Tough 2000レジンとForm 4Lが実現するZerømouse Bladeの耐久性

Ali Sayed氏が手がける超軽量ゲーミングマウス「Zerømouse Blade」は、発売からわずか数秒で売り切れ。常に品切れであることが顧客の最大の不満となっていました。Sayed氏は2026年、さらに堅牢な新世代Zerømouse Bladeの生産を効率化し、規模を拡大することで、この状況を打破することを目指しています。新バージョンは、FormlabsのTough 2000レジンV2Form 4L SLA光造形プリンタで造形することで、耐久性を高めながら、さらに軽量で剛性の高いシェルを実現しました。

「新バージョンはコンクリートの上に直接落としても、グリップ部を最大限の力で握り込んでも問題ありません」

Ali Sayed氏

このマウスの開発に3年以上取り組み続けているSayed氏は、当初はHPのMJF(マルチジェットフュージョン)方式を使った外注を活用していましたが、その後Form 4Lを導入したことで生産を内製化しました。プロトタイピングや初回生産の様子についてはこちらで詳細をご覧いただけます。Zerømouseの初期バージョンは試作を重ねるごとに大きく変化していましたが、現在は改良と量産に重点が置かれています。

6種類のZerømouse

Zerømouseの進化。

コンピュータ画面を見る男性
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Tough 2000レジンで軽量性・高剛性・耐衝撃性に優れたマウスを実現

多くのゲーミングマウスは、トップシェル、ボトムシェル、2つのトリガー、そして1〜2点の内部部品という計5つの部品で構成されています。一方、Zerømouseは3Dプリントで単一の連続した形状を実現しています。この設計においてSayed氏が直面した最大の課題の一つは、重量を増やすことなく耐久性と靭性を確保することでした。

「新しいシェルはかなり大きな衝撃にも耐えられますが、それを可能にしているのが、まさにこのTough 2000レジンV2です。Formlabsから発売されたばかりの、非常に優れた新材料です」

Ali Sayed氏

これまで、Sayed氏はZerømouseをBlackレジンで造形していました。「見た目も造形品質も素晴らしく、無負荷時の剛性も非常に高かった」とSayed氏が言うこの材料ですが、耐衝撃性には課題がありました。

ABSに匹敵する強度と剛性を備えた堅牢な新材料、Tough 2000レジンV2の登場により、Sayed氏は落下や衝撃にも耐えられるマウスの可能性を見出しました。

表面に衝突する直前のZerømouse

Sayed氏はTough 2000レジンでZerømouseを造形した後、落下試験を行った。

材料特性を検証するため、Sayed氏は3Dプリント製のマウスをコンクリートの上に落下させ、その衝撃をハイスピードカメラで撮影しました。また、複数の試作品でシェルの剛性も検証しました。Sayed氏の言葉をそのまま借りると、Tough 2000レジンは「さまざまなレベルの酷使にも耐えられる」材料です。

Blackレジン*Tough 2000レジン
最大引張強さ61 MPa40.4 MPa
引張弾性率2,700 MPa1,800 MPa
破断伸び10%79 %
ガードナー衝撃強さ(1/16インチ厚)<0.2 J1.1 J
破壊エネルギー(Wf)29.1 J/m2305 J/m2

*二次硬化後(60°Cで15分間)

Sayed氏は、Tough 2000レジンで作ったZerømouseのシェル構造を、より柔軟性のある材料に合わせて最適化しました。これにより、ユーザーは破損を心配することなくマウスをしっかり握れるようになりました。その結果、より軽量でありながらも堅牢感が増し、コンクリートへの落下にも耐えられるマウスが生まれました。

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Tough 2000レジンV2 は、ABSに匹敵する強度と剛性を持つ頑丈な材料で、靭性とともに高い耐熱性や耐クリープ性を備えています。

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生産量の拡大

「Tough 2000レジンV2によって耐久性が向上し、材料に対する安心感も得られました。これは、Zerømouseの生産量を拡大するうえで非常に重要です。ダークグレーの色合いが非常に良く、SLA光造形でここまで高精細なZerømouseを製作できていることに、今でも驚いています」

