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Industry Insights

ジュエリー製作での3Dプリント活用法

ジュエリー製作には、歴史的に「手工芸」と「ロストワックス鋳造」の2つがあります。どちらの技法も高度な専門知識を要し、時間がかかるうえ、失敗すると多大なコストが発生します。

しかし現在では、デジタルデザインと3Dプリントが、これらの伝統的な技法に革新をもたらしています。従来の工程を3Dプリントなどのデジタル技術で補完すると、ジュエラーにとってはデザインや生産の新しい可能性が生まれ、ジュエリーを購入するお客様に斬新なカスタマイズオプションを提供できるようになります。

Castable Wax 40レジンで製作したサンプルパーツ
技術資料

3Dプリント製のジュエリー型の鋳造

本技術資料では、3Dプリント製の型を使って高級ジュエリーを鋳造する方法、ならびにダイレクト・インベストメント鋳造(ロストワックス鋳造)が金型製作技術としてどのように機能するかについて説明します。

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従来の技法を補完するデジタルワークフロー

3Dプリントを活用したジュエリーの製作工程は、デジタルの設計・製造プロセスでインベストメント鋳造(ロストワックス鋳造)の原理を保管します。

従来のロストワックス鋳造ではジュエラーが手作業で蝋から原型を彫り、その原型を型に入れて焼き固め、型の空洞に金や銀などの貴金属を流し込んで鋳造品を作ります。目標とする最終的な外観を実現するために、鋳造品を研磨して光沢を持たせるなどの仕上げが必要になります。

ジュエリーの3Dプリント工程

デジタルワークフローでは、ジュエラーはジュエリーデザイン用のCADソフトウェアを用いてデジタルでモデルを作成し、工業品質の3Dプリンタでジュエリー用の原型を製作し、型で鋳造します。ポジティブパターンの焼成後は、従来のインベストメント鋳造と同じ工程です。デジタルテクノロジーにより、時間を要する手作業の必要性が減り、デザイン自体の保存や修正、その後の再現が簡単に行えます。

Castable Wax 40レジンで製作したサンプルパーツ
サンプルパーツ

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Formlabsの材料をお試しになりたい場合は、Formlabsの工業品質3Dプリンタで造形したジュエリーのサンプルパーツをお申込ください。

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ジュエラーとお客様とってのメリット

カスタムジュエリーの新境地

これまで、カスタムジュエリーはデザインや製造工程が複雑なため、高価な特権とされてきました。しかし、デジタルツールの広まりとともに、ジュエラーは各顧客の好みに応じたカスタムジュエリーを基本サービスの一部または付加価値オプションの一つとして提供するようになっています。今日、宝石商に行って婚約指輪を依頼すると、ほとんどの場合はカスタムで独自のデザインを製作できるオプションがあります。

3Dプリント製のジュエリーの試着品は、デザイナー・顧客間のフィードバック期間を大幅に短縮。

ジュエラーとお客様が一緒にデザインについて話し合い、1時間後にはお客様が実際の指輪のモデルを手に取り、試着することができます。ジュエリーの小売業者の場合、現地でのデジタルデザインと3Dプリントのスピードを組み合わせることで、デザイナーとお客様との間のフィードバックの期間を大幅に短縮することができます。

貴重な一点物を手彫りする必要がないため、デザインから生産への移行がより簡単かつ迅速に行え流ようになります。試着用のジュエリーはお客様の要望に応じて再度3Dプリントし、ロストワックス鋳造で製造することができますので、3Dプリントでカスタムジュエリーの製作費を大幅に削減できます。

設計の自由度

3Dプリンタを活用することで、従来の技法で手彫りするのは極めて難しいデザインも製作が可能になります。さらに、鋳造対応レジンの画期的な進歩により、手頃な価格のデスクトップ型光造形3Dプリンタで得られる品質の基準が覆されています。

FormlabsのCastable Wax 40レジンでジュエリーの原型を3Dプリントすると、SLA光造形特有の滑らかな表面仕上げと高精度な造形設定のメリットを組み合わせることができます。精密に制御されたレーザーにより、繊細なフィリグリー、浮き彫り文字、細かいパヴェ石の設定など、デザインのディテールを驚くほどシャープに捉えることができます。

SLA光造形方式3Dプリントで、手作業での掘り出しが難しい複雑な形状を再現。

長年課題となっていたデザイン上の制約がなくなったことで、米国だけでなく、南アジア、アジア太平洋や中東などでデジタル技術を習得したジュエラーたちからも、全く新しいジャンルのデザインが次々と生まれてきています。

Castable Wax 40レジンで製作したサンプルパーツ
ウェビナー

重厚な指輪から繊細な宝飾品まで、最新の材料で容易に鋳造

このウェビナーでは、Formlabsのジュエリー部門マネージャーのPatrick Digginsが、Castable Wax 40レジンの機能を紹介しながら、この最新材料がこれまでのジュエリーデザインと生産効率の限界を超える新しい可能性の追求にどのように役立つかについて説明します。

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より容易に大量生産

デジタルツールは、ジュエリーのカスタマイズを容易にするだけでなく、デザインの大量生産をより容易にします。

加硫ゴム型は、ロストワックス鋳造用のワックスパターンを大量に製造するために使用されますが、「マスター」パターンは従来、インベストメント鋳造で手彫りのワックスパターンから作られています。

