削減できるコストについて試算をご希望の場合は、Fuse 1+ 30W でコストと時間がどれだけ削減できるのか、インタラクティブな ROI 計算ツールでご確認いただけます。

外注か内製か:内製での SLS 方式 3Dプリントが適するケースとは?
本技術資料では、SLS(粉末焼結積層造形)方式 3Dプリンタで内製を行う場合と、SLS パーツを外注した場合のコストを比較し、SLS 3Dプリンタを社内導入することの価値を評価します。現在の SLS 3Dプリント市場の概要を示しつつ、3 つの用途を代表する 6 つのケーススタディを通して、手頃な価格帯の Fuse シリーズ SLS エコシステムを社内導入することによる ROI の有効性を実証します。
外注か内製か:内製での SLS 方式 3Dプリントが適するケースとは?

本技術資料では、SLS(粉末焼結積層造形)方式 3Dプリンタで内製を行う場合と、SLS パーツを外注した場合のコストを比較し、SLS 3Dプリンタを社内導入することの価値を評価します。現在の SLS 3Dプリント市場の概要を示しつつ、3 つの用途を代表する 6 つのケーススタディを通して、手頃な価格帯の Fuse シリーズ SLS エコシステムを社内導入することによる ROI の有効性を実証します。
はじめに
SLS(粉末焼結積層造形) とは、ビルドチャンバー内でレーザーを用いて薄い粉末の層を垂直方向に何層にも焼結して重ねることでパーツを造形する、アディティブ・マニュファクチャリング・プロセスを指します。この方式の 3Dプリンタは材料として樹脂粉末を使用しますが、基本的にはMJF(マルチジェット・フュージョン)や金属のレーザー焼結といった、他の粉末床溶融結合を用いたプリンタ (DMLSやSLM) と同じ造形方式に属するものとみなされています。この方式によるパーツの造形には、いくつかのメリットがあります。
まず、プリント・プロセス中は粉末床でパーツを囲むためサポート材が不要で、接続部品や機能部品、リビング・ヒンジといった複雑な幾何形状の造形が可能です。
もう1つの利点は、SLS 方式 3Dプリンタで使用する造形材料そのものにあります。SLS 方式プリンタでは、試作品の機能試験や製品試験向けの堅牢で高耐久性、耐高温性、長寿命等の特徴を備えたパーツに対応した材料を使用することができます。ナイロン等の SLS 方式の3Dプリント材料は既に、設計、エンジニアリング、マニュファクチャリングの現場で、射出成形工程やアディティブ・マニュファクチャリングで広く使用されています。
最先端の材料特性を備えた材料を使用して複雑な幾何形状のパーツを生産することが可能であるという点に加え、SLS 方式プリンタを利用した内製には、生産プロセス全体において自社の管理のおよぶ範囲を広げることが可能になるというメリットがあります。Fuseシリーズのプリンタは、すっきりした外観、省スペース設計、簡単操作を特徴とし、既設設備にも問題なく馴染みます。Fuse Sift(パウダーの取り崩し・回収装置)とFuse Blast(ブラストおよび研磨処理装置)により、後処理工程の複雑さも解消できます。Fuse シリーズにて複数のビルドチャンバーを使用することで、手作業を最小限に抑えながら連続生産が可能です。

