Formlabsの最新のソフトウェアアップデートPreForm 3.34.0では、SLA光造形方式とSLS(粉末焼結積層造形)方式の両方で新しい機能が追加されています。
このアップデートでFuse1+ 30Wの造形スピードが25%向上し、第一世代のFuse 1プリンタより3倍も速くプリントできるようになったことで、毎日ビルドチャンバーいっぱいの製作が可能になります。アップデート後は、Nylon 12パウダーでビルドチャンバー満杯のプリントジョブの95%が14時間以内に、一般的なパッキング率のプリントジョブなら7時間以内で完了します。
Fuseシリーズの造形速度が25%向上したことに加え、Form 3シリーズの造形サイズにもアップデートがありました。デスクトップサイズのSLA光造形3Dプリンタでは4%、ベンチトップサイズのプリンタでは7%、これまでより背の高いモデルを造形可能です。このアップデートは、SLS・SLA光造形両方の製品を継続して改善していくという、Formlabsの意気込みを体現するものになっています。
検証・改善の反復プロセスは3Dプリントを使った製造だけに限らず、どんな製品であっても成功のためには欠かせない要素です。そして、それはFormlabs自身の製品も同じです。フィードバックに耳を傾け、製品に生かしていくことで、実際に弊社製品を使ってくださるお客様が3Dプリントを活用してどうアイデアを実現しているのかを反映した、パワフルかつ頼れる製品を作れるよう、Formlabsは常に努力を続けています。
Fuse 1+ 30W、造形速度の向上でSLSカテゴリーをリード
PreForm 3.34.0では、SLS方式の造形速度が直近のアップデートより25%、その他すべてのベンチトップサイズSLSプリンタと比べて2倍高速化したことで、プリント工程がより効率的になりました。SLS 3Dプリンタのユーザー様は、これまでよりプリントの待ち時間が短くなることで、設計や検証、その他より重要な作業に多くの時間をお使いいただけます。
このソフトウェアアップデートでは、レーザーの走査パターンの効率性を改善することで造形速度の向上を実現しました。レーザーが最上層全体を横断するような移動パターンに変更し、最終的な断面の形状に合わせて粒子を焼結できるようになりました。
これまではレーザーが各セクションを直線的に移動していたため、左端から右端に移動してから一時停止し、元の位置に戻る、という動作を繰り返して造形していました。窪みや空洞などで区切られたエリアもこの直線的なレーザー照射で焼結していましたが、レーザーが左から右へとセクション間を移動するたび、そして各レイヤーの終端に達するたびに、一時停止する時間が発生していました。
窪みや空洞エリア、レイヤー間の移動のためにレーザーが止まっている間は、プリント工程も一時停止してしまいます。ビルドチャンバーいっぱいに造形する場合はこの移動・一時停止プロセスを何十万回も繰り返さなければならず、「プリント時間」の一部が停止状態となり、無駄な時間が発生してしまいます。
PreForm 3.34.0ではレーザーの移動方法を改善し、形状のシンプルさよりも効率性を重視して最適化されています。レーザーが長時間停止しないような動線にすることで、プリンタの「稼働時間」を増やし、プリント時間の一秒一秒をより効率的に使った造形ができるようになりました。
この動線計画の改善により、Fuseプリンタにアップロードするファイルサイズも直近のPreFormバージョンで使用するファイルより最大90%も小さくなり、SLSプリント工程の作業手順がよりシンプルで管理しやすくなりました。
1つのビルドチャンバー内で複数のジョブをプリントする受託メーカーであれば、生産性の向上、製作期間の短縮、お客様満足度の向上を同時に実現できます。これまでは工業用の大容量SLSプリンタが最も効率的なオプションだったかもしれません。しかし、Fuseシリーズの造形スピードが向上したことで、工業用3Dプリンタで大容量バッチ1回にかかるプリント時間で複数のプリントジョブを完了させられるようになり、手頃な価格のベンチトップサイズSLSプリンタでも工業用プリンタに劣らない全体的な生産量を実現できます。
設計チームはより迅速な試作品製作を行えるようになり、設計・検証サイクルにかかる時間を短縮しながら量産用の設計工程でより良い結果を導き出すことができます。造形スピードの向上により、小・中規模の製造でもメリットがあります。メーカーが労働力や材料を追加することなく週当たりの生産量を増やすことができれば、3Dプリントは従来の製造方法に対してより競争力のある製造方法となるでしょう。