3Dプリンタで作るマスターモールドは、室温加硫(RTV)用の型や、より耐久性の高い高温加硫用の天然ゴム型などに使用できます。

3Dプリント製のジュエリーの原型は、室温加硫(RTV)や天然ゴムの高温加硫で使用可能。

「SLA光造形3Dプリントの高品質で宝飾品を造形できれば、3Dプリント製のパーツからマスターモールドに直接移行できます」とFormlabsのジュエリー部門のプロダクトマネージャー、Amos Dudleyは説明します。「3Dプリントが完了した時点で表面がすでにかなり滑らかなので、それ以上の仕上げ工程はほぼ必要ありません。それをそのままゴム型にして、生産時に使用する最終的なワックスパーツを製作することができます」

Castable Wax 40レジンで製作したサンプルパーツ
技術資料

3Dプリント製の成形型で加硫ゴムを成形

高機能材料を使った3Dプリントにより、デザイナーや鋳造職人たちが生産工程でデジタル技術を活用できるようになります。ここでは、3Dプリンタで小型な金属部品を製作する方法について説明します。

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競争力のある独立系ジュエラー

新しい技術が一般公開されてまもない頃は、まだ価格が高くインターフェースも複雑なため、実際にその最新技術を導入できるのは資金が潤沢にあり技術に精通しているユーザーに限られてしまいます。これまでのジュエリー向け3Dプリンタは、メンテナンスが大変で操作にも熟練したオペレーターが必要でした。また、導入するのに数千ドルもの投資が必要だったため、そうした設備を活用できるのは最大手のジュエリーメーカーや鋳造メーカーに限られていました。それが今では「3Dプリントが独立系のジュエリーメーカーでも容易に導入できるぐらい、非常に手頃な価格で利用できるようになった」とDudleyは言います。

ジュエリーに活用できる3Dプリント技術の低コスト化と高品質化により、デジタルワークフローが宝飾品の製造方法として実現可能なプロセスとなりました。「小規模なジュエラーがこうしたデジタル技術を広く活用するようになれば、この先の数年のうちに、大手がこれまで大きなシェアを維持してきたジュエリー業界の構造変革が起きるでしょう」とDudleyは言います。

鋳造可能なレジンを使った3Dプリントが広く普及するようになれば、競争力のある独立系ジュエラーへのシフトが今後も続くと見られています。これまでジュエリー用の3Dプリント設備としては、複雑で高価なワックス方式の3Dプリンタが主流でした。手頃な価格で導入できるForm 3のようなジュエリー向けデスクトップ型3Dプリンタが市販されるようになったことで、より多くの宝石店、特に小規模な独立系ジュエラーがデジタル技術を広く活用できるようになってきています。

3Dプリントのコスト
インタラクティブ

削減可能なコストと時間を算出

Formlabsの3Dプリンタでどれだけのコストと時間が削減できるのか、FormlabsのインタラクティブなROI計算ツールで是非ご確認ください。

ジュエリー用3Dプリンタと材料

ジュエリー用の大規模な3Dプリントはコストが高く、また、デザインのデジタル化もハードルが高いと考えられているため、3Dプリント製のジュエリーは今後広く受け入れられる可能性を秘めているにも関わらず、その市場規模はまだ小さいと言えます。

しかし、ジュエリーの3Dプリント技術はますます使いやすく、身近なものになってきており、ジュエリー市場でのデジタルワークフローの活用もさらに成長が見込まれています。SLA光造形方式のデスクトップ型3Dプリンタも、その重要な構成要素の一つです。

Form 3+ ジュエリー用3Dプリンタ

FormlabsのForm 3のようなデスクトップサイズの高精細3Dプリンタは、大規模な鋳造所だけでなく、独立系のデザイナーにもジュエリーの3Dプリントを身近なものにしました。

「SLA光造形用のレジンはワックスに比べると安価である一方、機能的に劣るという話をよく耳にします。Formlabsが販売するレジンには、そのようなイメージを持たれないようにしたいと考えています。当社の材料を使えば、ジュエラーのワークフローに残る非効率な作業を省き、より信頼性の高いジュエリーの製作が可能になるのだということを証明したいです」とDudleyは言います。

Castable Wax 40レジンのような使い勝手の良い新しい材料が登場したことで、3Dプリントを活用したワークフローの導入が進み、その後の市場拡大に繋がると期待されています。

3Dプリントによるジュエリー製作の未来を背負うのは、単なる技術的な進歩だけではありません。業界に入ってくる新たなジュエリーデザイナーたちは、以前とは異なり、職業訓練中にすでに3Dプリンタの使い方を学び、デジタル技術を習得しています。

「彼らは自分たちのニーズにぴったりと合うプリンタを探しています。彼らが今後どんどん活躍し、いずれ主流派を形成するようになっていけば、ジュエリー業界の3Dプリンタ導入率が益々高まっていくでしょう」

とDudleyが言うように、ジュエリー業界における3Dプリントには明るい未来が待っています。デジタルワークフローが広く採用され、そこで必要になる技術に精通した新しい世代のデザイナーたちが数多く出現し、より信頼性の高い新しい材料やハードウェアが開発されるにつれ、ジュエリー業界はポジティブな方向に大きく変革していくことでしょう。