Gavin Stener氏が経営する67 Designsは、大型自動車から海洋・航空機器まで、あらゆる業界の顧客と協業するメーカー兼製品開発のスペシャリストです。2012年以来、67 Designsは米国で設計・製造された高品質な製品を提供することで高い評価を得てきました。
67 Designsは商業的に大きな成功を収めてきましたが、Stener氏がこの事業を始めたのは、熟練工の高齢化が進んでも伝統的な技能が失われないよう、製造業の人材の再教育を支援するという個人的な使命を広げるためでした。
「この国を再工業化し、必要なものは国内で作るべきだという切迫した議論を前に進めたいと思っています。その知識の伝達を担える人たちが、労働市場から引退し始めています」
67 Designsオーナー、Gavin Stener氏
67 Designsは「Made in the USA」の復活を後押しする。写真はブラスト処理前にFuse Siftに入った状態で撮影したMini iPadホルダー。Fuseシリーズで実製品用部品として少量生産している。
Fuseシリーズを活用した内製化により、少量~中量生産を現実的かつコスト効率よく行える。67 Designsでは、複数の顧客が3Dプリント部品を数百個、場合によっては数千個単位で注文している。
商業面では、67 Designsは先進的なアディティブマニュファクチャリング技術を、従来の切削加工・成形・治工具・各種加工/製造手法と組み合わせています。そのアプローチの一環として、形状の自由度や短納期、または総コストの観点からアディティブマニュファクチャリングがより適切と判断される案件では、FuseシリーズのSLS(粉末焼結積層造形)方式3Dプリンタを使用しています。
Fuseシリーズは、人材の再教育を支援するというStener氏の目標にとっても重要です。Stener氏はアディティブマニュファクチャリングを、年齢を問わず学生が物理的な製品づくりを始めるための優れた足がかりだと考えています。「切削加工、鋳造、治工具づくり…これらがなくなることはありません。しかし、アディティブマニュファクチャリングは人々にものづくりのきっかけを与え、物理的な製品づくりのハードルを下げるという役割に最適だと思います」とStener氏は語ります。
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最初から最後まで:走る、飛ぶ、浮かぶ
染色、コーティング、ベーパースムージングなどの後処理により、SLS 3Dプリント製の部品は射出成形によるプラスチック品とほぼ見分けがつかない仕上がりになります。自動車やボートの交換部品、アフターマーケット部品の場合、これらの後処理技術が余分なオーバーヘッドをかけることなく多大な付加価値を提供します。
SLS 3Dプリントなら、切削加工や成形では難しい複雑形状を実現できます。OEMが廃番と判断した部品では、特注の切削加工品や成形品を手配すると数千ドルかかることがありますが、3Dプリントなら手頃で迅速です。
Stener氏は口コミを基盤に事業を築いてきました。2015年に獲得した最初の自動車関連の顧客は、車両ベースのアドベンチャー界隈の人々で、オフロード車や長距離走行車のカスタマイズを求めてStener氏のもとを訪れました。「探検車両に惹かれる人の多くは、飛行にも興味があったり、ボートを持っていたりします。だから新しいプロジェクトのたびに戻ってきてくれるのです」とStener氏は語ります。
オフロード車向けのスマートフォンマウントのような小型アクセサリーを含む消費者向け部品の品質の高さから、勤める会社での9時〜17時の仕事に使える製品の設計を依頼するために、個人が67 Designsに連絡してくることがよくありました。「私たちの消費者向け製品を使ってくれたことがきっかけだったり、カスタムの小ロット案件で提携したりするために、多くの企業が相談に来てくれます。私たちの製品を気に入ってくださるのは、他とは違うものを求める方、あるいは独自で専門性の高い用途をお持ちの方です」とStener氏は語ります。
このカスタマイズ性こそ、仮に実製品が従来工法で作られる場合でも設計プロセスで3Dプリントが不可欠になる理由です。Stener氏は、まずは導入しやすいReplicators(FDM方式3Dプリンタ)で、部品が現実の世界でどのように見え、どのような質感になるのかを把握することから始めました。「FDMは、確認用の小さな部品をレビューしたり試作したりするのに適しています。しかし、サポート材が常に問題になっていました。2012年に事業を始めた当時、サポート材不要のプリントといえば、50万ドルもする巨大なシステムしかありませんでした」とStener氏は言います。