SLSを実製品の量産に活用
実製品の量産工程への3Dプリント導入は今や単に実現可能となっただけでなく、SLS Fuseシリーズを活用することでこれまでより安価かつ迅速に、そして規模の拡大にも柔軟に対応できます。量産工程におけるSLS活用事例ページにて、量産方法の比較、パウダー材料のボリュームディスカウントの詳細、現在Fuseシリーズを実際に量産工程に取り入れているメーカー15社の事例をご覧ください。
SLA光造形の造形サイズ拡大でより大きなモデルもプリント可能に
FormlabsのSLA光造形方式プリンタにもアップデートがあります。これまでは、造形品がレジンタンクにぶつかったりプリンタに当たって端が欠けたりすることなく簡単にプリンタから取り出せるよう、最大造形サイズを制限していました。こういった制限は造形品を守るためには有効ですが、多くのお客様からは造形可能な最大サイズを可能な限り大きくしてより大容量の造形品をプリントしたいという要望を受けていました。
今回導入される新たな設定により、Form 3/B/+でこれまでよりZ軸を最大4%高くして造形できるようになりました。造形可能な最大高さは従来の185mmから193mmになります。Form 3L/BLでは、最大7%背の高いモデルを造形できるようになり、造形可能な高さは従来の300mmから320mmに変更されます。
以前の最大造形高さ | 新しい最大造形高さ | 増加率 | |
---|---|---|---|
Form 3/B/+ | 185mm | 193mm | 4% |
Form 3L/3BL | 300mm | 320mm | 7% |
背の高い造形品をプリンタから取り出す際は、取り扱いに十分ご注意ください。造形品がタンクの壁に当たらないよう、造形品とタンクを同時に取り外した方がスムーズに取り外せる可能性があります。
材料特性によって異なりますが、背の高いモデルのプリントにより適したレジンや造形設定があります。背の高いモデルのプリントはFormlabsが提供するレジンのほとんどで利用可能ですが、積層ピッチ100μmでプリントする場合は以下のレジンの使用は推奨されません。
- Silicone 40Aレジン(Form 3/B/+)
- BioMed Amberレジン(Form 3/B/+)
- Surgical Guideレジン(Form 3/B/+)
- Rigid 10Kレジン(Form 3L/BL)
Windows用の自動アップデートとFuse Blastのサポート
PreForm 3.34.0では、造形スピードとサイズに更新があったほか、Windowsユーザーの皆様が最新のソフトウェア設定をより簡単にご利用いただけるようになりました。Windowsをお使いの場合、新バージョンではPreFormが開いていれば自動的に更新が行われ、使用していなければ夜のうちに更新が行われるようになります。もちろん、しっかりと検証済みの作業手順を採用しているお客様にとっては、手順とソフトウェアの整合性がとれていることが重要です。そのため、自動アップデート機能を希望しない場合にはPreFormの設定からオフにすることができます。
また、PreForm 3.34.0では、Fuse Blastのファームウェアアップデートやログダウンロード機能でFuseシリーズSLS製品全体の管理がより簡単になります。Fuse BlastでSLS造形品の粉末除去を行うことで、作業時間と造形単価を削減しながら表面品質を向上させられますが、PreFormの最新バージョンにアップデートすることで、Fuse Blastの管理およびモニタリング機能が向上します。
お客様のフィードバックに基づいた継続的な改善
Formlabsのプリンタ、材料、ソフトウェアは、お客様のアイデアを3Dプリント用ファイルから実際の部品に具現化するためのツールです。だからこそ、こういったツールを常にエンドユーザー様が使用する場面を想定して設計することが重要なのです。ユーザー様と提携し、それぞれに異なる作業手順を理解することで、結果を第一に考えた製品を作ることができます。
工業品質のSLSを初めて手頃な価格で実現したFuseシリーズは今回、造形スピードの向上により、高額な従来型のSLS方式3Dプリンタにも劣らない製造量を確保できるようになります。SLA光造形3DプリンタForm 3Lの最大造形サイズが拡大したことで、実製品用の仕上げを施した大容量モデルの製作を望むお客様のニーズにもお応えできます。
お客様独自の作業工程や用途に最適な3Dプリント方式や材料については、Formlabsのスペシャリストまでお気軽にお問い合わせください。