Tesla Giga Nevada、Fuse X1で大型パーツを24時間以内に製作

Fuse X1の前で大型の3Dプリント品を持つ男性

「Teslaでは、達成不可能と思われる納期を設定し、何とかそれを達成しています。製作期間が短く済む3Dプリントは、従来の製造方法に比べて大きなアドバンテージがあります」

Cody Jepsen氏(Tesla Giga NV アディティブマニュファクチャリング部門工学技師)

Teslaは、米国内のネバダ州、カリフォルニア州、テキサス州に3つのアディティブマニュファクチャリングチームを持っていますが、これら3つの部門のすべてで最重要課題となっているのが、スピードです。部品は24時間以内に納品する必要があり、Tesla Giga Nevadaのアディティブマニュファクチャリングチームの3人は週に10,000〜30,000個の部品を納品しています。そんな中、使用するプリンタには、高速であることのほか、切り替え時間が最小であることが求められ、さらに稼働率が重要な役割を果たします。

SLS(粉末焼結積層造形)方式の3Dプリント品を24時間以内に納品するために、光学技師のCody Jepsen氏は、従来の大型SLSプリンタを使って本来使えるはずの半分の高さで造形していました。大きな部品を分割し、指定された時間内に造形を完了させるためです。しかしこの運用では、プリントファイルの準備や完成品の組み立てや研磨に追加の時間と作業が必要になります。

Fuse X1の導入で、その状況が一変しました。現在、Jepsen氏は高さが2倍以上ある大型部品を、分割することなく24時間以内に3Dプリントできるようになりました。これにより、時間と作業を削減できるだけでなく、より強くより耐久性のある試作品や、製造ライン用の治工具や成形型も製作できるようになりました。

24時間以内に大型部品を製作

Tesla Gigaでは、従来型の大容量SLSプリンタを複数台導入していました。造形サイズは大きいものの、Jepsen氏は「造形時間は24時間以内に収まるようにしている」と言います。「造形サイズに収まるだけの注文を受け付け、翌日にはまた別のプリントを開始できるようにするためです。」このような時間的制約があるため、Tesla Gigaは従来の大型プリンタでは高さ約230 mmまでのものに限定しており、実質的に最大造形容量の半分程度しか使用していませんでした。

「新しく導入したFuse X1では、パッキング密度によって若干の変動はあるものの、Z軸方向の高さを最大限活用しても24~26時間でプリントが完了します。最大造形サイズをすべて使ってプリントしても1日で済むというのは、私たちのワークフローにとって非常に大きなメリットです」

Cody Jepsen氏(Tesla Giga NV アディティブマニュファクチャリング部門工学技師)

Fuse X1は、造形サイズが330 x 330 x 565 mmとFuse 1+ 30Wの7.5倍の容量を持ちながら、ほとんどの造形品を24時間以内にプリントできます。Fuse X1の導入により、Jepsen氏は565 mmの高さがあるプリントも24時間で完了できるようになりました。これは、従来のプリンタの2倍以上です。

従来のプリンタでは造形可能な高さが230 mmまでに制限されていたため、パーツを分割し、後から組み立てるための接合部を追加する必要があり、プリント前の工程が長くなりがちでした。プリント後は接着や研磨が必要なため、さらに時間と手間がかかります。Fuse X1を使用することで、Jepsen氏はこれらの部品を完全な形でプリントできるようになり、分割、組み立て、接着、研磨にかかる時間と労力を節約できるようになりました。実質的な造形容量が2倍以上になったことで、1回の造形でより多くの部品を製作でき、生産量が増えたことでバックログと納期の両方を短縮できるようになりました。バックログを減らすことで、社内生産よりも時間がかかり、コストも最大4倍ほどになることが多い外注の必要性が軽減されます。

大型治具も仕上げ処理なしで

プリントに割り当てられる時間は24時間という制約のもと、Jepsen氏は大型パーツを230 mm以下の高さに分割することで時間内のプリントを可能にしていました。この方法でプリント時間は短縮できたものの、他の作業時間が増加していました。

白い部品のセグメントを接着する人

Fuse X1なら写真の治具を一体型で造形できる。これにより、治具1つあたり約1時間の作業時間を短縮可能に。

まず、CADでパーツを分割したり蟻継ぎを作成する時間が必要です。さらに、プリント後には部品の組み立てが必要で、各接合部の接着には5~10分、研磨に15~20分ほどかかります。リワーク用治具の場合、治具1つあたりさらに20~25分がかかっていました。

Fuse X1は24時間以内に完全な部品をプリントできるため、Jepsen氏は治具を分割する必要がありません。また、1つの部品を一体で造形することで、1回の造形でより多くの治具を製作できるようになりました。造形後は、治具からパウダーを除去しブラスト処理を行いますが、これもFuse Blastで自動化できます。

「大容量の造形サイズと高速なプリント速度のおかげで、CAD作業や組み立て、後処理にかかる時間を増やすことなく、1回の造形で複数の部品を一度に造形できるようになりました。これらを一体でプリントすることで、手作業の時間を1時間近く短縮できます」