社内でSLS 3Dプリントを行えば、開発期間を短縮し、ワークフロー全体を内製化可能に。この写真は、Ledgeユニバーサルホルダーの部品にFuse Blastで後処理を行っているところ。
梱包が完了し、Ledgeユニバーサルホルダーをエンドユーザーへ出荷する準備が整った。ワークフローのすべてを社内で完結させている。充電器はホワイトラベル品ではなく、Apple MagSafe Chargerのみを使用。
67 Designsの顧客基盤と評判を築き上げる一方、Stener氏はパウダーベッド方式の市場動向を常に追い続けていたと言います。製品を早く市場に出す必要がある状況では、射出成形用の金型に何万ドルも投じる前に、受託メーカーへ実製品用用途の部品製造を外注していました。
「SLSを使うことに迷いはありませんでした。より広い市場で製品を受け入れてもらう方法は一つしかありません。とにかく世に出すことです。私は、生産数が1万個未満なら金型を作るべきではない、と思っています。とにかく素早く行動し、素早く確信していかなければならないからです。」
長年Shapewaysを利用しながら、Stener氏はFuseシリーズが市場に参入する様子を見守り、その量産対応力を遠巻きに評価していました。「自分たちでSLSプリンタを導入するなら、量産に耐え、公差や再現性をしっかり維持できることを確かめたかったのです。Fuseならそれができると確信できた段階で、導入に踏み切りました」とStener氏は言います。
米国の中小メーカーにおけるFuseシリーズのメリット
最初のFuse 1+ 30Wプリンタを社内に導入して以来、Stener氏はプリンタを増設してきました。「私は冗長性を重視しています。どれか1台のプリンタが止まったからといって、生産を止める必要はありません。50万ドルの機械1台に依存するほうが、10万ドルの機械5台を持つよりもリスクははるかに大きいのです」とStener氏は語ります。
Fuseシリーズにより、67 Designsは常に生産を継続しながら、顧客や企業パートナー向けの大量注文にも対応できるようになりました。これら全てに、オフロード車向けのベストセラーであるスマートフォンマウントなどの自社デザインを生産しつつ対応しています。
機動性の高いワークフローにより、67 Designsはあらゆる面で競合を上回る製品を生み出すことができる。このLedgeユニバーサルホルダーにはApple MagSafe Chargerが搭載されている。
複数のビルドチャンバーでバッチサイズを統一することで各サイクルを最適化し、造形後の工程を効率化するなど、「チームは次に何が起こるかを理解し、自然と効率化が身についている」と言う。
導入しやすいSLSは、人々により多くの選択肢を与えてくれます。実製品用途のSLS部品は、消費者の意識の中に『3Dプリントで作られた部品』を根付かせる助けとなり、ゆくゆくは『無理だ』と言われた市場に製品を届けるための土台を築いてくれるのです」とStener氏は語ります。しかし、製品を市場に出すことがすべてではありません。3Dプリントは試作専用ツールだという認識を覆すには、よくできた実製品用のSLS 3Dプリント部品が必要です。
「規律を守り、量産の考え方を持つ必要があります。私たちはFuse用の較正ツールを自作し、定期的に検査することで正常な状態が維持されていることを確認しています。生産品質に関しては、小さな会社でも大企業のような考え方が必要です。そして、その規律は伝統的なエンジニアリングから生まれるものです」とStener氏は言います。
67 Designsのもう一つの信条は、アディティブマニュファクチャリングと従来の製造は完全に同じではないという考えを持つことです。Stener氏は現在も、67 Designsが手がけるほぼすべての製品(自社製品と顧客製品の両方)のメインデザイナーです。実製品に鋳造品や切削加工金属と同等の強度が求められる場合、たとえ試作品を3Dプリントするとしても、切削加工などのサブトラクティブ製法を前提に設計します。その強度が不要で、軽量化・ジェネレーティブデザイン・有機的な構造のメリットを活かせる場合、または必要な小型プラスチック部品が100~5,000個程度に限られる場合は、アディティブマニュファクチャリング向けに最適化して設計することもあります。「AM部品に、射出成形プラスチックと同じことを求めるつもりはありません。この2つは全く別物で、お互いを完全に代替するものではないからです。」
67 Designsのチームは、従来工法の部品とアディティブ製の部品を組み合わせて製品を製造できますが、一部の顧客にとって近年ますます魅力的になっている3Dプリントの利点の一つが、知的財産の保護です。「オフショア製造では、製品がコピーされたり、アイデアが盗まれたりすることを顧客が心配します。アディティブマニュファクチャリングを活用する方法の一つは、従来の金型では再現できない要素を設計に組み込むことです」とStener氏は言います。