Formlabs Fuse シリーズSLS方式プリンタを内製用に設置した生産施設
従来型の SLS 方式 3Dプリント
従来型の工業用 SLS 方式 3Dプリンタは、射出成形プラスチック部品の交換やシミュレーション用の唯一の選択肢ではありましたが、大部分のメーカーにとって容易に購入できるものではありませんでした。この、過去唯一の SLS 方式プリンタは、操作手順が複雑で使いにくく、空調や工場用電源といった専用設備が必要、最安機種でも 250,000 万ドルからと非常に高額であり、必要な周辺機器までを入れるとさらに多くの導入費用が必要でした。現在、3Dプリントの普及に伴い、特に耐久性と機能性が最重要視される製造用途や実製品用途において、SLS部品の需要が指数関数的に増加しています。
受託メーカーへのSLS 3Dプリント外注が唯一の方法?
3Dプリントサービスの受託業者や製造請負業者は、高強度、軽量、高耐久性を備えたパーツの需要に応え、SLS方式を使用した受託生産サービスの提供を始めています。プリンタ本体の購入や、特に数十万円単位で支出が必要になる射出成形型の購入費用の捻出は難しくても、数万円の支出でパーツを購入することなら可能だという企業が大部分でしょう。同様に、多くの企業にとって大型機を設置するほどのスペースを確保することは難しい問題ですが、受託メーカーや請負業者は、これらの装置を設置する十分なスペースとそれを運用する熟練した人員を持ち合わせています。
ただし、受託製造する業者は毎週、数百件から場合によっては数千件にも及ぶ部品の製作依頼に対応しています。このような状況において、受注規模や数量によって異なるものの、納品までのリードタイムが数週間かかることもあり、付随するやりとりの時間等を含めるとさらに長期間を要する場合もあります。SLS による造形の設計ガイドラインに詳しくない発注者側の設計者が設計変更を求めれば、その都度、設計者と社外の受託業者との間で電話やEメール、動画でのコミュニケーションが追加され、納期がさらに延びる恐れもあるでしょう。このような設計修正の繰り返しは、設計者と3Dプリント担当者の両者が造形プロセスに関わり、造形の最適化に関する知識を持っていれば、社内で迅速に行うことが可能です。
最終的にコストとリードタイムが積み重なれば、SLS 方式の3Dプリントを選んだ当初のメリットが薄れることになります。コスト計算等も意味をなさなくなり、メーカーが SLS 方式を使用する用途も減って、SLS方式の十分なポテンシャルを活かせなくなってしまいます。
SLS 方式3Dプリントの用途
3Dプリント受託業者に対するSLS造形パーツの需要が増えている理由の一つに、SLS 方式が適する用途の範囲が広いということが挙げられます。このような需要を満たす能力を社内に導入することで、設計の細かな修正や、サプライチェーンの中断が生じた場合の内作での対応、交換用部品や修理用部品の迅速な供給が可能となり、競合メーカーとの差別化が実現します。
ラピッド・プロトタイピング
3Dプリント技術が最も多く用いられているのが、試作段階です。しかしながら、エンドユーザー、設計者、エンジニア、技能者等が互いに離れた場所にいる場合は、ラピッド・プロトタイピングも迅速さを欠いたサービスになってしまいます。もし、これらの4者から出された修正等を、3Dプリント受託業者に一度で伝えた場合でも、そのパーツが戻ってきてからテストを行ったり社内のフィードバックを得たりするまでに1週間以上はかかるでしょう。このような、1週間単位で生じるダウンタイムを取り除くのが、SLS 方式プリントの内製化です。FuseシリーズのSLSプリンタを導入することで、プロセスを1か所に集中することが可能になり、設計、試験、実装チームの協働が叶うことで、文字通りラピッド (迅速) な、自社内での試作品の作製が実現します。

複数部品で構成するスノーボードのビンディングのような、複雑形状のアセンブリーの機能試験には、柔軟性と強度を備えた Nylon 12 Powder が適しています。
実製品用部品
従来の生産方式が最も効率的であるケースもまだ多いとはいえ、実製品用パーツの量産に SLS 方式 3Dプリンタを使用することが合理的な場合もいくつかあります。つまり3Dプリント受託業者等を利用するよりも、メーカーでの内製の方に比較優位が生じるケースです。
アフターマーケット品の生産は、OEM が行った変更にメーカーが対応しなければならない、設計、試験、生産の各段階に俊敏性と応答性が要求されるビジネスモデルです。自動車用アクセサリー・メーカーのTerra Xにとって、SLS 3Dプリント部品の外注は、顧客基盤を築きながら製品テストを開始するうえで最適な方法でした。その後、需要の拡大に伴い、利益率の改善・製作期間の短縮・開発サイクルの短縮を図るため、Fuse シリーズを導入して生産を内製化しました。

写真の実製品用自動車アクセサリーは、Terra Xが設計・製造するナビゲーション・マウント。同社は Fuse シリーズの SLS 3Dプリンタ 3 台を使って全ての製品を製造している。
2021年以降にはサプライチェーンの停滞によって従来の生産手段が停止した影響もあり、SLS 方式プリンタによる内製は世界的に重要性を増してきています。月単位におよぶ納期遅延に直面した顧客の立場からすると、サプライチェーンの問題による遅延を穴埋めできるメーカーに優位性が生まれます。それ以降も、貿易戦争や関税、供給制限など、世界のサプライチェーンの混乱が継続する中、国内生産は中小メーカーにとって一層魅力的なオプションになっています。
SLS 方式による生産機能を備えていた企業は、供給不足に 3Dプリントで柔軟に対応し、従来は機械加工していたパーツを 3Dプリントでの生産に移行する等しています。操作方法がシンプルで材料の効率に優れた Fuse シリーズの活用で、生産コストを低く抑えながら、他社が材料パーツの納品待ちで生産に困るような場面でも、お客様に製品を届けることが可能になるのです。

内製能力を持つことで、自社のサプライチェーンを独立させ、外注先理由によるリードタイムの長期化の回避が可能に。自動車部品サプライヤーのBroseは、BMW X7 向けの実製品用部品として、このシートクリップを数十万個規模で造形している。
SLS 3Dプリントは、一定の生産量がある用途において部品単価と製作期間の両面で実用的なソリューションです。つなぎの製造、アフターマーケット品のカスタマイズ、サプライチェーンの管理、新興市場などの生産シナリオにおいては、SLS 3Dプリントはよりニーズに応じたオンデマンド対応が可能で、さらにプリンタを社内に保有することでメーカーは迅速・柔軟・高効率に対応できます。
射出成形と3Dプリント方式を、状況に応じて選択するほどの資金を持たないスタートアップ企業にとって、既に社内で試作品作製に使用しているものと同一の生産手段を活用することは、製品を発売して収益の流れを確立するために適した方法です。このようなスタートアップ企業が3Dプリントを活用して製品を社内で生産することで、市場に参入し、顧客からフィードバック得て、売上を回収してこれをR&Dや生産へと再投資することができ、その先、需要が見通せる状態になれば射出成形に切り替えることも可能になるでしょう。