Cody Jepsen氏(Tesla Giga NV アディティブマニュファクチャリング部門工学技師)

リワーク治具を使うことで、技術者は部品を制御可能かつ再現性のある方法で調整し、仕様内に収めることができます。従来型の大容量SLS 3Dプリンタでは、1台につき2個の部品を造形していましたが、造形に72時間、冷却に72時間を要していたほか、その後リワーク治具を接着して研磨する必要がありました。Fuse X1では、24時間以内に5つのリワーク治具を一度に造形できます。一体型でプリントすることで、耐衝撃性と寸法精度、耐久性が向上し、交換率の低減にもつながります。

従来の大容量SLS 3DプリンタFuse X1 1台
リワーク治具の数25
プリンタのセットアップ時間45分5分
造形時間+冷却時間:144時間48時間
組み立て時間治具1個あたり約25分、合計約50分0分(一体型でプリント)
部品完成までの総時間145時間35分24時間5分

さらに、従来型の大容量SLSプリンタの場合、最高のプリント品質を実現するためには造形品をプリンタ内で冷却する必要がありました。外付けの冷却ソリューションは断熱性が低く、造形品が急速に冷却されるため特に薄肉構造の部品では反りのリスクが高まります。Fuse X1は、断熱材を内蔵したモジュール式のビルドユニットでこの問題を解決しています。造形品は最適な温度条件を保った造形チャンバー内で冷却されます。造形品の冷却が終わる前に次の造形を開始することもできます。

窓付きダンネージラックの生産量を2倍に

Jepsen氏の部門では、工場間で部品を輸送するための梱包エンジニアリングプロジェクトが数多くプリントされています。その一例が、輸送中に複数の窓を1枚のパレットに載せる窓付きダンネージラックです。従来のプリンタで窓付きダンネージラックを24時間で製造する場合、各部品を2つに分割し、1回のプリントで4つの部品を造形する必要がありました。Fuse X1では、24時間で8個の窓付きダンネージラックを造形でき、従来のプリンタの2倍のスループットを実現します。部品の接合部を接着するための作業も排除することができました。

接着剤で接着した白い部品と、一体型でプリントした黒い部品

Fuse X1は、窓付きダンネージラックを従来のプリンタの2倍の生産量で、かつパーツを分割することなくプリントできるため、時間と作業量の両方を削減できる。以前プリントしていたパーツ(白)は、分割してプリントした後に接着していた。

窓付きダンネージラックは納期が重要視されるため、Fuse X1で必要なラックをすべて1回のプリントで製作できることは大きなメリットでした。従来のプリンタでは2日かかっていたものが、1日で完了するようになったのです。

切り替えもプリントも簡単

「従来のプリンタの場合、使い方を完全に習得し、造形準備やマシンの運転を一人で自信を持ってできるようになるまでに3~4ヶ月かかります。Fuse X1なら、どの技術者でも1日でトレーニングを終え、安心して機械を操作できるようになると自信を持って言えます」

Cody Jepsen氏(Tesla Giga NV アディティブマニュファクチャリング部門工学技師)

従来の大型SLSプリンタでは、パウダーの削り落とし、レーザーウィンドウやエアバッフルの取り外しから清掃に至るまで、手作業による45分〜1時間ほどのクリーニング作業が必要でした。その後、手動で機械を起動する必要があります。すべての軸をホーム位置に戻し、パウダーを追加して、予熱サイクルを開始します。また、これらプリンタのファイル設定は厳密で、温度管理のために大型部品を慎重に配置する必要があります。

 Jepsen氏は、現場で従来型のSLS 3Dプリンタを稼働させることができる唯一の人物です。「私がいなければ機械を稼働できない」と言うJespon氏ですが、Fuse X1であれば1日で技術者を訓練することができると言います。

「Fuse X1ではプリント間の切り替えが5~10分で済むところ、従来のプリンタでは45分〜1時間かかっていました」

Cody Jepsen氏(Tesla Giga NV アディティブマニュファクチャリング部門工学技師)

Fuse X1の切り替えにかかる時間は15分未満。ビルドチャンバーを引き出し、余分なパウダーを集じん機で吸い取り、新しいビルドチャンバーをセットするだけです。造形準備ソフトウェア PreFormを使えば、造形設定も簡単かつ直感的に行えます。従来のプリンタでは、温度管理が可変であったため造形品の配置や密度が制限されていました。Fuse X1にはA自動温度調整機能が搭載されており、熱データを収集・処理して13個の独立したサーマルゾーンを制御することで、パウダーを正確かつ安定した温度で供給・維持・焼結します。これにより、パッキングをさらに自由に行え、造形時の向きに依存する必要がなくなるため、PreFormでのパーツ配置が容易になり、1回の造形でより多くの造形が可能になります。

金型レスで月間20,000点の部品を3Dプリント:傷防止シム

部品がたくさん入った箱の上で小型部品を手に持つ

現在、TeslaはSLS 3Dプリントで月に10,000~20,000個の傷防止シムを製作。Fuse X1では、シムを他の部品の周りに詰めて配置することで、造形単価を低減している。