iPad Miniホルダー
SLS 3Dプリントによる消費者向け製品は、この種の部品において成形プラスチックと同等の機能を実現するだけでなく、廃棄物も大幅に削減します。計画的陳腐化の影響や、「修理する権利」を支える部品・情報などのリソースの入手しづらさにより、世界中の消費者が不便さを実感する中で、SLS 3Dプリントは手頃な代替手段を提供する存在になり得ます。「Appleがいずれ別の製品を発表することは避けられませんが、私たちはそれで慌てることがありません。使えなくなった在庫の山を投げ売りしたり、壊滅的な評価損を吸収する必要がなく、ただ機敏に反復サイクルを回し、前進し続けるだけです」とStener氏は言います。67 Designsの設計・製造ワークフローは、次のような問題を解決します。
- 過剰包装による製造廃棄物
- 大洋横断輸送によるCO2排出
- ロングビーチ港からダラスまで製品をトラック輸送することによる環境負荷
「Fuseは、私たちに計り知れない価値を与えてくれます。それがコントロールです。生産サイクルを精密に管理し、実際の需要に合わせて各ビルドを最適化しています。ビルドチャンバーは絶妙なバランスで、ホルダーのコンパクトなバッチに最適なサイズでありながら、他の製品もシームレスに組み込める柔軟性があります。柔軟かつ効率的で、無駄を生まずに生産規模を拡大できます」
67 Designsオーナー、Gavin Stener氏
航空機用ピトー管
ピトー管は、管内外の圧力差を測定して流体の流速を算出する装置です。航空機では、対気速度を測定するうえでピトー管が極めて重要です。ピトーカバーは、地上でチューブに虫が入るのを防ぐために必要なもので、通常は布製です。布製カバーは風で吹き飛ばされやすく、スズメバチなどの虫がチューブ内に入り込んで巣を作る恐れがあります。これはフライトの安全性にとって重大な懸念事項になります。67 Designsは、取り付けや取り外しが簡単でありながら、取り付けている間はしっかり固定されるプラスチック製ピトー管カバーの開発に取り組みました。
「Fuseのおかげで、射出成形では金型化しにくい方法でカスタムのピトー管を作れますし、明確に意図した形状に仕上げられます。良いものを、長期生産や高ボリュームの製品と一緒に製作できる柔軟性が得られました」
67 Designsオーナー、Gavin Stener氏
Ledge Universalホルダー
67 Designsの人気製品の一つであるLedgeユニバーサルホルダーには、Apple MagSafe Chargerと、Fuse 1+ 30Wで作る調整可能なカスタムハードウェアが組み込まれています。このホルダーの主要部品はFuse 1+ 30Wで製造していますが、おそらく現在市場に出ている同等製品の中でカーボンフットプリントが最も低くなっています。67 Designsが当初この部品にアディティブマニュファクチャリングを選んだのは、従来の金型を使った製造では一つの設計に固定されてしまうためでした。OEMの変更に合わせて適応・設計変更が必要な製品の場合、射出成形では経済的に成り立ちません。
「もし射出成形を選んでいたら、製品のコスト効率が悪くなり、中国製の高額な金型に縛られていたでしょう。開発期間も2~3か月ほどになっていたはずです」とStener氏は言います。
分散型インテリジェンス
Fuseシリーズはサイズとコストの両面で導入しやすく、この技術を中心としたアジャイルな製造ワークフローの構築を可能にすることで、中小企業が従来の製造プロセスや治工具に莫大な資金を投じることなく実製品用メーカーに。
67 Designsは、従来の製造を3Dプリントで置き換えようとしているわけではありません。彼らは、アディティブ製の部品が既存のワークフローを補完したり改善したりできる状況を見つけるエキスパートです。
近年、連邦政府が国内製造ネットワークの再構築に注力し支援を強める中で、Stener氏が言う「地元で生産し、地元で消費する」ことの意味を体現する企業として67 Designsが参考になります。彼の事業の取り組みは、3Dプリンタによる部品の国内生産にとどまらず、人材育成と教育にも広がっています。「私たちは製品そのものだけでなく、人にも投資をしています。米国企業が国内生産を拡大しようとしている今、私たちは新世代の製造人材に先進的な製造スキルを教育し、やりがいのあるキャリアにつながるよう後押ししています」とStener氏は言います。
67 Designsの詳細については、Webサイトをご覧ください。Formlabsでは、実製品用途としてのSLS 3Dプリント品の品質をお確かめいただけるよう、無償サンプルパーツのリクエストも受け付けています。お気軽にお申し込みください。


