OXO、Form 4の活用で昼休み前に2回の試作・検証プロセスを実現

OXOは、市場で最も人気が高く、消費者に信頼されるキッチン用品や家庭用品を製造しています。持ちやすく驚くほど長持ちする野菜ピーラーから、洗練された食品保存容器や雪かきブラシまで、OXOの製品は機能性が高く、低価格で、何よりも生活に必須の存在となっています。家庭生活がより快適になると感じる製品は、ほぼ間違いなくOXOの設計によるものでしょう。

OXOのプロダクトデザインチームは、何百ものアイテムからなる製品カタログを常に最新に保つために、市場への製品投入スピードとデザインへのこだわりの間で微妙なバランスを保つ必要があります。製品のリリースが遅くなりすぎると、消費者は他の製品に移ってしまうかもしれません。その一方で、リリースを急ぎすぎれば製品に不具合が生じ、顧客がOXO製品から完全に離れてしまう危険性があります。

不可能とも思えるこの問題に対する答えは、試作・検証プロセスの高速化にあります。より良い設計を生み出すためには、たとえどんなに微細な変更であっても、何百点もの製品ですべてのオプションを吟味しなければなりません。数年にわたってFormlabsプリンタを活用してきたOXOですが、今回Form 4を3Dプリントラボに追加したことで、1日に可能な設計変更回数が3倍になりました。

OXOでは、Emanuel氏が中心となって、工業デザイナー、検証エンジニア、グローバル製造チームのためにラピッドプロトタイピングラボを運営しています。同社の製品には、目につきやすいデザインと数年の使用でも確実に機能し続ける信頼性が求められます。精密工学、徹底的なユーザーテスト、細部へのこだわりが、OXOの設計哲学の中核です。

OXOは何年にもわたって3Dプリントを活用しながら、何百ものSKUを生産するチームを支援してきました。同社製品のほとんどは、射出成形プラスチック品、アルミニウムなどの軽金属、電子機器のアセンブリです。これらアセンブリの試作品を初期段階で製作するには、厳しい公差を満たせる精密性と、金属の剛性や硬度、ABSなどの射出成形プラスチックの強度、シリコンの柔軟性と耐久性を再現できるさまざまな材料が必要です。

同社製品の多くが手で持つタイプのため、製品開発工程では人間工学に基づいた使いやすい設計とユーザーテストも非常に重要です。OXOが所有する3Dプリンタ群は、多様な材料特性を発揮しながら、高速かつ正確な造形が可能でなければなりません。

Emanuel氏は、Form 3、Form 3L、Form 4のほか、複数のFDM（熱溶解積層）方式3Dプリンタからなる3Dプリント群を抱えています。Formlabsのレジン材料カタログや、FDMプリンタで使用する業界でお馴染みのフィラメントを使用して、多様な材料や機械特性の需要に対応しています。

Emanuel氏のもとには、一週間に200件もの造形依頼が舞い込みます。工業デザイナーが新たなアイデアを検証するための基本的な形状モデル、製造チームが大量生産に向けて微調整を行う実製品用機能試作、マーケティングや営業チームが多数の販売代理店に提示するためのプレゼンテーション用部品など、どのチームも3Dプリント製の部品を必要としているのです。各リクエストはプリントキューに送られ、設計スケジュールや製品発表、増え続ける消費者の需要に応じて優先順位が付けられます。

生産性がさらに向上したことで、チームは造形失敗による納期遅延などを心配することなく新たな設計にも挑戦できるようになりました。「デザイナーは、テストの予定が決まる前にすべてを造形しきれるよう努力しています。テストの前日の夜に納品することもよくあります。そのような状態で停電や他の理由で造形に失敗すると、以前では大問題になっていました。テストのスケジュールを変更したり、1つの部品を複数のプリンタに分けて造形したり、材料を変更しなければならなかったこともあります。それが今では、たとえ午前中に造形が失敗したとしても、Form 4に放り込めば午後には部品ができあがります。Form 4で最も時間がかかったモデルでも、4時間程度でした」とEmanuel氏は言います。

厳しい納期や製作期間に追われる多くのチームにとって、Form 4は持ち前のスピードで、予期せぬことがあった時も柔軟にリカバリが可能なオプションになっています。必要なときに迅速に結果を出せるという安心感があるからこそ、新しいことを試しながらより高速に試作・検証プロセスを反復することができています。「最大のメリットはやはり時間ですね。時間的な制約がかなり楽になりました。それがForm 4を導入して一番良かったことです」とEmanuel氏は続けます。

