Cool Machines Tough 1000 レジンでコスト削減とサプライチェーンの強化を実現

Person wearing gloves removing part from Form 4 3D printer

「実製品用部品は氷点下で行われる過酷な耐久試験に耐える必要があります。かなり負荷のかかる使い方をしますが、Tough 1000 レジンは十分に持ちこたえてくれます」

Cool Machines 製図工 兼 メカニカルデザイナー、Adam Warren 氏

オハイオ州を拠点とするCool Machinesは、断熱機器メーカーです。COO を務める Andy Schulte 氏にとって、サプライチェーンの回復性とコスト削減が鍵を握る要素でした。Cool Machines は現在、Form 4Tough 1000 レジンを活用し、氷点下の気温や衝撃、最大 600psi の圧力に耐える実製品用部品を開発・製造しています。

断熱バキュームやブローイング・マシンの部品は内部構造が複雑で、かつ製品の生産数は通常 10~100 個と少ないため射出成形では採算が合わず、アルミ削り出しの外注は完了までに 2 カ月かかることもあります。

製図工 兼 メカニカルデザイナーの Adam Warren 氏によると、同社は当初、コロナ禍に Elegoo の光造形プリンタを 3 台導入してサプライチェーンの回復力を高めようとしたものの、プリンタには常に問題が発生し、テクニカルサポートにも連絡が取れなかったと言います。「その時点で、信頼できるテクニカル・サポートのある 3D プリンタを探し始めました。米国内にサポートチームがあることが希望でした」と、Warren 氏は当時を振り返ります。

「米国で製造され、米国内でサポートが受けられる光造形プリンタはそう多くありません。私にとってはこれが要件の一つでした。Formlabs に決めて以来、一度も考え直す必要はありませんでした。Formlabs のテクニカルサポートは本当に素晴らしいです」

Cool Machines 製図工 兼 メカニカルデザイナー、Adam Warren 氏

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内製化でサプライチェーンの回復力を高める

ダイヤルのノブのような小型部品は 1 個あたり 4 ドル程度のコストがかかり、かつ入手が難しい場合がありますが、15 個を内製できれば 1 個あたり 1 ドル未満、Form 4 でBlack レジンを使用すれば 90 分で完成します。最初の数個で活用方法を確立して以来、Cool Machines はサプライチェーンの回復力向上・コスト削減・タイムライン短縮のため、部品の社内プリントを常に考慮に入れています。

「可変抵抗コントローラー」と書かれた黄色いパネルの上に乗る黒いノブ

Form 4 では 15 個の可変抵抗ノブを 90 分でプリントすることが可能。外部から購入する場合の 4 分の 1の費用で済む。

コストや時間の削減に加え、3D プリントではアルミ切削や射出成形では実現の難しい複雑形状やアンダーカット形状も製作が可能で、社内で製造可能な部品の幅が広がります。

Tough 1000 レジンで強靭な部品を造形

材料科学の発展により、3D プリントで実現できることは拡大し続けています。Schulte 氏は「 Formlabs の新しいレジンの開発や製品改良に打ち込む姿勢には本当に感銘を受けます」と話します。ノブや小型部品にとどまらず、Cool Machines の実製品用部品は、氷点下での耐久試験やユーザーが荷重をかけながら移動させることの多い現場での衝撃に耐える必要があります。そのため Warren 氏は、1/4 インチ NPT ねじをプリントできるデルリンのような材料を探していました。ここにTough 1000 レジンの出番があります。

Tough 1000 レジンは延性と耐衝撃性が高く、HDPE に匹敵する靭性を備え、深みのあるダークグレーな色合いとマットな質感に仕上がる材料です。Warren 氏は、Formlabs が無償で提供する造形準備ソフトウェアPreFormを使うことで、ワンクリックで簡単にパーツのセットアップが可能だと言います。プリントと後処理が完了した後はサポート材を取り外すだけでよく、研磨や表面仕上げなど追加の工程は不要です。

最大引張強さ引張弾性率破断伸び衝撃強さ(ガードナー法)@ 1/32インチ破壊強度(Wf)荷重たわみ温度 @ 0.45 MPa
Tough 1000レジン26.3 MPa932 MPa180 %13.1 J3200 J/m255.3 ºC

Tough 1000 レジンの機械特性によって内製が実現した Internal Wetting System(IWS/内部湿潤システム)と Wall Spray Nozzle(ウォールスプレーノズル)は、どちらも高い荷重や極寒環境、作業現場で発生する衝撃に耐える必要があります。

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内部湿潤システム

ビルドプラットフォームの上に乗るダークグレーの部品

Internal Wetting System(内部湿潤システム)は、Form 4 にて Tough 1000 レジンを使って 3D プリントした実製品用部品。

内部湿潤システムは、繊維流に微細な水の霧を噴射して粉塵の発生を抑えるための機械です。以前はアルミニウム製でしたが、Schulte 氏は「断熱材はアルミニウムに付着しやすくプラスチックには付着しにくい特性があるため、この用途にはレジン材料が最適」だと言います。「ホースを引っ張られることがあっても問題なく持ちこたえてくれています。」

現場ではユーザーがホースを引いて機器を移動させることが多く、そのため内部湿潤システムは氷点下で加わる大きな力や衝撃に耐える必要があります。Tough 1000 レジンの耐衝撃性はこうした内部湿潤システムに適した材料として、3D プリントした部品は耐久試験にも現場使用にも耐えることが実証されました。

「この部品は、10 フィートの高さからコンクリートに向けて落とされる凍結環境での落下試験をはじめ、蹴られる・踏まれる・踏みつけられる・飛び乗られる、といった様々な耐久試験をクリアしました。実運用にも十分適した良い部品だと思います」

Cool Machines 製図工 兼 メカニカルデザイナー、Adam Warren 氏

ウォールスプレー・ノズル

ウォールスプレー・ノズルのプロトタイプ(グレー)

ドライウォールの施工前に壁の空洞へ断熱材を吹き付けるために使用する Wall Spray Nozzle(ウォールスプレーノズル)。

ダークグレーの造形品が2つ並ぶ

Tough 1000 レジンで 3D プリントしたウォールスプレー・ノズルの部品。

ウォールスプレーノズルは 5 カ月に及んで開発した部品ですが、内部形状が複雑なため 3D プリントなくして実現は不可能でした。プロトタイピングでは、「うまくいかなくても翌日には改良バージョンがプリンタの上に乗った状態で準備できている」と、Form 4 のスピードを頼りにしていたと Warren 氏は言います。

ウォールスプレー・ノズルの部品として満たす必要のある要件は、水圧に耐えることでした。Shulte 氏は、社内試験で 1/4 インチ NPT ねじが最大 900 psi まで耐えられることを確認したほか、凍結落下試験や衝撃試験も実施しました。次は実地試験ですが、ここでも壊れることなく試験を通過できれば、試作品の製作時と同様に Form 4 で Tough 1000 レジンを使用し、3D プリントで量産します。

頑丈なパーツを内製

Form 4 を社内導入したことで、Cool Machines は部品コストを削減し、サプライチェーンの回復力を高めることに成功しました。このような実製品用の高性能部品の製造が可能になったのは、材料科学の進歩があってこそです。

熱可塑性プラスチックに匹敵する強靭なエンジニアリング用材料を 3D プリントできるようになったことで、製造可能な形状の拡大と製造タイムラインの短縮が同時に実現しています。Tough 1000 レジンの品質を直接お確かめになるには、以下から無償サンプルパーツをお申し込みください。実際にプリントを開始するには、Tough 1000 レジンをご購入いただくか、Formlabs までお気軽にお問い合わせください。