Tension Squareは Fuse 1 を利用し、Nylon 11 パウダーで医療機器を試作、量産
生産用の治工具、ラピッド・ツーリング、交換用部品
SLS プリンタの導入の最大の意義は、社内にある他の設備装置の交換部品を内製できる点にあります。自社の生産設備に必要な交換部品向けに、3Dプリント用のデジタルデータを作成する企業が増えています。生産設備に予備部品が必要になったときに、オンデマンドで 3Dプリントすることができれば、OEM や 3Dプリントサービス受託業者から交換部品を入手するまでのリードタイムを、何日も短縮することが可能です。生産設備が停止すると、その時間分の利益は失われるわけですが、自社内の SLS 方式プリントチームで早急に部品を用意できれば、この損失を最小化することができ、会社全体としての 損失の軽減にもつながります。
Formlabs の顧客である Eaton では、電力ユーティリティ機器を大量生産する同社のオーリーン工場において Fuse シリーズが課題の解決策となりました。Fuse 1+ 30W と Nylon 12 パウダーを使用することで、Eaton のオーリーン拠点では自動組立ラインで使用する生産消耗品のほぼすべてを置き換えることができました。SLS 3Dプリント製グリッパー、EOAT(エンド・オブ・アーム・ツーリング)、スペーサー、固定具・治具、ハウジングの活用により、生産量の向上やコスト削減、保全・修理・オーバーホール(MRO)業務の効率化にもつながりました。

Eaton のセンタリングブロックは、最適化された設計で Fuse 1+ 30W にて 2 ピースとして造形(左)され、アルミおよびデルリン切削のアセンブリ(右)を置き換えている。

生産治具や成形型は通常、金属やデルリンのプラスチック・ブロックの切削など、サブトラクティブ製法を用いるため高コストになりがちでした。同じ道具を 3Dプリントする方がより短時間で効率的に作れることは間違いありませんが、実際、3Dでこのような工具を内製するニーズはあるのでしょうか?工具を業者に外注せず社内で作ることのメリットは、設計変更やカスタマイズ能力の有無によって決まります。
スイスのメガネメーカー、Marcus Marienfeldで使用されている成形プレス(左)のように、成形型はサイズが大きくかさばりがちでした。同社では Fuse 1 を使用し、チタン製メガネフレームの曲げ加工用プレス装置を製作。このプレス機を業者に発注した場合、より多くの費用とリードタイムが必要となり、購入可能なプレス機の種類は限られ、メガネフレームのデザインの幅が狭められてしまう可能性もあります。Marcus Marienfeld は、1台のビルドチャンバーで複数の治具を作製して数百デザインのメガネフレームを1日で生産する能力を備え、チタンフレーム・メガネ製品の完成までに要する時間は業者に外注した場合の半分で済んでいます。

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手頃な価格帯の Fuse シリーズで SLS 方式プリンタの導入が現実的に
購入しやすい価格帯を揃え、小規模な製作所から大手メーカーまで設置場所を選ばない小型化を実現した Fuse 1+ 30W は、工業用品質の SLS 方式 3Dプリントによる製品の内製を可能にし、広範な用途においてパーツ 1 個あたりコストを低減し、生産スピードアップにも貢献する製品です。

手頃な価格帯の SLS 方式プリンタ Fuse 1+ 30W と Fuse Sift は、中小企業が初めて購入する 3Dプリンタとして理想的。また、大手メーカーでの大量生産にも適する。
導入のしやすさ
2020 年の Fuse 1 の発売以降、Formlabs の SLS 方式 3Dプリンタは 3Dプリンターメーカー中 1 位の販売台数を誇っています。手頃な価格とコンパクトさ・軽量性が導入を容易にし、さらにプリンタ本体・Fuse Sift・Fuse Blast(Fuse Blast Polishing モジュールを含む)からなる包括的なエコシステムにより操作感が合理化されています。Nylon 12 Tough パウダーのような業界標準材料、純 TPU パウダー、染色しやすい白色ナイロンパウダー、特殊用途向けのナイロン複合材などを取り揃えており、Fuse シリーズは生産の内製化を容易にします。
また、Fuse 1+ 30W システムとこれに関する材料、サービス、トレーニングまでの費用を合わせても、従来型の SLS システムの数分の 1 の資金でまかなうことが可能です。プリンタ専任技術者の雇い入れや人件費も不要です。Fuse 1+ 30W は、過去に 3Dプリンタを使用した経験のある人であればどなたでも簡単に使える、使いやすいユーザー・インターフェースを搭載しています。以前であれば工業用装置の購入が難しかった小規模メーカーで Fuse 1+ 30W を導入することは、新たなビジネス機会にもつながります。3Dプリントサービスを外注することなく、生産数量を増やしていくことや、試作品で繰り返される修正時間の短縮、製品ラインの充実等が可能になります。
低コストと高スループット
Fuse 1+ 30W の価格はエコシステム一式で 55,000 ドル未満(プリンタ単体でも 27,000 ドル未満)と、従来の産業用 SLS システムと比べて 5〜10 分の 1 の価格で導入が可能です。つまりコスト計算で用いる固定費が低くなり、低予算での SLS 方式プリンタの導入が実現するのです。投資を回収し利益が出るまでの期間も、より広範な用途において短縮することが可能です。プリンタの低コスト化によってパーツ 1 個あたりのコストも劇的に低減され、少量生産にも現実味が出てきます。

