ジュエリーの製作には、歴史的に「手工芸」と「ロストワックス鋳造」という2つの技法があります。どちらも高度な専門技術が必要で、時間もかかり、失敗すると高くついてしまいます。
しかし今日、デジタルデザインと3Dプリントは、このような古い慣習に大きな風穴を開けようとしています。従来の工程をデジタル技術で補完することは、ジュエラーにデザインと生産の新しい可能性をもたらし、顧客にはエキサイティングな新しいカスタマイズオプションを提供することに繋がります。
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従来の技法を補完するデジタルワークフロー
3Dプリントによるジュエリーの製作工程は、インベストメント鋳造(ロストワックス鋳造 )の原理を、デジタル設計と製造プロセスで補完するワークフローとして確立しています。
従来のロストワックス鋳造では、宝石職人が手作業で蝋で原型を彫り、蝋の原型を型に入れて焼き固め、型の空洞に金や銀などの貴金属を流し込んで鋳造品を作ります。目標とする最終的な外観を実現するために、鋳造品を研磨して輝かせる仕上げが必要になります。
デジタルワークフローでは、ジュエラーはCADソフトウェアツールを使ってデザインをデジタルで作成し、高解像度3Dプリンタで3Dプリントされたパターンを作成し、それを金型で鋳造します。ポジティブパターンの焼成後は、従来のインベストメント鋳造と同じ工程と得ることになります。デジタル技術のおかげで、時間のかかる手作業の必要性が減り、デザイン自体の保存や修正、必要な時の再作成が容易になります。
ジュエリー用3Dプリントパターンの鋳造についての概要
このホワイトペーパーでは、3Dプリントされたパターンから高級ジュエリーを鋳造する方法、ならびにダイレクト・インベストメント鋳造(ロストワックス鋳造)が金型製作技術としてどのように機能するかについて説明します。
※本ホワイトペーパーは現在翻訳中です。近日のアップデートをお待ちください。内容の詳細は[email protected]までお問合せください。
ジュエラーとお客様にとってのメリット
カスタマイズド・ジュエリーの新境地
これまで、カスタマイズされたジュエリーは、デザインや製造工程が複雑なため、高価な特権とされてきました。しかし、デジタルツールが広まるにつれ、個々の顧客の好みに応じてパーソナライズジュすることを基本サービスの一部または付加価値オプションの一つとして提供するジュエラーが現れるようになりました。今日、宝石商に行って婚約指輪を依頼すると、多くの場合、独自のデザインをカスタマイズするオプションがあります。
ジュエラーとお客様が一緒にデザインについて話し合い、1時間後にはお客様が実際の指輪のモデルを手に取り、試着することができます。宝飾品の小売業者は、オンサイトでのデザインのデジタル化や3Dプリントによる製作プロセスの加速化により、デザイナーとそのお客様との間のフィードバックの期間を大幅に短縮することができます。
貴重な一点物を手彫りする必要がないため、デザインから生産への移行がより簡単かつ迅速に行えるようになります。試着したジュエリーは、お客様のご要望に応じて再度3Dプリントし、ロストワックス鋳造で製造することができますので、3Dプリントでカスタマイズするジュエリーの製作費を大幅に削減することができます。
設計の自由度
3Dプリンタを使えば、従来の技法で手彫りするのは極めて難しいデザインも可能になります。鋳造可能 なレジンの画期的な進歩により、手頃な価格のデスクトップ型3Dプリンタで得られる品質の高さに新しい水準が設定されました。
FormlabsのCastable Wax 40レジン でジュエリーのパターンを3Dプリントすると、SLA方式の3Dプリント特有の滑らかな表面仕上げと正確な造形設定が可能になります。精密に制御されたレーザーにより、繊細なフィリグリー、浮き彫り文字、細かいパヴェ石の設定など、デザインのディテールを驚くほどシャープに捉えることができます。
重厚な指輪から繊細な宝飾品まで、最新の材料で容易に鋳造
このウェビナーでは、Formlabsのジュエリー部門マネージャーのPatrick Digginsが、Castable Wax 40レジンの機能を紹介しながら、この最新材料がこれまでのジュエリーデザインと生産効率の限界を超える新しい可能性の追求にどのように役立つかについて説明します。
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より容易に大量生産
デジタルツールは、ジュエリーのカスタマイズを容易にするだけでなく、デザインの大量生産をより容易にします。
ロストワックス鋳造のワックスパターンを大量に作るには、加硫ゴム型が使われますが、「マスター」パターンは従来、インベストメント鋳造で手彫りされたワックスパターンを使って作られてきました。
