Formlabsは、Formlabsのデスクトップ型光造形(SLA)式3Dプリンタ用の新たな軟質材として、Elastic 50Aレジンを新たに販売開始しました。
Elastic 50AレジンはFormlabsのエンジニアリング用レジンの中で最も柔らかく、50Aのショア硬度で高い伸縮性を誇ります。本材料での造形品は、金型で成形したシリコン品のような外観と機能を有し、その優れた耐久性により繰り返しの使用にも耐える耐久性を備えます。
以下では、Elastic 50Aレジンにてエンジニアリング、ヘルスケアなど幅広い分野で試作品の製作期間やコストを削減できる理由、そしてElastic 50Aレジンのような軟質材で直接3Dプリントによる製作が行えるようになった理由を解説します。
弾性材料:急成長するカテゴリー
一般に、ウェアラブル製品、医学模型、ロボティクス、特殊効果の小道具などの用途に使用される柔らかいシリコンやウレタンのパーツは、金型製作技術や外注によって製造されています。
直接的に3Dプリントできる柔らかい材料も登場し始めていますが、こうした材料で造形したパーツは1から2サイクルしか使用できず、「シリコン風」のパーツに求められる質感も得られません。柔らかい光造形(SLA)レジンの開発には困難が伴います。パーツには高い伸縮性が求められる一方、プリント中に壊れないような耐久性も必要となるためです。まさしく、相反する特性を両立させる必要があるのです。
伸縮性のある高品質な材料を製造するには、かつては高価な工業用機器が必要でしたが、Form 3+やより大型のForm 3Lなど、お手頃な価格の工業用品質の3Dプリンタを使えば、卓上でほんの数時間のうちに伸縮性のあるパーツを製造できます。
リアルなシリコンパーツの製造をお考えですか?シリコン3Dプリントとその代替手段に関する詳細なガイドをお読みください。
Formlabsの柔らかくフレキシブルな3Dプリント材料
FormlabsのSLA方式3Dプリンタなら、ほんの数時間のうちにフレキシブルなパーツを内製し、シリコン、ウレタン、ゴム部品の外注や成型に取って代えることができます。
Formlabsのフレキシブルで伸縮性のあるレジンのラインナップは以下のとおりです。
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Elastic 50Aレジンは、通常シリコンで製造されるパーツの試作に最適な柔らかい材料です。この材料のショア硬さは50Aであるため、曲げられたり、伸ばされたり、圧縮されたりするパーツに最適で、繰り返し使える高い耐久性により、破損することなく元の形状に素早く戻ります。Elastic 50Aレジンはウェアラブル製品(ストラップ)、伸縮性のある筐体や外装、押すタイプのボタンなどの用途や、医療における軟組織などの解剖学的用途にお選びください。
- Flexible 80Aレジンは、固めのソフトタッチ材料で、ショア硬さ80Aを備え、硬質シリコンやゴム、TPUの柔軟性を再現したものです。柔軟性と強度を兼ね備えたFlexible 80Aレジンは、曲げ、たわみ、圧縮応力に繰り返しさらされても、高い耐性を示します。この材料はハンドル、グリップ、オーバーモールド、クッショニング、ダンピング、衝撃吸収、シーリング、ガスケット、マスクなどの用途や、または医療における軟骨、腱、もしくは靱帯などの解剖学的用途の試作に理想的です。
迅速な製品開発を可能にする素早いターンアラウンドタイム
斬新な感覚体験を生み出すウェアラブル製品を設計するNeoSensoryや、製造ライン用のロボットグリッパーを設計するRightHand Roboticsなどの企業にとって、製造前の段階で素早くシリコンパーツを試作できる能力は、業界に変革を起こす可能性を秘めた最終製品を開発するための鍵となります。
技術者や製品設計者は従来、金型製作技術(室温加硫成形、トランスファー成形、射出成形)を用いて、シリコン製の試作パーツを短時間で作成してきました。こうしたパーツを直接プリントすれば時間と手間を省け、さらなるイテレーションや製品開発サイクルの短縮が可能となります。