自動化された Fuse Blast で手作業にかかる時間を最大 80% 削減。また、Fuse Blast Polishing モジュールを追加することで射出成形プラスチックのような外観と手触りも実現。
モジュール式のため複数のビルドチャンバーを使った連続稼働・後処理が可能で、ダウンタイムなしでより多くの部品を生産できます。パーツ 1 個あたりコストを低減する最大の貢献要因の 1 つが、パウダーのリフレッシュ率と、充填密度アルゴリズムの改善です。これら 2 要素が焼結と未焼結パウダーの最適比率を決定し、パウダー使用効率を改善、優れた循環型のシステムで材料すべてを活用することができます。Fuse 1+ 30W で最も多く使用されている材料のリフレッシュ率は 30% で、ユーザーの多くが最適リフレッシュ率と充填密度で無駄なくパウダーを使用することができています。未焼結パウダーはすべて、次回の造形に使えるため、購入した粉末材料の有効活用につながります。さらに、パウダーのボリューム・ディスカウント(最安で 45 ドル / kg)により、高ボリューム生産時のコスト効率が一段と向上します。

3Dプリントを始める
Formlabsの使いやすく包括的なエコシステムは、3Dプリントを始めやすい設計です。Formlabsの3Dプリンタと材料をご覧になり、お客様のニーズに合ったものを見つけてください。
SLS 方式プリントを Fuse 1+ 30W で内製した場合と外注した場合のコストを比較検証
SLS 方式プリンタの導入は、3Dプリント受託業者へのパーツ外注よりも本当に速くて安いのか、以下の 6 つのケーススタディで検証していきます。試作品、製品用パーツ生産、および生産用の治工具の 3 種類の用途から、Fuse 1+ 30W で内製を行った場合と、米国内にある上位 4 社の 3Dプリント受託業者に外注した場合とを比較した、6 つの事例を用いて説明します。パーツ 1 個あたりコスト (人件費、材料費、輸送費) とリードタイムの 2 つを測定、比較しています。
Fuse 1+ 30W を用いた内製の場合の「合計時間」は、造形時間、冷却時間、Fuse Sift 内での造形物の後処理にかかる作業時間を合計したものです。3Dプリントサービス受託業者に外注した場合の「合計時間」は、ファイルをアップロードして発注してからパーツを 弊社拠点で受領するまでの時間を基に、受託業者の平均納期を算出しています。
Fuse 1+ 30W を使った内製化の「総コスト」は、材料費と人件費を加算して計算します。試作品を製作する場合のパウダー価格を 99 ドル / kg、治具の場合は 75 ドル / kg、生産コストを 55 ドル / kg とし、社内プリントスタッフの時給を 17 ドルと仮定します。 SLS 方式の 3Dプリントサービス受託業者に外注した場合の「合計コスト」は、造形ごとの見積額の平均と外注先 4 社の標準的な輸送費を合計したものです。
用途 1: 試作
継続は力なり、と言われますが、製品開発においてこの継続に相当するのが、ラピッド・プロトタイピングです。設計、こまかな設計変更、造形、試作モデルによる検証といった能力は、真の革新と対策による改善につながる能力です。3Dプリント、特に SLS 方式3Dプリントは、機能性と強度を備えた材料を使用した試作品の作製を可能にする、あらゆる業界のラピッド・プロトタイピングそのものを大きく変えるテクノロジーです。しかし依然として、社内でラピッド・プロトタイピングを行うか、受託メーカーに外注するかで判断を迷う企業が多いことも事実です。以下では、自動車業界と消費者向け製品 (施工用工具) の 2 通りの試作品の例を内製と外製の場合で比較し、コストと納期面で、SLS 方式プリンタによる試作品の内製も十分に選択対象となり得る理由を説明します。
各造形とも、可能な限り多数のモデルにフィットするよう最適化、つまり設計の変更を繰り返すプロセスを経ています。1 つのパーツを作る際には、設計チームからは何通りかの変更が出され、その都度、機能試験と外観チェックも求められるものと考えられます。ビルドチャンバー内には最大限に効率的に配置することで、複数の試作品を造形、テストし、材料の使用効率やコスト効率を高め、また、待機時間も短縮することができます。
試作品 1: 自動車用マニホールド

