Formlabsは、特許取得済のクイックリリーステクノロジー(Quick Release Technology)を搭載したBuild Platform 2Lを発表しました。これにより、弊社の大容量SLA 3Dプリンタ、Form 3LおよびForm 3BLの後処理ワークフローを効率化できます。
大容量3Dプリンタが有用になるケースとは
Form 3LおよびForm 3BLプリンタ製品について、またその他の大容量プリント方式との違いについて説明します。
この無料レポートでは、Form 3Lを使った内製での大容量3Dプリントと、外部委託やFDMプリンタによる製造を中心とした他の方法を比較しています。
Building Bigger
Build Platform 2Lは、弊社のデスクトップ型SLAプリンタ向けのBuild Platform 2製品の成功に基づき、大容量SLA向けの後処理を効率化するために規模とパワーを高めて、進化させた製品です。Formlabsは新製品を開発する際に、お客様の声やユーザー体験を優先しています。コミュニティは、Build Platform 2の新しい力が大容量プリントのワークフローにさらに大きな違いをもたらすことに疑いの余地がありませんでした。
Form 3LとForm 3BLは、再現性の高い精度と優れた表面仕上げ、人間大サイズと実製品用途への対応能力を兼ね備え、レジン製パーツを現実世界でさらに多くの用途に活かしています。Build Platform 2Lは、後処理時間の短縮や24時間プリントの実現により、ワークフローに残る障壁を取り除きます。Build Platform 2Lは、実物大の解剖模型から工業用強度の金型まで、大きな部品や重い部品の後処理を容易にすることで、ユーザーの用途拡大に役立ちます。
Build Platform 2Lのステンレス材料は、えぐれに強く丈夫で、プリント頻度が高くても長く使える製品です。搭載されているクイックリリーステクノロジーは、Form 3+やForm 3B+向けのBuild Platform 2と同じもので、Form Autoとの併用で24時間365日連続生産を可能にします。
新しい用途の実現
最大造形サイズと種類豊富な材料ライブラリは、SLA方式3Dプリンタの用途の幅を大きく広げましたが、特定のワークフローは時間がかかり過ぎて頻繁に実行することはできませんでした。そのワークフローの1つが、大容量3Dプリンタで作られた射出成形用金型インサートの製作です。FormlabsのデスクトッププリンタとRigid 10Kレジンなどの材料で金型を作るための、簡単で実証済みのワークフローがいくつかあります。大きなサイズの金型には、サイズ、プリントの向きや速度、パーツの取り出しなど、いくつかの考慮事項がありました。
3Dプリンタ製の型を使った少量高速射出成形
3Dプリント製の成形型を使用して射出成形を行う際のガイドラインや、Braskem、Holimaker、Novus Applicationsの実例を掲載した技術資料をダウンロードできます。
材料によっては、工具やパテナイフを使った手作業でビルドプラットフォームから取り出すことが難しい場合があります。レジンの密度によって標準のビルドプラットフォームとの接着が極めて強くなり、パーツの取り外し作業にかなりの手間がかかります。接着の問題を避けるために、ユーザーはよく金型を斜めにプリントしています。ラフトやサポート構造は、ビルドプラットフォームに平らにプリントされたパーツよりも簡単に取り外せ、サポート構造は傷つくことを気にしなくてよいため、より簡単に作業できます。
しかし、金型を斜めにプリントすると、プリント時間が長くなり、金型の大きさによっては、プリント時間が2倍になったり、高さがあり過ぎて全くプリントできなくなることもあります。工業用高圧成形機用の金型ではまた、材料特性が部品全体で完全に一致している必要があります。工業用圧力プロセスで悪化するような密度や強度のばらつきが存在してはなりません。Build Platform 2L以前は、工業用強度の3Dプリント製金型を作ろうとするユーザーには、絶対確実な方法がありませんでした。
クイックリリーステクノロジーとBuild Platform 2Lにを使うことで、ユーザーはRigid 10Kレジンで大きな射出成形用金型を、サポート材無でビルドプラットフォーム上に直接プリントできるようになりました。パーツは完全に一貫した密度と強度を持ち、簡単かつきれいに取り外すことができ、射出成形プロセスで使用することができるようになります。Siemens Energy Orlando Innovation Center、Additive Manufacturing Technician、 Matthew Deutsch氏 にお話を伺いました。