Elasticレジンを用いて小型から中型サイズの柔らかくフレキシブルなパーツを3Dプリントすることで、バッチ間やバッチ内で設計変更が行えるようになります。同じパーツを大量に生産する場合や、開発の後期に最終的な生産材料を使用する場合には、金型製作が適している場合があります。
「私たちはグリップやフレーム保護パーツの試作用に、もっと柔らかく、伸びのある材料を探していました。これまでは3Dプリント製の金型を使ってウレタンキャスティングでこのような軟質パーツを製作していましたが、パーツをElastic Resinで造形してみると50~60AのTPUに非常に近い柔軟性をもっていたのです。このようなパーツを直接3Dプリントできれば、コストと時間の大幅な削減になります。Elasticレジンは私たちの材料ライブラリに加わった素晴らしい材料です。」
—ジェレミー・マイクセル、Cycling Sports Group社研究部門エンジニアリングマネージャー
患者固有の解剖学的モデルのコスト削減
外科医、研究者、放射線技師などの医療従事者は、複雑な症例や手術に備えるため、患者固有の医学模型を利用しています。模型により、手術チーム内でも、医師と患者の間でも、よりよいコミュニケーションが可能となります。心臓外科、脳神経外科、腫瘍外科などの専門分野での症例をサポートできるよう、透明でフレキシブルな材料を求める医療従事者の声が多く私たちに届きました。
備考: Elasticレジンでプリントしたパーツは生体適合性がありません。
伝統的に、サービスプロバイダーや従来の産業用機械による医学模型は手が出ないほど高価で、長い納期を要するものでした。教育用模型や術前計画用の模型を受注生産で迅速かつ安価に3Dプリントできるようになることで、業界全体の利便性が向上するため、Elasticレジンは今後、医師、研究者、患者にインパクトを与えることが期待されています。
「Elasticレジンは、その不透明度のおかげで内部の空洞部がよく見えます。また、耐久性があるので、壊れることを心配することなく指導者、研修生、臨床医が模型を扱い、検討できるのです。この材料は、心臓血管外科医や放射線治療医、流体力学の研究やカテーテル検査室で働く人たちにとって、特にメリットがあるでしょう。市場にある他の類似の材料と比較すると、費用対効果が比較的高いので、医療における3Dプリントの採用を加速させるのに役立つに違いありません。」
—サンジェイ・プラーブ、医学学士、王立内科医協会会員。ボストン小児病院小児神経放射線科医兼臨床部長、SIMPeds3D
術前計画と患者同意の強化のための3Dプリント解剖学的モデルの作成方法
Formlabsのホワイトペーパーをダウンロードしていただくと、CT/MRIスキャンのセットアップ、データセットの分割、ファイルを3Dプリント可能なフォーマットに変換するためのベストプラクティスを確認しながら、医師と技師が患者のスキャンデータから3Dプリントした解剖学的モデルの作成を始めるための実用的なウォークスルーをご確認いただけます。
Elasticレジンの設計ガイドライン
Formlabsでは、Formlabsの材料に求められる高い品質水準でプリントできるような材料の開発と試験に取り組んでまいりました。しかし、フレキシブルで柔らかい材料を3Dプリントするには、一般的に密度の高いサポート構造のほか、プリント前に特定の設計ガイドラインを確認する必要があります。
サポート記事「Elasticレジンを使う」をお読みいただき、この材料でプリントする際のパーツのサポートと向きについてご確認ください。
フレキシブルで柔らかい材料の3Dプリントを始める
3Dプリントとそのサブシステムが進化するにつれて、新しい材料の使いやすさも進化しています。Elasticレジンの発売により、エンジニアリング用レジンのライブラリをさらに拡大させるとともに、製品設計、ヘルスケアなどの分野で新たな可能性を切り開いてまいります。Formlabsの柔らかい3Dプリント材料を今すぐご注文ください。または、パーツの無償サンプルをご請求いただき、その品質を直接ご確認ください。