Fuse シリーズのプリンタで社内造形した SLS 製のマニホールド(左)と、受託メーカーが HP MJF プリンタで造形した外注マニホールド(右)。

最適な密度と材料使用率のために、5 つのマニホールドが PreForm で積み重ねられ、最適な配置でパッキングされている。高密度な配置であればあるほど造形単価が低下する。
| Fuse 1+ 30W で内製 | 受託メーカーに SLS を外注 | |
| 造形時間 | 10 時間 28 分 | |
| 追加冷却(Fuse Sift 内) | 13 時間 30 分 | |
| ふるい分け/部品取り出し(手作業) | 10 m | |
| ブラスト時間(自動) | 15 m | |
| 部品完成までの総時間 | 24 時間 23 分 | 7 営業日 |
| 材料費 | $ 98.48 | |
| 手作業時間(ハンズオン) | 43 m | |
| 人件費 | $ 12.18 | |
| 総コスト | $ 110.66 | $ 163.32 |
| 造形単価 | $ 27.67 | $ 40.83 |
* ラピッド・プロトタイピングは必ずしも高ボリュームで行うものではないため、ここでは標準パウダー価格の 99 ドル / kg を用いて部品単価を算出しました。毎日造形する場合、パウダーのボリューム・ディスカウントによって造形価格が大幅に低下します。
** Fuse ユーザーは、ビルドチャンバーの内部温度が 50°C に達した時点で Fuse Sift でパウダーケーキの取り崩しが可能です。通常、想定の「二次冷却時間」が完了するより数時間早いタイミングでこの操作が可能になります。この例では、ビルドチャンバーの温度は夜間に 50°C 未満まで下がり、ユーザーが翌朝出勤する頃には取り崩しが可能な状態となっています。
外注では最初の試作品を受け取るまで 7 日間を要しますが、社内造形であれば通常の 1 週間の間にマニホールドの設計を 25 通り試作することができます。一般的なプロトタイピングでは部品単価より製作期間が重要になりがちですが、ボリューム・ディスカウントを適用せずパウダー価格を上限の 99 ドル / kg に設定し多場合でも、外注より社内で SLS 造形する方が低コストになります。

試作品 2: 電動ドリル本体

Fuse シリーズのプリンタで社内造形した SLS 製のドリル試作品(左)と、受託メーカーが HP MJF プリンタで造形した外注によるドリル試作品(右)。

PreForm の自動パッキング機能によって最も効率の良い造形設定でのプリント準備が迅速に行われ、パウダーコストを可能な限り低く抑えることが可能。
| Fuse 1+ 30W で内製 | 受託メーカーに SLS を外注 | |
| 造形時間 | 12 時間 4 分 | |
| 追加冷却(Fuse Sift 内) | 13 時間 55 分 | |
| ふるい分け/部品取り出し(手作業) | 10 m | |
| ブラスト時間(自動) | 15 m | |
| 部品完成までの総時間 | 26 時間 14 分 | 7 営業日 |
| 材料費 | $ 118.51 | |
| 手作業時間(ハンズオン) | 43 m | |
| 人件費 | $ 12.18 | |
| 総コスト | $ 130.69 | $ 234.34 |
| 造形単価 | $ 26.14 | $ 58.59 |
* 上記と同様、SLS で内製する場合、低ボリュームでの試作を行う場合を想定して材料費は上限の 99 ドル / kg に設定しています。
** 上記と同様、「適切な冷却」(50°C しきい値)に達するまでの時間は通常この想定より数時間早く、後処理を早く開始できるため実際の「部品完成までの時間」は図示よりさらに短くなります。
1 例目と同様、これら試作品の作製に必要な合計時間は、SLS 内製では毎週完全 5 サイクル稼働して 10 パターンの変更を実施し、パーツ 2 個構成のドリル本体アセンブリーを作製する時間とします。また、7 営業日に 2 回しか設計変更ができない外注の場合と比較すると、SLS 方式 3Dプリンタを使った内製では確実な設計改良が可能になると考えて良いでしょう。設計変更に合わせて外観を変更したり、グリップ部分のバリエーションを増やしたり、ネジの挿入深さを変えたり、内製であればすぐに試作品を作り、翌日には承認取得のために社内の担当チームに提出することができます。
どのプロトタイピング用途でも、最も重要なのは試作・検証の反復スピードです。このシナリオでは、外注で試作品 2 点が出来上がるまでに7営業日かかることが、製品開発プロセスにとって大きな障害になり得ます。一方、社内で SLS 3Dプリントを行えば、プロダクト・デザイナーは毎日 4 点(ドリル筐体 2 組)を造形できます。
用途 2: 実製品用パーツの量産
設計の確定後、消費者の需要予測を経て、量産が開始します。量産についてよくあるのは、SLS 方式 3Dプリンタによる内製と 3Dプリント受託業者への外注のどちらを選ぶべきかという質問よりも、3Dプリントと従来の射出成形等の生産手段とを比較してみて、どちらが良いかという質問です。
弊社がホワイトペーパーで考察した通り、実製品用パーツの量産に関して SLS 方式 3Dプリントと射出成形との比較が意味をなすケースとしては、アフターマーケット品やカスタマイズ品、サプライチェーン中断時の措置として活用する等のシナリオが考えられます。複数の生産手段について ROI を計算する際に重要な要素は、パーツあたりコストとスループットの 2 つです。Fuse 1+ 30W のセールスポイントは、造形の速さ、ビルドチャンバーの互換性、後処理ユニットまでの流れの良さ、そして充填密度の改善により大きく向上した実製品用パーツ量産の経済性です。
次に、プリント受託業者への外注でいくらの追加コストが必要になるのか、さらに輸送時間が全体の生産計画にどのくらい影響するのかを、Fuse 1+ 30W で社内で量産した場合と、SLS 方式 3Dプリンタを使う業者に外注した場合とで比較しながら見ていきます。以下の量産シナリオは、PreForm の充填密度アルゴリズムを利用して材料粉末の消費量とリフレッシュ率を最適化することと、生産数量の大部分を実製品としてユーザーに納品することによって、スループットを最大化するように作成しました。
実製品用部品の量産(1): 自転車用ペダル

