SLS(粉末焼結積層造形)3Dプリント向けの食品安全対応パウダー、SLA光造形3Dプリント向けのインプラントグレードポリマー… これらの材料に共通しているのは、いずれもFormlabsプリンタのOpen Material Mode(OMM)で開発されたということです。
Formlabsは2024年10月、OMMのリリースとともに材料のオープン化を発表し、ユーザーがお好きな波長405 nmのUV光対応の光硬化性レジンまたは波長1064 nmのレーザー光対応のパウダーをFormlabs 3Dプリンタでお使いいただけるようになりました。それ以来、研究機関や材料メーカー、新規用途の開拓を目指す企業など数百社がOMMを導入・活用し、プリント能力の拡張を実現しています。
Form 4シリーズ3Dプリンタのヒーター、ミキサー、レベルセンスにOMMを組み合わせることで、材料開発者は新規材料の開発に必要なツールを利用できます。さらに、初期リリース以降に追加された10種類の新規パラメータにより、Formlabsプリンタは最先端の材料開発に最適なプラットフォームとなっています。
ここで紹介するHenkel Corporation、Poly-Med、Fabulousの3社は、OMMを活用して新規材料を開発し、3Dプリントの可能性を大きく広げている企業です。
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試作品の高速製作も、実製品用部品の製造も、どのようなニーズにもお応えします。Formlabs は専門のスペシャリスト集団として、お客様や企業のニーズを的確にサポートします。
Henkel、カスタム造形設定でLoctite® 3DレジンをForm 4に対応させる
「Formlabsは、光造形を簡単でより身近なものにする製品を開発してくれました。ユーザーからの強い要望もあり、Loctite® 3DレジンをForm 4で検証するというのは自然な選択でした。現在では、すでに十数種類の材料が適合済みであり、ユーザーは最初から最後まで信頼性の高いワークフローを利用できます」
Henkel Corporation 北米3Dプリンティング事業開発責任者、Andrew Baggen氏
(画像提供:Henkel)
Henkel Corporationは、幅広い実製品用途向けに設計された3Dプリント用のLoctite®レジンを製造しています。OMMによって自社レジン向けのForm 4用設定の迅速かつ容易な開発が可能になった結果、より多くの顧客がLoctite® 3Dレジンで造形できるようになっています。OMMの活用により、高靭性、耐熱性、エラストマー材料を含む12種類以上のレジン向け設定を短期間でリリースすることができました。
Henkel Corporationは、PreForm設定エディタでForm 4向けに各レジンの造形設定を最適化し、さらに後処理ワークフローも確立しました。各設定では、均一な機械特性、寸法精度、表面品質を保証するため、造形から後処理まで一貫した検証が求められます。
「Open Material Modeにより、造形設定を直接最適化できる柔軟性が得られ、プロファイルの開発と検証を迅速に進められます。機械特性、寸法精度、表面品質を細かく調整できるため、お客様はLoctite®レジンの性能を最大限に引き出すことができます」
Henkel Corporation 3Dプリンティング製品開発・アプリケーションエンジニアリング責任者、Daniel Rothfuss博士
Form 4の露光出力が高いことから、Henkel Corporationは、従来は産業用の405 nm 3Dプリンタでしか扱えないことの多かったレジン向けにも設定を開発し、顧客の選択肢をさらに広げることに成功しました。Form 4でOMMを使用したことで、こうした高性能レジンの利用可能性がさらに広がったことを受け、Baggen氏はこう述べています。「Air Down Gear UpやForerunner 3Dのように、Loctite® 3Dレジンを用いて機能性の高い実製品用部品を製造するお客様においては、すでに革新的な用途が生まれています。」
Poly-Medが高精度形状にインプラントグレードポリマーを使用
CDMO(開発製造受託機関)であるPoly-Med, Inc.は、非荷重用途や低弾性率が求められる用途向けのPhotoset® 023レジンをはじめとした生体材料を開発しています。Poly-Medで材料科学・技術部門マネージャーを務めるAaron Vaughn博士は、生体材料の開発のためにFormlabsのSLA光造形プリンタでOMMを利用しています。現在、同氏とPoly-Medのチームは、新規の吸収性医療器具に関する実現可能性プロジェクトの完了に近づいています。これは、3Dプリントで作るラティス構造状のインプラント型医療器具で、カスタムの歯肉移植、創傷マトリックス、熱傷マトリックスの製造に使用されます。
Formlabs 3Dプリンタで造形したPoly-MedのPhotoset® 023レジンのサンプル(画像提供:Poly-Med)。