Ali Sayed氏

わずか数秒で完売した前回のリリースでは、1,000個のマウスをForm 4Lプリンタで製造。一週間あたり約250個を3Dプリントしました。

Form 4Lビルドプラットフォームあたりの数量造形時間
Zerømouseシェル154時間
スクロールホイール110<2時間

現在保有中のForm 4L 3Dプリンタは3台。1日2回プリントサイクルを回すだけで、週500個以上のシェルを製造できます。さらに夜間にも1回追加でプリントを回すことで、週あたりおよそ1,000個まで増やすことができます。Build Platform Lで1回あたり110個のスクロールホイールを造形できるため、1日1,000個という生産量を達成することも可能です。

「プリンタが非常に高速なので、夜間にサイクルを追加したり、いつ造形が完了するかを気にしたりする必要がありません。現時点では、現在保有中の3台のForm 4Lの能力をフルに使い切ってすらいません」

Ali Sayed氏

Form 4 3Dプリンタ

当初はFDM(熱溶解積層法)方式の3DプリンタでABS製の治具を造形していましたが、求められる性能を満たせないことが分かりました。

Sayed氏の生産体制に起こった最大の変化は、専用の生産スペースの確保とチームの拡充です。現在は、効率を最大限に高めることを目指してプロセスの改善が進められています。それでも変わっていない唯一のこととして、Sayed氏はこう言います。「省略できる無駄な工程がないため、造形から完成に至るまでのワークフローはそこまで変わっていません。」Form 4Lで試作と製造を行ってきたことで、プリントから完成までのワークフローは、当初からプロセスの一部としてすでに確立されていました。

Rigid 10Kレジンでカスタム治具を製作

「Zerømouseの生産を内製化した最大の理由は、独自設計のサポートを用意したり、温度硬化の工程で専用治具を使ったりと、あらゆる工程を自分たちで管理したかったからです」

Ali Sayed氏

Zerømouseシェルを社内で3Dプリントすることで時間が短縮されただけでなく、Sayed氏はForm 4Lを使ってシェルの二次硬化に使用するカスタム治具の製作も始めました。当初はFDM(熱溶解積層法)方式の3DプリンタでABS製の治具を造形していましたが、求められる性能を満たせないことが分かりました。

そこでSayed氏は、剛性を重視して材料を選定し、Form 4LでRigid 10Kレジン製の治具を造形しました。Rigid 10Kレジンはガラス充填率が高く、非常に剛性の高い材料です。治具や成形型のように、高温・高圧下でも寸法精度と安定性の維持が求められる部品に適しています。

これら治具を製作する他の方法にはCNC加工がありますが、こちらはより時間がかかり、廃棄される材料も多くなります。治具を3Dプリントすることで、設計改善や追加で治具が必要な場合の迅速な製作も容易になります。

金型の制約を受けない

3Dプリントを使った内製化により、Sayed氏は金型の形状制約や外注に伴うリードタイムに縛られることがなくなりました。その代わり、拡大を続ける生産プロセスのすべての工程をSayed氏自身が完全に管理できるようになりました。

Form 4 3Dプリンタが作業台に乗り、その横では男性が箱を積み上げている

Sayed氏は専用の生産スペースを追加し、より的確に需要に応えられるよう生産規模を拡大している。

Form 4Lの造形サイズとスピードにより、Sayed氏率いるチームは需要に応じて生産量を容易に引き上げることができます。「今のところは、3台の4Lで十分に対応できています。ただ今後、営業時間後にスタジオへ戻ってきて造形サイクルを増やさなければならないようなことになったら、その時点でもう1台追加することになるでしょう。」

これまでで最大規模のリリースに向けて準備を進めるSayed氏には、マウスが落ちても気にならない心強い味方がいます。

詳しくは、Form 4Lの詳細をご確認いただくか、Formlabsまでお気軽にお問い合わせください。また、以下から無償サンプルパーツのお申し込みも受け付けています。Tough 2000レジンの品質を直接お確かめください。