自転車ペダルのクローズアップ写真。Fuse シリーズプリンタで実現できるディテールと精度がわかる。Fuse 1+ 30W は、手頃な価格と導入しやすいワークフローで実製品品質の部品を生産可能。

PreForm の自動パッキング機能を活用することで、Fuse シリーズのユーザーは生産ボリュームに最適なパッキング条件を見つけ、全体的な生産量を高めながら部品単価の削減が可能に。
| Fuse 1+ 30W で内製 | 受託メーカーに SLS を外注 | |
| 造形時間 | 18 時間 4 分 | |
| 追加冷却(Fuse Sift 内) | 13 時間 46 分 | |
| ふるい分け/部品取り出し(手作業) | 15 分 | |
| ブラスト時間(自動) | 15 分 | |
| 部品完成までの総時間 | 32 時間 20 分 | 8 営業日 |
| 材料費 | $ 118.81 | |
| 手作業時間(ハンズオン) | 43 分 | |
| 人件費 | $ 12.18 | |
| 総コスト | $ 130.99 | $ 278.38 |
| 造形単価 | $ 4.23 | $ 8.98 |
* 社内で 3Dプリントを行う場合の材料費は、ボリュームディスカウント適用時の割引価格帯を使用して算出しています。一度に50kg購入した場合の最小割引(20% オフ)を適用しています。
* 工数は、プリント準備を 5 分程度(生産ビルドは前日と同条件で繰り返されることが多いため)として見積もっています。一方、Fuse Sift では部品が多数あるため、部品取り出しに多くの時間を見込んでいます。
この自転車ペダルのケーススタディでは、31 個のペダルを33時間で生産できることがわかります。必要最小限の冷却時間と複数のビルドチャンバーを使ったワークフローを考慮すると、この時間はさらに短縮が可能です。
毎朝担当者が出社してからプリンタで造形を開始して、翌日にその後処理を実行すると、平均的な週5日就業では 5 サイクルの稼働 (パーツ 155 個) が可能、1 月あたり 690 個以上を生産可能です。部品単価は 4.23 ドルで、外注ではその 2 倍以上になります。SLS 3Dプリントを活用した内製化は、つなぎの製造や初期段階の設計テスト、少量生産に有効であることが示されています。限定生産やカスタマイズオプションの提供を検討している小規模メーカーにとって、Nylon 12 パウダーで作る SLS 部品は、材料強度・耐久性・コストの各面で有効な選択肢となります。
実製品用部品の量産(2):ターンテーブル用歯車