Teslaのチームは、傷や跡をつけずにガラスを保持するための傷防止シムを使用しています。6ヶ月間継続して求められる、つなぎ部品です。Jepsen氏は当初、傷防止シムを射出成形することを検討していましたが、SLS 3Dプリントによる製作の方がコスト面で競争力があることがわかりました。Fuse X1の導入前、Jepsen氏は10,000~20,000個の傷防止シムを毎月、専用ビルドで製作していました。従来の大容量SLS 3Dプリンタでは熱制御が不十分なため、1つの大きな部品の周りに小さな部品を詰め込むと部品の寸法精度に影響が出てしまうからです。しかし、Fuse X1の自動温度調整機能によって高密度のパッキングが可能になったことで、「他の部品の周囲に詰め込むことで空きスペースを利用でき、部品1点あたりのコストをさらに削減することができた」とJepsen氏は言います。

従来のSLSプリンタで傷防止シムを造形する場合、専用のビルドが必要なためコストが高くなり、プロジェクト開始から2~3ヶ月で射出成形に移行するのが最も理にかなっていました。しかし、Jepsen氏は「Fuse X1で造形コストが抑えられるようになった今、計算式は全く変わりました。射出成形に切り替える必要がなくなるかもしれません」と語ります。

「Fuse X1で生産量の増加とコスト削減を実現できたことで、従来は射出成形に頼っていたものも、今ではラボがサポートできるプロジェクトに変わりました」

Cody Jepsen氏(Tesla Giga NV アディティブマニュファクチャリング部門工学技師)

悩みを解消しながら増産

Formlabsの3Dプリンタは、Form 2の時代からTesla Giga Nevadaのアディティブマニュファクチャリング部門で活躍してきました。現在では、Form 4とForm 4LのSLA光造形3DプリンタFuse 1+ 30W SLSプリンタも導入し、耐熱性のあるRigid 10Kレジンから電子部品用のESDレジン、生産ラインで使用する部品用のToughレジンファミリーまで、さまざまな材料で部品を製作しています。その中でも常に重要視されるのは、やはりスピードです。

Form 4とForm 4L SLA光造形3Dプリンタ

Tesla Gigaのアディティブマニュファクチャリング部門では、Form 2の時代からFormlabsの3Dプリンタを導入してきた。現在はForm 4世代およびFuse 3Dプリンタを使用している。

「Form 4のプリント速度のおかげで、同日中に部品を納品できるようになりました。Form 4シリーズのプリンタでは、現在7種類のエンジニアリング材料を使用しています。材料の交換が簡単なので、用途に応じて最適な材料を使用できます。今すぐ試作の反復検証が必要なエンジニアがいれば、Form 4に投入してプリントし、後処理をした後でも、シフト終了前に部品を届けることができます」

Cody Jepsen氏(Tesla Giga NV アディティブマニュファクチャリング部門工学技師)

週に10,000~30,000点の部品を製造するJepsen氏の部門では、プリンタの稼働率が非常に重要です。社内で機器のメンテナンスや修理が可能であれば、ダウンタイムの大幅削減につながります。従来のプリンタでは、問題発生時はサービス担当の技術者を待たなくてはならないことが多くあります。しかし、Formlabsの3Dプリンタなら同日中に交換部品の出荷が行われます。

「当社にとって、機械の稼働率は非常に重要です。Formlabsのカスタマーサポートは、工業用3Dプリントのお手本のような存在です。サポートのレスポンスの速さ、コミュニケーションの取りやすさ、そして顧客の要望に応えようとしてくれる姿勢にこそ、Formlabsの機器を使い続けたいと思える理由があります」

Cody Jepsen氏(Tesla Giga NV アディティブマニュファクチャリング部門工学技師)

AM部門の拡大を常に目指してきたJepsen氏は、プリンタの速度が上がるにつれて拡大の必要性が低くなってきたと言います。

「従来のシステムでは2〜3台のプリンタで製作していた部品数を、今では1台のプリンタで製作できるようになりました。1台の機械で同じ数の部品を作れることで、機械を切り替える回数が減り、メンテナンスが必要な機械の数も減るので、頭を悩ませることが格段に少なくなりました」

Cody Jepsen氏(Tesla Giga NV アディティブマニュファクチャリング部門工学技師)

高信頼かつ高速なプリンタで生産量が向上するだけでなく、Fuse X1は設置面積が1.3平方メートルとコンパクトなため、同じスペースにより多くのプリンタを設置でき増設の必要性が低減します。Jespen氏は、プリンタが高速化したことで、スペースを追加しなくても社内のより多くの需要に対応できるようになったと言います。

Tesla Gigaのアディティブマニュファクチャリング部門は、プリント方式を問わず最新技術を活用して生産を拡大し、24時間以内に大量の部品を納品しています。

Formlabsの3DプリンタとFuse X1の詳細については、各製品ページをご覧いただくか、Formlabsまでお問い合わせください。