熱可塑性プラスチックは、強度・コンプライアンス・復元性・耐UV性・長寿命という、製造業における理想的な標準材料としてふさわしい材料特性を兼ね備えています。これまで3Dプリント用レジンはこうした優れた特性には太刀打ちできませんでしたが、今日からはその現状が変わります。
Formlabsの次世代高機能材料として、ついに熱可塑性プラスチックに肩を並べるTough レジンが登場します。Toughレジンファミリーは各材料の引張弾性率をもとに名前がつけられており、HDPE・ABS・ポリプロピレンに匹敵する機械特性を備えています。
Tough 1000レジンと新配合のTough 2000レジンが、Tough 1500レジンとともにToughレジンファミリーを構成します。強靭で回復力に優れたこれらのエンジニアリング材料は、過酷な環境や衝撃・繰り返しの摩耗にも耐え、さらにForm 4シリーズの3Dプリンタでプリントすると鮮明なディテール表現とともにダークでマットな仕上がりになります。
| 材料 | Tough 1000レジン | Tough 1500レジン | Tough 2000レジン |
|---|---|---|---|
| 主な特長 | Toughレジンファミリーで最も靭性と延性に優れた材料 | 剛性とコンプライアンスの優れたバランス | Toughレジンファミリーで最も高強度・高剛性の材料 |
| 匹敵する熱可塑性プラスチック | HDPE デルリン(POM) | PP | ABS |
| 推奨用途 | 耐衝撃性を備えた治具・固定具、部品、スクイーズ可能な試作品 低摩擦アセンブリ(ギア、ボールジョイントなど) | ラッチ、フレクシャー、ダンパーのようなコンプライアント機構のために剛性と靭性が求められる部品
留め具・バックル、セルフタッピングねじ用ボス、ヒンジ | 頑丈な治具・固定具、保護シェル、スナップフィットエンクロージャ 耐熱・耐クリープ性が求められる部品 |
Tough 1000レジン:高密度ポリエチレンに匹敵するレジン材料
Tough 1000 レジンは延性と耐衝撃性に優れた材料です。破断伸び 180%、ガードナー衝撃強さ 13.1J という数値は HDPE を上回り、デルリン(POM)に匹敵する潤滑性で表面には摩耗や傷が生じにくく、滑らかに摺動します。
優れた耐摩耗設計により長期にわたって靭性と延性を維持できるため、繰り返しの応力や摩耗を受ける治具・固定具・可動アセンブリ・機能部品に最適です。
現在 Durable レジンをご利用中の場合は、Tough 1000 レジンで耐熱・耐老化・耐クリープ性が向上していることを実感いただけます。さらに、二次硬化中の反りやたわみに対する耐性もあり、寸法精度の高い部品を作ることができます。
「実製品用部品は氷点下で行われる過酷な耐久試験に耐える必要があります。かなり負荷のかかる使い方をしますが、Tough 1000 レジンは十分に持ちこたえてくれます」
Cool Machines 製図工 兼 メカニカルデザイナー、Adam Warren 氏
| レジン | Durableレジン | Tough 1000レジン | HDPE(押出シート)、McMaster-Carr |
|---|---|---|---|
| 最大引張強さ | 28 MPa | 26.3 MPa | 30 MPa |
| 引張弾性率 | 1000 MPa | 932 MPa | 1000 MPa |
| 破断伸び | 55% | 180 % | 100% |
| ガードナー衝撃強さ@1/32インチ(0.8 mm) | 4.1J | 13.1 J | 5.4J |
| 破壊強度(Wf) | 690 J/m2 | 3200 J/m2 | Not tested. From literature, ~5000-6000 J/m2 |
| 荷重たわみ温度 @ 0.45 MPa | 41ºC | 55.3 ºC | 未試験。文献値:〜70–90ºC |
Form 4 シリーズプリンタのテクノロジーを活かした滑らかなマット仕上げと細部を引き立てるダークグレーの色合いで、量産可能な部品を造形できます。
Tough 1000 レジンの無償サンプルパーツをリクエスト
Tough 1000 レジンは、延性と耐衝撃性に優れ、高密度ポリエチレン(HDPE)に匹敵する強度・硬度・靭性を持つ材料です。摩耗や疲労への耐性が非常に高く、長期的な耐久性と実用性を実現します。
Cool Machines でコスト削減とサプライチェーンの強化を実現
オハイオ州にあるCool Machinesは、断熱機器メーカーです。COO の Andy Schulte 氏にとって、サプライチェーンの回復性とコスト削減が鍵を握る要素でした。Cool Machines は現在、Form 4とTough 1000レジンを活用し、氷点下の気温や衝撃、最大 600 psi の圧力に耐える実製品用部品を開発・製造しています。
当社では、ドライウォールの施工前に壁の空洞へ断熱材を吹き付けるために Wall Spray Nozzle(ウォールスプレーノズル)を使用していますが、内部形状が複雑なため、この部品の製造は3Dプリントなしでは不可能でした。
Wall Spray Nozzle の部品として満たす必要のある要件は、断熱材の圧力に耐えられることでした。Warren 氏は、社内試験で 1/4 インチ NPT ねじが最大 900psi まで耐えられることを確認したほか、凍結落下試験や衝撃試験も実施しました。次は実地試験ですが、ここでも Wall Spray Nozzle が壊れることなく試験を通過できれば、試作品の製作時と同様に Form 4 で Tough 1000 レジンを使って 3D プリントで量産します。
Tough 2000 レジン:ABS に匹敵するパフォーマンス
新しい Tough 2000 レジンは、ABS に匹敵する強度と剛性を持つ頑丈な材料です。靭性に加え、高い耐熱・耐クリープ性を兼ね備え、繰り返しの屈曲にも耐えられるスナップフィット、耐衝撃性の頑丈部品、各種構造部品を 3D プリント可能です。
