Form 3+ と Form 3B＋プリンタの改良点

2019年にFormlabsは、 Form 3とForm 3Bを発表し、3Dプリントの造形方法を改良しました。これらの製品にはFormlabsの商標であるLow Force Stereolithography (LFSTM)技術が実装されており、ほどなくして市場で最も支持される産業用光造形（SLA）方式3Dプリンタとなりました。今、私たちはこれまでハードウェアとソフトウェア両面のイノベーションの上に築き上げたForm 3+とForm 3B+により、LFS技術による3Dプリントを次のレベルに引き上げようとしています。 

当社の新たなソフトウェアアップデートでは、造形スピードが大幅に向上（一部のレジンでは20–40%高速化）し、サポート材の除去がかつてないほど簡単になります。 また、Formlabs製3Dプリンタの定評あるユーザーエクスペリエンスを更に改善するための新機能の数々も導入しています。しかも、既にForm 3およびForm 3Bをお使いだったユーザー様にも、ソフトウェアアップデートによって機能の向上をご体感いただけます。 

新しくなったForm 3+とForm 3B+には、新たなハードウェアコンポーネントとサブシステムも実装されており、よりスムーズでクリアな表面品質を備えた造形、信頼性の向上、並びに造形スピードのさらなる向上が可能となります。 

本記事では、Form 3+ とForm 3B+での改良点を分かりやすく解説し、過去数年間に行われたFormlabsのフラッグシップ製品であるデスクトップ型LFS 3Dプリンタの主要な改善点をご紹介します。

Form 3+とForm 3B+の発表で脚光を浴びた改善点の多くは、弊社最新ソフトウェアアップデートで有効となり、お客様がお使いのFormlabs製品が購入後も定期的にアップデートされていきます。こうしたメリットは、Form 3+とForm 3B+には当初より実装されていますが、既にお使いのForm 3とForm 3Bプリンタでも、これらのアップデートがご利用いただけます。

高速造形を可能とするため、LFS方式3Dプリントにとって重要なコンポーネントを、かつてないほど進化させています。LFS方式3Dプリントの主要なコンポーネントはLight Processing Unit (LPU)で、液体レジンを硬化させるレーザー光をより精密に制御するレンズシステムとミラーで構成されています。レーザー出力の動作範囲の拡大、LPU用の動作機構の見直し、ガルバノメーター動作の高速化、並びに他の主要なプリントプロセスの改良によって、一部のレジンで20～40％もの造形スピードの高速化を実現しました。 

ディテールの再現が鍵となるケースのため、弊社のAdaptive Layer Thickness (可変積層ピッチ) 機能を全てのFormlabsのレジンに拡張しました。可変積層ピッチは、 PreFormにインポートされたパーツの形状を解析した後、スライスモデル全体に自動で最適なレイヤー高さを割り当てる高度なプリントモデルで、一部のエリアには造形スピードを最大化するためにレイヤー高さをより厚くする一方、他のエリアには薄いレイヤーで精緻なディテールを再現するものです。造形スピードを最大化しつつ精緻なディテールを再現するには、この造形設定を選択します。

Form 3とForm 3Bの発表時、私たちは手で簡単に取り除けて後処理の労力も最小化できるよう開発されたライトタッチサポート機能もご紹介しています。私たちはForm 3+とForm 3B+の発売に合わせる形で、サポート構造を全て再設計し、サポート材を除去する作業をぐっと楽なものへと改良することができました。私たちの新たなサポート構造は、造形物の表面から必要以上の材料を除去しないようにする工夫が施されており、表面の仕上げ品質のために窪みを埋める等の懸念が不要となります。この新たなサポート形状によって、サポート材がより簡単・迅速に、手で取り除けるようになり、後処理に要する時間を大幅に短縮します。

造形を始める前には、ビルドチャンバーを加熱し、最適な造形条件を確保する必要があります。これまでこのプロセスは、ユーザーがタッチスクリーン上で造形を確認（Confirm）した後にのみ開始できました。ですが、そもそもなぜ待つ必要があるのでしょう？新たな余熱機能を有効化することで、データのアップロード後、造形開始までに必要な予熱時間を短縮することができます。プリンタにジョブがアップロードされると、プリンタ内部の空気を加熱し始め、造形開始までに必要な時間を短縮します。

また、新たなスリープモード機能は、プリンタがオンデマンド状態あるいは一定時間経過後の非使用時に省エネルギー状態に切り替え、エネルギー消費や環境光を最小化するため、1日の終わりにより安心して業務を終えていただくことができます。

Form 3+とForm 3B+には、当社のフラッグシップ製品であるデスクトップ型LFS プリンタの信頼性をかつてないほど高める利点があります。このメリットは、Form 3シリーズの発売以来、私たちが取り組んできた戦略的なハードウェアの向上と製造面での改良によって実現することができました。

レジンベースの3Dプリンタは、造形物とサポートラフトを確実にビルドプラットフォームに接着させるため、初期層に対してレーザー出力を余分に行う必要があります。Form 3+とForm 3B+には、LPUとビルドプラットフォーム間の緻密な位置合わせを可能にする新たなハードウェアが実装され、その製造プロセスも改良されています。これにより、初期層へのレーザー照射時間を短縮することができ、造形開始後の最初の数層分の造形時間を5～15分短縮することができています。

SLA方式の3Dプリントでは、レイヤー間の数ミクロンのエラーが表面上の目に見える欠陥として現れます。Form 3+とForm 3B+には、LPU用の最新の安定化コンポーネントが搭載されており、スムーズな移動とレイヤー間の位置合わせ精度の向上を実現しています。これにより、多くのパーツで表面品質が向上し、半透明性レジンの光学的透明度を高めています。

この光学的透明度の違いは、以下に示すように特にClear Resinの使用時に顕著に表れます。

Form 3+とForm 3B+ プリンターには、再設計された気流と熱の計測システムが搭載されており、プリンタが幅広い動作環境で意図した通りより確実に機能するようになっています。Form 3+では、気流が改良され、プリントベッドにより密接した地点で温度を計測できるよう改良がなされており、周囲の気温に影響を受けにくくなっています。

すなわち、Form 3+とForm 3B+ プリンタは、動作環境の範囲内であれば、周囲の気温に関わらず一貫性を保って動作します。つまり、気温が低い環境であってもビルドチャンバーの加熱時間が短くて済み、より迅速に造形を開始することができます。

これら一連の改良により、3Dプリントのプロセス全体がシームレスかつ直感的なものとなります。Form 3+とForm 3B+は、これからもFormlabsエコシステムを構成する周辺ハードウェア機器、そしてソフトウェアと共に3Dプリントの限界を押し広げていきます。

Form 3+とForm 3B+は、Form 3とFrom 3Bを大きな成功に導いたLFS方式3Dプリントの体験を更に洗練し、デスクトップ型3Dプリントをかつてないほど信頼性が高く、強力なものとしています。 Form 3+とForm 3B+と同時に、当社は Build Platform 2の販売も開始しました。これには私たちの次世代特許技術であるクイックリリーステクノロジー（Quick Release Technology）が実装されているため、ビルトプラットフォームからパーツを一瞬にして取り外すことができ、後処理時間を節約しつつ造形物に損傷を与えるリスクを最小化します。進化し続ける3Dプリントワークフローを導入し、Formlabs製品で造形を始めるのにこれほど良いタイミングはありません。 

 Build Platform 2とともにForm 3+とForm 3B+は今、お買上げいただけます。私たちのストアにアクセスして、エコシステム全体をご覧ください