3Dプリンタは、室温加硫(RTV)金型や耐久性のある高温加硫ゴム金型の造形に使用するマスターモデルを製作することができます。
「このような宝飾品の造形にSLA方式の3Dプリント で得られる高い品質が加われば、3Dプリントしたパーツからマスターモールドに直接移行できます」とFormlabsのジュエリー部門のプロダクトマネージャーAmos Dudleyは説明します。「3Dプリントが完了した時点で表面がすでにかなり滑らかなので、それ以上の仕上げ工程はほぼ必要ありません。それをそのままゴム金型にして、生産時に使用する最終的なワックスパーツを製作することができます。」
3Dプリントした型で加硫ゴム成形
高性能な材料を使った3Dプリントは、デザイナーや鋳造職人たちに生産工程でデジタル技術を活用できるようにします。ここでは、3Dプリンタで小さな金属部品を製作する方法について説明します。
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競争力のある独立系ジュエラー
新しい技術が一般公開される当初はほとんどの場合、まだ価格が高く、インターフェースも複雑なため、その最新技術を導入できるのは、潤沢な資金を持ち、技術に精通しているユーザーに限られてしまいます。古い世代のジュエリー向け3Dプリンタは、メンテナンスが大変で、操作するのに熟練したオペレーターが必要でした。また、導入するのに数千ドルの投資が必要だったため、そうした設備を活用できるのは、最大手のジュエリーメーカーや鋳造メーカーに限られていました。それが今では「3Dプリントが独立系のジュエリーメーカーでも容易に導入できるぐらい、非常に手頃な価格で利用できるようになりました」とDudleyは指摘します。
ジュエリーに活用できる3Dプリント技術の低コスト化と高品質化により、デジタルワークフローが宝飾品の製造方法として実現可能なプロセスとなりました。「小規模なジュエラーがこうしたデジタル技術を広く活用するようになれば、この先の数年のうちに、大手がこれまで大きなシェアを維持してきたジュエリー業界の構造変革が起きるでしょう」とDudleyは予言します。
鋳造可能なレジンで3Dプリントする技術が広く普及するようになれば、競争力のある独立系ジュエラーへのシフトが今後も続くと見られています。これまでジュエリー用3Dプリント設備は、複雑で高価なワックス方式の3Dプリンタが主流でした。Form 3のような手頃な価格で導入できるジュエリー向けのデスクトップ型3Dプリンタが市販されるようになったことで、より多くの宝石店、特に小規模な独立系のジュエラーがデジタル技術を広く活用できるようになってきています。
削減可能なコストと時間を算出
Formlabs製3Dプリンタで造形した場合、コストと時間がどれだけ削減できるのか、インタラクティブなROIツールでご確認ください。
ジュエリー業界の将来
大規模な3Dプリントはコストが高く、また、デジタル・ジュエリーデザインのデジタル化もハードルが高いと考えられているため、3Dプリントした宝飾品は、広く受け入れられる可能性を秘めているにも関わらず、その市場規模はまだ比較的小さなままに止まっています。
しかし、3Dプリント技術はますます使いやすく、身近なものになってきており、3Dプリントした宝飾品の市場規模は拡大する見込みです。
Castable Wax 40レジンのような使い勝手の良い新しい材料が登場したことで、ワークフローの導入が進み、その後の市場拡大に繋がると期待されています。
光造形(SLA)方式のデスクトップ型3Dプリンタも、その重要な構成要素の一つです。
「SLA用レジンは、ワックスに比べると安いけど、機能的に劣るという話を聞きます。Formlabsでは、当社のレジンにそのようなイメージを持たれないようにしたいと考えています。当社の材料を使えば、ジュエラーのワークフローにまだ残っている非効率な作業を省き、より信頼性の高い宝飾品の製作が可能であることを証明したい」とDudleyは思っています。
3Dプリントによるジュエリーの未来は、単なる技術的な進歩だけで切り開かれるわけではありません。業界に参入してきた新しいジュエリーデザイナーたちは、以前と違って、職業訓練を受けている間にすでに3Dプリンタの使い方を学び、デジタル技法を習得しています。
「彼らは自分たちのニーズにぴったりと合うプリンタを探しています」とDudleyは言います。「彼らがどんどん活躍し始め、いずれ主流派を形成するようになっていけば、ジュエリー業界の3Dプリンタ導入率が益々高まっていくでしょう。」
3Dプリントするジュエリーの未来は明るいです。デジタルワークフローが広く採用され、そこで必要になる技術に習熟している新しい世代のデザイナーたちが数多く出現し、より信頼性の高い新しい材料やハードウェアが開発されるようになるにつれ、ジュエリー業界はポジティブな方向に大きく変革する舞台が整いつつあると言えます。