どの家庭にも1つはあるであろうOXOの野菜ピーラーを使ったことがある人なら、バケツ一杯分のジャガイモや、変わった形の果物も簡単に皮むきができることをご存知でしょう。その滑りにくくグリップ感の優れたハンドルも、フレキシブルな回転刃も、OXOが行う徹底したユーザー検証の賜物です。何百万もの人々に愛される器具をデザインするには、何百ものハンドルデザインをテストする必要があります。「私たちは常に新製品を開発しています。地道な試作品製作のすべてを、ここで行っています。何十回、時には何百回も社内で試作・検証プロセスを繰り返します」とEmanuel氏が説明してくれました。

こういった試作品には、寸法精度も重要です。造形品は、CADで行った微細な変更を正確に反映し、チームが実現しようとしていることを確実に表現できていなければなりません。試作品製作を依頼するチームは、すべての層が均一の精度で積層され、射出成形で作る実製品と同じ厳しい公差を満たせるプリンタを求めています。

Form 4に搭載の新たなLow Force Display™プリントエンジンは、造形中の精度を維持するための2つの重要な要素を可能にします。1つ目は、高精細プリントエンジンと革新的なレーザーユニット（LPU）で実現する鮮明な硬化断面です。2つ目は、各層にかかる剥離力を低減するリリーステクスチャで、これにより造形品にクリープが発生しにくくなり、全体の精度が向上します。OXOのチームはその効果を目の当たりにし、特にForm 4での造形を求めてより多くのファイルをEmanuiel氏に送るようになりました。「寸法精度がさらに正確になったことで、Form 4の造形品を希望するエンジニアが増えています」

変化の速いキッチン用品業界で膨大な製品カタログを持つOXOは、すべてのプリンタで毎日、複数の材料を使用しています。そのため、材料の切り替えも簡単で、作業場を汚さず、ミスなく行える必要があります。「当社の持つ数百点もの製品は、それぞれ操作方法も違えば使用材料もまったく異なります。Formlabsの材料のおかげで、異なる製品の試作品を製作する時にも選択肢が広がります」とEmanuel氏は言います。

Formlabsのレジンは一般的な工業用プラスチックと同様の性質を備えているため、OXOでは設計や試験がさらにしやすくなりました。OXOでは、ABSライクな部品にはTough 2000レジンを、PP部品にはTough 1500レジンを使用し、本物のシリコンを使った検証モデルにはSilicone 40Aレジン、熱湯を使った検証が必要な試作品にはHigh Tempレジン、射出成形で使用する型にはRigid 10Kレジンを使用するなど、用途に応じてさまざまなレジンを使い分けています。「どの製品にも膨大な数の異なるコンポーネントを使用するため」とEmanuel氏は言います。

Formlabsプリンタで使用できる材料の豊富さに加え、Emanuel氏のラボでは他にも数種類の3Dプリンタを活用して対応していますが、今回Form 4が新たに戦力に加わったことで、スピードと寸法精度を求めてSLA光造形方式での製作依頼が増えたと言います。「FDM方式ではなくSLA光造形方式を選ぶ理由は、使用できる材料の豊富さです。様々な理由で12～15種類ものFormlabs材料を使用してプリントしています。やや軟質な製品ならElasticレジンやFlexibleレジン、優れた硬度が求められる製品ならRigidレジンを使います。GreyレジンやClearレジンもかなり頻繁に使用しています」

OXOの製品は、シンク下のキャビネットや調理器具の引き出しに必ず1つは入っているであろう定番製品です。野菜の皮むきでも、フロントガラスの氷の除去でも、必要な時に必ず役に立ってくれると確信できる道具があれば、作業も楽になります。

それは、OXOのラピッドプロトタイピングラボも同じです。プロダクトデザインの工程を遅らせるのではなく、加速させるツールを必要としています。Form 4のスピード、安定した精度、材料の万能性により、製品開発でイノベーションが生まれやすい環境を作ります。OXOの設計、エンジニアリング、製造チームにとって、3Dプリントは時間の制約を取り払い、新しいことへの挑戦を後押しするツールとなっています。

詳細については、Form 4の製品ページをご覧いただくか、無償サンプルパーツをお申し込みください。