SLS で内製したターンテーブル用歯車(左)は1個あたりわずか 0.33 ドル、外注の歯車(HP MJF:中央、EOS:右)は 1.09 ドル。

迅速な生産が求められる小型部品の場合も、SLS 3Dプリントは効率的かつ低コストな選択肢となる。このビルドチャンバー1つで 374 個のギアをパッキングでき、製作期間はたった 1 日。
| Fuse 1+ 30W で内製 | 受託メーカーに SLS を外注 | |
| 造形時間 | 18 時間 53 分 | |
| 追加冷却(Fuse Sift 内) | 13 時間 50 分 | |
| ふるい分け/部品取り出し(手作業) | 15 m | |
| ブラスト時間(自動) | 15 m | |
| 部品完成までの総時間 | 33 時間 13 分 | 7 営業日 |
| 材料費 | $ 111.14 | |
| 手作業時間(ハンズオン) | 43 分 | |
| 人件費 | $ 12.18 | |
| 総コスト | $ 123.32 | $ 407.66 |
| 造形単価 | $ 0.33 | $ 1.09 |
** 社内で 3Dプリントを行う場合の材料費は、ボリュームディスカウント適用次の割引価格帯を使用して算出しています。一度に 50 kg購入した場合の最小割引(20% オフ)を適用しています。
* 工数は、プリント準備を 5 分程度(生産ビルドは前日と同条件で繰り返されることが多いため)として見積もっています。一方、Fuse Sift では部品が多数あるため、部品取り出しに多くの時間を見込んでいます。
弊社ホワイトペーパーで示した通り、この歯車を、射出成形で生産した場合の損益分岐点は、Fuse 1 の SLS 方式 3Dプリントと比較した場合で約 8,000 個生産時点です。Fuse 1+ 30W では 1 回の造形で、320 個を約 206 ドルで生産可能です。ビルドチャンバーを複数使用すれば、作業者1名で毎日プリントを実行して翌日には冷却後の後処理を実施可能です。
このワークフローにより、毎週フルビルドでの生産を 4 回行うことができ、週あたり合計 1,870 個の部品を生産できます。Fuse 1+ 30W を活用した内製では、月あたり生産可能なパーツ数は 6,400 個となり、量産用のプリンタとして合理的な選択肢であると言えるレベルになりますし、ひと月という時間は、従来の生産スタイルにおいて射出成形用金型の作製にかかっていた時間と同じです。部品単価が高いため、外注は経済性が大幅に劣ります。
用途 3:
生産用の治工具、ラピッドツーリング、交換用部品
生産用の治工具には、自動機が製品をより効率的にピック&プレースするのを助けるカスタムグリッパー、実製品を所定の形状へ成形するための成形型、あるいは組立や品質保証(QA)工程を支える治具・固定具など、多様な形態があります。どの生産工程でもこのように多岐にわたる治具が必要で、また、SLS 3Dプリント部品の強度や耐久性が重宝される場面も少なくありません。
交換用部品の需要パターンにも同じような特徴があり、大量には必要とされないものの、部品が壊れたり組立ラインが停止しているような場面では、スピードと精度が一番に要求されます。このような用途において、SLS 方式は、アルミを機械加工したパーツの代用となる、迅速、かつコスト効率に優れた選択肢となります。
最初の例は、Marcus Marienfeldがチタン製アイウェア・フレームの成形に使用している SLS 製の成形型です。この成形型の形状はユーザーの顔の形を元に同社用にカスタマイズされています。1 パターンのフレームで複数の形状に対応しますが、一つ一つに専用の成形型が必要です。この種の型のカスタマイズは、高価な従来型の金型製作技術では不可能でしたが、SLS 方式 3Dプリントであればかなり現実的な選択肢となります。このケーススタディでは形状の異なる 19 の金型を SLS のビルドチャンバーで造形し、パウダー充填密度とリフレッシュ率には最適化を行いました。
2 例目は、クランク・ハンドルの交換用パーツです。このタイプのパーツが生産工程で破損した場合、高剛性の強い素材の交換品と交換する必要があります。このようなパーツの造形は本当に必要なタイミングでしか発生せず、必要数量はわずか 1 個です。このような少数造形ではパウダーの充填密度やリフレッシュ率の最適化が難しくなります。
ラピッド・ツーリング: チタン製メガネフレーム用成形型

スイスのアイウェアデザイナー Marcus Marienfeld は、Fuse シリーズの SLS 3Dプリンタで、金属製アイウェアフレームを成形するためのカスタム成形型を製作。

成形型のカスタマイズは、3Dプリントだからこそ実現可能。21 点の成形型はそれぞれ最終的なアイウェアフレームのわずかな形状差に対応しており、従来手法で製作するとコスト高になる。
| Fuse 1+ 30W で内製 | 受託メーカーに SLS を外注 | |
| 造形時間 | 16 時間 52 分 | |
| 追加冷却(Fuse Sift 内) | 同社では Fuse 1 を使用し、チタン製メガネフレームの曲げ加工用プレス装置を製作。 | |
| ふるい分け/部品取り出し(手作業) | 10 m | |
| ブラスト時間(自動) | 15 m | |
| 部品完成までの総時間 | 30 時間 37 分 | 9 営業日 |
| 材料費 | $ 196.81 | |
| 手作業時間(ハンズオン) | 53 m** | |
| 人件費 | $ 15.02 | |
| 総コスト | $ 211.82 | $ 540.17 |
| 造形単価 | $ 11.15 | $ 28.43 |
* 成形型のような生産用治具の場合、通常はボリューム・ディスカウントが適用されるほどのパウダー量には相当しないため、材料費は割引なしの 99 ドル / kg に設定しています。
** 作業時間は、成形型のわずかな違いに合わせた配置、ラベリング、向きの調整を考慮し、この例ではプリント準備時間を 20 分として算出しています。
アイウェアのような消費者向け製品の成形型は通常、一度製作した後、同一製品の大量生産で繰り返し使用されます。しかし Marcus Marienfeld の場合、複数のフレームスタイルを提供していることから、それぞれに専用の成形型が必要です。少量のカスタム品のため、社内で SLS 3D プリントを行うことで高品質な型を迅速に用意でき、チタンフレームのプレスという本来の作業をできるだけ早く開始することができます。外注価格はそれほど高くないものの、このケースでは製作期間が 9 営業日かかる点が不利になります。
交換用部品: クランク・ハンドル

このような交換部品はオンデマンドで大量に必要とされることは多くないものの、必要な時に製造現場ですぐに製作できることが重要。SLS 3Dプリントを使ったオンデマンド生産では、1 日以内に交換部品を用意できる。

