiteレジンではプリセットとしてご利用いただけます。今後数か月で対応材料をさらに拡大していく予定です。

SLA 光造形・SLS のプリント準備を簡素化する新ツール

PreForm 3.54には、複雑なモデルの準備をより速く・正確・直感的にする新ツールが追加されています。アプリ内の高精度計測からCADアセンブリのシームレスなインポートまで、今回のアップデートによってワークフローの摩擦が減り、よりスムーズに設計からプリントへ移行できます。

測定ツール
PreForm 3.54では、ビルド内でモデルの任意の2点間の距離を正確に計測できるようになり、モデルのサイズはもちろんのこと、肉厚や隙間、クリアランスの検証にも役立ちます。右側のツールバーには、X、Y、Zの寸法の距離がディスプレイされ、サマリ・パネルからコピーできます。Shiftキーを押すと、測定ツールをモデルの角にスナップさせることができます。

この新機能によりツールの切り替え回数が減り、重要な寸法データをシームレスに引き渡せるため、勘に頼る作業が減ってプリント前の最終チェックにかかる時間を短縮できます。

CADアセンブリのインポート
Formlabsユーザーは、単一部品ではなくアセンブリ全体を考慮して設計することがほとんどです。複数の3Dプリント部品を組み合わせて1つのアセンブリを設計する場合、これまではクリアランスを明確に定義していてもモデルを1つずつインポートする必要がありました。今回のアップデートから、PreFormがCADプロジェクトからのアセンブリインポートを検知し、アセンブリ全体として取り込むか個々の部品として取り込むかを選べるようになりました。

また、新しいインポートオプションではより柔軟なコントロールが可能になります。造形向きやパッキングの最適化のために個別インポートを選ぶ場合でも、アセンブリとして取り込むことで全体の所要時間を短縮できます。CADインポート設定を変更し、モデルのテッセレーション(分割精度)をカスタマイズすることも可能です。この新機能により、設計から製造までモデルの忠実性を一貫して保持することができます。新しいインポートオプションはワークフローのカスタマイズ性を高め、完成品に対するユーザーのコントロールを強化し、プリントプロセスにかかる時間を短縮します。

Fill the Build(ビルドを埋める)
SLA光造形とSLSの両方に対応する機能で、スループットを最大化しつつプリントのセットアップ時間を最小化するFill the Build(ビルドを埋める)ツールでは、手作業でモデルの複製やパッキングを行う必要がなくなり、自動化によってビルドに可能な限り多くのモデルを詰め込むことができます。詳細制御でモデル同士の間隔や向き・ラフトの重複(SLA光造形)などのレイアウトを微調整し、自動の Fill the Build ツールでプリセット条件を考慮した最高密度でのパッキングが可能です。 

この機能は、スループットの最大化に加えてコスト削減も可能にします。例えば Fuse シリーズのビルドでは、より高密度にパッキングすることでより効率的なパウダー使用が可能になり、造形単価を抑えられます。Fill the Buildはエラーを低減することで一貫性を高め、ワークフロー全体で生産性と効率を向上させます。 

ユーザー・エクスペリエンスとナビゲーションの向上

すべての軸方向でのスライス表示が可能になるなど、ナビゲーションやビューアーの機能が向上したほか、パーツのカラー・コーディング(色分け)機能など、プリント準備が格段に簡単・高速・直感的になりました。

すべての軸方向で断面を表示できるようになったことで、モデルの内部形状や複雑なサポート材、パッキング後のビルドボリュームを容易に確認できます。ビューアー・キューブでは混み合ったシーンでも簡単にナビゲートが可能になり、複数の標準ビューを切り替えることでビルドの状況を素早く把握できます。

パーツのカラー・コーディング機能は、個々のモデルやモデルリスト全体にそれぞれ異なる色を割り当てることが可能です。異なるタイプのパーツを複数パッキングする場合や異なるチームのパーツをまとめてパッキングする場合でも、編集や変更を行う際に目的のパーツを見つけやすくなります。

複雑なビルドのセットアップに頭を悩ませる必要は、もうありません。新ツールの登場により、内部構造の検証やナビゲーション、パーツの識別を、これまでより迅速かつ簡単に行えます。

PreForm でプリントをセットアップ

初心者から熟練者まで失敗しないプリントのセットアップを可能にする PreForm は、今回のアップデートで複雑なビルドも扱いやすくなり、複雑さやスループットを高める場合にもより自信を持って行えるようになりました。

PreForm のアップデートの多くは、実際にFormlabs製品をご使用中のお客様からのご提案を取り入れたものです。PreForm 画面右下のフィードバックボタンから、今後も様々なご意見をお聞かせください。

ご紹介した機能を使用するには、PreForm をダウンロードいただくか、PreForm のヘルプメニューから「アップデートを確認」をご選択ください。3D プリンタに関するお問い合わせやお客様独自のワークフローに必要なツールについては、Formlabs の 3D プリンタページをご覧いただくか、以下からお問い合わせいただけます。