このレジンの開発にあたり、Poly-MedはForm 3とForm 4の両方のプリンタでOMMを活用しました。Form 4のヒーター機能、スクイッシュ(圧縮)およびリフト機能、ミキサー速度制御は、開発のうえで特に重要な機能だったと言います。
「生体吸収性材料を開発するにあたり、レジンの粘度を下げるために、一般的に用いられる溶剤や反応性モノマーは使わないようにしたいと考えました。こうした化学物質を用いずに、生体適合性のある吸収性レジンを造形可能にするうえで、プリンタのヒーター機能は極めて重要でした。さらに、レジンに配合した添加剤を混合できるよう、ワイパーのついたプリンタを必要としていました」
Poly-Med 材料科学・技術部門マネージャー、Aaron Vaughn博士
PreFormのPreForm設定エディタを使用することで、Vaughn氏は露光条件やレイヤー高さ、加熱、積層ピッチ、XYZ補正係数などを調整し、精密な造形設定を開発することができました。
前回Poly-Medに話を聞いて以降、Vaughn氏は「現在進行中の造形プロジェクトの需要に対応するため、Form 4プリンタを2台導入したところ、おかげでプロセスと製品開発の作業が加速した」と言います。
Fabulousの食品安全対応SLSパウダーで食品安全を実現
「OMMとFuse 1+ 30Wのおかげで、材料開発に対するアプローチが一変しました。オープンプラットフォームのおかげで、DETECTを記録的な速さで検証し、従来のシステムの制約を受けることなく、お客様に信頼性の高い産業用ソリューションを提供することができました」
Fabulous CEO兼創業者、Arnault Coulet氏
SLS向け高機能材料を専門とするFabulousは、PA11 DETECTパウダーをFuse 1+ 30W上で設計・検証しました。Fabulousは、パウダーベッド方式向けに食品接触規制に適合した特許材料を初めて開発した企業です。これらの材料は、食品・医薬品の生産ラインにおける安全性に不可欠な検知機能も備えており、材料内部に組み込まれた青色安全インジケーターによる光学検知と、複合ポリマー磁鉄鉱材料を用いた金属検知が可能です。DETECT材料は、バイオベースのPA11をベースに開発されており、最高水準の食品接触認証を取得しています。Fuseシリーズ製品の導入しやすさにより、Fabulousは高価なハイエンドSLSシステムに頼ることなく、DETECTのような特殊材料を検証することができました。
こちらは食品業界の安全要件を示すDETECTサンプルで、青色の光学検知と磁化可能な金属検知を組み合わせています。
パウダーの検証時、Fabulousはこの材料で等方的な機械特性を達成しました。さらに、OMMとFuseエコシステムの信頼性もあり、FabulousはFuse 1+ 30Wで直接造形した部品に対して行ったEU 1935-2004 / 10-2011およびFDA CFR 21の溶出試験で、ETECTの適合性を確認しました。
Fuse 1+ 30WでDETECTを用いて造形されたIce Extruderは現在、生産現場で使用され、従来の機械加工品や成形品を置き換えている。この部品は、表面品質、形状の複雑さ、そして食品・製薬業界における産業用途への適用性がある(画像提供:Fabulous)。
Fabulousは、PreFormにアップロードすればすぐに使えるFPSファイルを提供しています。さらに、Fuse 1+ 30WでDETECTを造形するための詳細なユーザーガイドも用意されており、推奨設定や後処理手順が記載されています。
Fuse Blastによる処理前の部品(左)と処理後の部品(右)(画像提供:Fabulous)。
Fuse Blastは、部品表面を半光沢に仕上げることができるパウダー除去・研磨用の全自動ソリューション(画像提供:Fabulous)。
Fuse 1+ 30W上でDETECTを使った造形が可能になったことで、食品安全対応部品の製造がより身近なものとなり、高価な産業用SLSシステムの導入コストや外注に伴う長いリードタイムを克服できます。
Formlabsで働く
Formlabsでは、世界中で活躍するデザイナー・エンジニア・研究者・アーティスト・医療従事者が高品質な内製を実現できるよう、一緒にサポートしてくれる仲間を募集しています。
あらゆるものづくりを可能にするツール
食品安全対応パウダーから生体吸収性レジンまで、FormlabsプリンタのOMMは、材料科学の最前線に立つ研究者に対し、3Dプリントの可能性を押し広げるツールを提供しています。
OMMとPreForm設定エディタは造形プロセスの調整において唯一無二のツールですが、使いこなすまでに慣れが必要な場合もあります。OMMの活用を検討している方向けに様々なリソースが用意されていますので、ぜひご覧ください。FPSファイルの共有に特化したフォーラムページはこちらです。さらに、SLA光造形およびSLS 3Dプリント向けに以下のリソースもご利用いただけます。
SLA光造形
SLS
3Dプリントの限界に挑戦したい方、またはサードパーティ製材料をご利用になりたい方は、ぜひOMMをご活用ください。また、Formlabs 3Dプリンタの詳細からは、当社技術がどのように研究開発を支援できるかをご確認いただけます。