新たな成形ワークフローが可能
Siemens Energy Orlando Innovation Centerでは、Matthew Deutsch氏がFDM方式とSLA方式の複数台3Dプリンタを管理し、Siemens Energy部門や世界中の顧客からの部品やプロセスガイドラインのリクエストに応えています。Deutsch氏は、2台のForm 3Lプリンタを使って、展示会用のエンジンの模型から、地球の裏側でガスタービンを修理するのに必要な固定具や工具まで、様々なアイテムを製作しています。
Rigid 10Kレジンを使ったForm 3Lでの金型インサートの製作は、以前からDeutsch氏が完成度を高めるために行ってきたプロセスです。Deutschが高密度レジンで大きな金型を製作する際、プラットフォーム上で直接プリントした後に金型を取り外すのが困難でした。斜めにプリントすると、均一に加圧することができないという問題がありました。Build Platform 2Lの導入により、Deutsch氏は大きな金型をビルドプラットフォーム上で平らにプリントし、プリント終了後に簡単に金型を取り外すことができるようになりました。「1kg分もの部品を一度にプリントし、サポート材を使わずビルドプラットフォーム上で直接プリントし、瞬時にそれを取り外すことが可能になりました。今までのやり方を思うと信じられません。金型を切削で起こして成形する以外に、これほど簡単に作る手段はありませんでした。」Deutsch氏は述べています。
企業は3Dプリント製金型を活用することで、機械加工した金型のような高いコストをかけずに、製品を少量生産できるようになります。デザインの変更の可能性がある新製品の場合、費用対効果の高い製造方法があれば、テストを繰り返すコストが少なくなります。3DプリントとBuild Platform 2Lのワークフローで、数十個から数百個の射出成形部品を確実に生産できるようになりました。
「待った甲斐がありました。金型を使った成形では、樹脂型をプリントしてから射出成形品ができるまで、24時間以内に完了できるようになりました。この業界にとって、大きな進歩になるでしょう」
Matthew Deutsch氏 Siemens Energy Orlando Innovation Campus アディティブマニュファクチャリング技術者
Build Platform 2Lによるビルドプラットフォーム上での直接プリントのメリットは、全てを含めたプリント時間やより良い材料使用にも及んでいます。角度のついたパーツの高さ追加やサポート材無しで、プリント時間は大幅に短縮され、Deutsch氏はより頻繁にプリントできるようになりました。
プリントデータ:コイン金型
造形時間 | 後処理時間 | 合計時間 | 使用材料 | |
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従来のBuild Platform使用時 | 14時間 | 1時間 | 15時間 | 391.43ml |
Build Platform 2L使用時 | 6.5時間 | 10分間 | 6時間40分 | 363.20ml |
広がる可能性
Form 3LとForm 3BLの登場は、高性能で優れた表面仕上げのSLA 3Dプリントパーツの可能性を広げるものでした。新しい材料や備品が登場するたびに、その広がりは続いています。Build Platform 2Lは、新しいワークフローを可能にし、既存のワークフローをより速く、より簡単に、より効率的にします。以前ユーザーは、Rigid 10Kレジンのような高密度レジンを使ったパーツの取り外しに苦労していましたが、今ではBuild Platform 2Lを曲げるだけで、パーツは毎回簡単に外れます。
Formlabsは、ワークフローの限界を広げるユーザーたちを後押しします。Build Platform 2Lは、Form 3LおよびForm 3BLユーザーが、3Dプリント技術を使って可能性を広げ、新しいことに挑戦し、生産の新しい道を切り開くために、開発されました。「Formlabs製品があれば、SLA方式3Dプリントの限界だと思っていたことが再考でき、今までできないと思っていたことができるようになります」とDeutschは言います。
Build Platform 2Lについての詳細は、ストアを訪問してください。ご相談やご注文は、Formlabsの営業担当者までお問い合わせください。