Tough 2000 レジンで製作した造形品は、4MPa の荷重下で2週間後もクリープひずみが 1.3% にとどまり、長期間にわたって変形を抑えたい部品に最適です。また、0.45 MPa での荷重たわみ温度が 70°C と、高温でも形状を保つことのできる機能部品として安定した性能を発揮します。
「新しい Tough 2000 レジンは前世代に比べてディテール表現がさらにシャープになっており、プリンタから取り出してすぐに違いが分かりました」
Research International シニア・メカニカルデザイナー、Kyle Garvin 氏
Form 4 シリーズ 3D プリンタのテクノロジーを最大限活かせるよう設計された Tough 2000 レジンの最新配合は、前世代比で破壊靭性が 3 倍になり、耐傷性の向上、ダークでマットな表面品質など、機械特性が向上しています。
従来の Tough 2000 レジン(左)、新配合の Tough 2000 レジン(右)。Tru-North Design 社長の Dustin Hecocks 氏は「仕上げ後の見た目が大幅に向上しており、ブラックの色合いも完璧」と言う。
| レジン | Tough 2000 レジン V1 | Tough 2000 レジン V2 | ABS(押出シート)、McMaster-Carr |
|---|---|---|---|
| 最大引張強さ | 46 MPa | 40.4 MPa | 39 MPa |
| 引張弾性率 | 2100 MPa | 1800 MPa | 1800 MPa |
| 破断伸び | 44 % | 79 % | 8 % |
| ガードナー衝撃強さ@1/32インチ(0.8 mm) | 1.1 J | 1.6 J | 2.3 J |
| 破壊強度(Wf) | 115 J/m2 | 305 J/m2 | 2060 J/m2 |
| 荷重たわみ温度 @ 0.45 MPa | 59 ºC | 70 ºC | 未試験。文献値:100ºC |
次世代の Tough 2000 レジンは、ABSに匹敵する性能でヘビーデューティ用途に適した材料です。
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Tough 2000 レジン V2 は、ABSに匹敵する強度と剛性を持つ頑丈な材料で、靭性とともに高い耐熱性や耐クリープ性を備えています。
厳しい環境にも耐える Tough 1500 レジン
Tough 1500レジンは、次世代Toughレジンファミリーの第一弾です。PP材に匹敵する強度と剛性・靭性を備えた弾力材料で、破壊や衝撃に非常に強く、粉々に割れることがありません。
従来版比で破壊靭性は10倍に向上し、穴あけやタップ加工にも耐えられるほか、薄肉部のガードナー衝撃強さも3倍に向上しさらに割れにくくなりました。破断伸び155%、ロス曲げ疲労も8,000サイクルと極めて高く、スナップフィットやコンプライアント機構を持つ部品に最適です。
ASTM D4459に基づいて行われた室内における加速老化試験では、400時間後にHDT 66°C、EAB* −30.4%を示し、高コンプライアンスのSLA光造形用材料の中でトップクラスの耐熱性・耐UV性が確認されました。
| レジン | Tough 1500 レジン V1 | Tough 1500 レジン V2 | PP(押出グレード) |
|---|---|---|---|
| 最大引張強さ | 30 MPa | 34 MPa | 29.2 MPa |
| 引張弾性率 | 1260 MPa | 1460 MPa | 1600 MPa |
| 破断伸び | 64 % | 155 % | 125 % |
| ガードナー衝撃強さ@1/32インチ(0.8 mm) | 2.5 J | 5.0 J | 2.7 J |
| 破壊強度(Wf) | 102 J/m2 | 1011 J/m2 | ~2000 J/m2 |
| 荷重たわみ温度 @ 0.45 MPa | 45 °C | 66 °C | 未試験 |
新しくなった Tough 1500 レジンの登場以降、ユーザーは過酷な海洋環境に耐える部品や 120 マイルのレースで電動ダートバイクを保護する部品、そして高性能な試作品を造形しています。
企業:Sirris
「Tough 1500 レジンは耐衝撃性と柔軟性のバランスが良く、実使用にも十分な耐久性があります」
Sirris 共同創業者 オペレーション担当、Jon Howard 氏
企業:Viking Yachts
「射出成形品のようなワンオフのカスタムパーツを作っています。それこそが“ Viking らしさ”であり、誇りを持っている部分です」
Viking Yachts 高度製造エンジニア、Winston Zeberlein 氏
企業:UbeCube
「当社製品の大半はポリプロピレンですが、Tough 1500レジンはその特性を高レベルで再現してくれます」
UbeCube インダストリアルデザイナー、Isaiah Tarwater 氏
Tough 1500 レジンの無償サンプルパーツをリクエスト
Tough 1500 レジン V2 は、PP材に匹敵する強度と剛性・靭性を備えた弾力材料で、破壊や衝撃に非常に強く、粉々に割れることがありません。
Tough レジンでプリントする
繰り返しの屈曲や荷重のかかる環境でも形状を維持し、他のプラスチックが変形してしまうような環境でも性能を発揮できる。そんな高水準の要件に応える Formlabs の Tough レジンがあります。Tough 1000 レジン、Tough 1500 レジン、Tough 2000 レジンは、Form 4 シリーズのテクノロジーを活用し、必要なときに必要な性能を発揮する部品をお届けする高機能エンジニアリング用レジンです。
以下より、インタラクティブな材料比較ツールで最適な Tough レジンをご確認いただけます。また、無償サンプルパーツをお申し込みいただくと、材料の品質を直接ご確認いただけます。プリントを開始するにはレジンをご購入いただくか、Formlabs までお問い合わせください。ボリュームディスカウントに関するお問い合わせも承っております。