このビルドチャンバーは一見非効率に見えるが、Fuse シリーズのプリンタは造形に必要な高さまでしかパウダーベッドを形成しないため、大量のパウダーが無駄になることがない。単一交換部品を効率的に製作するもう一つの方法は、クランク・ハンドルと一緒にすでに製作が予定されている他の部品を詰め込んでプリントすること。
| Fuse 1+ 30W で内製 | 受託メーカーに SLS を外注 | |
| 造形時間 | 3 時間 3 分 | |
| 追加冷却(Fuse Sift 内) | 1 時間 45 分 | |
| ふるい分け/部品取り出し(手作業) | 5 m | |
| ブラスト時間(自動) | 15 m | |
| 部品完成までの総時間 | 4 時間 48 分 | 6 営業日 |
| 材料費 | $ 17.33 | |
| 労働時間(ハンズオン) | 33 m* | |
| 人件費 | $ 9.35 | |
| 総コスト | $ 26.68 | $ 18.93 |
| 造形単価 | $ 26.68 | $ 18.93 |
* この例では総コストのかなりの部分を人件費が占めており、それを按分する部品数は 1 点のみです。ただし実際の運用では、同一ビルド内に他部品を入れてプリントすることでこの負担が緩和されます。例えば、その日のうちに必要となったオンデマンドの交換部品をビルドチャンバーの空きスペースに追加して一緒に造形する、などの運用が考えられます。
1個あたりの生産コストのみに基づいて、SLS 方式プリンタで1個の交換用部品を造形した場合の投資回収までの時間を予測することは困難です。請負業者/受託メーカーに外注するよりは高くつきますが、それでもプリンターのコストを回収するには、数千個とは言わないまでも、数百個の部品が必要です。
しかし視点を変えて、従来であれば最大で数週間となる生産ラインの停止時間が、1 日間で済むとした場合、それはいくらの価値に相当するでしょうか。これは明らかにケース・バイ・ケースですが、交換部品用に SLS 方式プリンタを社内に設置した場合の効果を測定、つまり交換部品を内製して生産装置に取り付け、早期に生産を再開できた場合の効果についても検討してみるべきでしょう。交換用部品を待つ間には、毎時間単位で会社のお金が失われていくという見方もできます。この間に交換部品を内製できれば、24 時間以内には全体の生産工程の稼働を再開可能ですので、生産工程の停止がわずか1回発生しただけでも、内製対応によりダウンタイム・ロスを回避できた時間の生産分で十分に相殺できる可能性があります。
Fuse 1+ 30W 投資回収までの期間: 年ではなく、月単位で可能


Joshua Driggs 氏が経営するZapWizard は、Leatherman ホルスター製品の生産を全面的に Fuse 1+ 30W に委ねています。Shapeways に外注するより社内造形の方がはるかに効率的だったため、Driggs 氏は Fuse 1+ 30W 一式の導入に充てた投資額(13万5,000ドル)をわずか 7 カ月で回収することができました。
最後のクランクハンドルのケースを除き、試作・実製品・生産治具の各ケーススタディにおいて、内製によるコストは受託メーカーへの外注時と比較して大幅に低くなることが示されました。このコスト比較は、SLS 方式プリンタは既に購入済みで、生産コストにプリンタ購入費の償却分は算入しないと前提で実施しました。
顧客からの ROI レポートによれば、1つの用途でも SLS プリントの需要が十分にあり、Fuse 1+ 30W を稼働率わずか 10% 程度で運用できる企業の多くは、外注よりも社内に SLS 3D プリンタを導入する方がメリットを得られることがわかっています。SLS 方式プリンタを一旦導入したら、新たな用途を拡大しやすくなり、イノベーションの促進にもつながるでしょう。
今回のケーススタディの結果から、新製品の生産が必要な多くの企業にとって、試作段階に要する時間を数か月単位で短縮でき、1 製品の試作期間の短縮分だけで SLS 方式プリンタへの投資資金を十分に回収できることが証明されました。自動車用マニホールドおよび電動ドリルの使用事例の両方で、試作品の内製時間は外注の 10 分の 1 かつ低コストという結果が出ています。ROI がプラスに転じるのは 60~80 種類の造形を行った時点です。つまり、常に製品開発を進めている企業であれば 3~4 か月以内に利益が出始めることになります。
量産に関しては、ターンテーブル用歯車と自転車用ペダルの両方で、内製した場合のパーツ 1 個あたりコストは大幅に低くなっています。いずれもパーツのサイズが小さいことでチャンバー内の加工空間を効率的に活用可能な点が、低コスト達成の要因となっています。量産用の使用事例では、小型パーツに活用したことで、充填密度の最適化も容易に達成できました。これによりリサイクル・パウダーと新品パウダーの最適比率を維持しながら、未焼結材料を次の造形サイクルで確実に再使用することができ、造形工程での廃棄物ゼロにもつながります。数百あるいは数千単位の製品用パーツがすぐに必要な状況 (少量生産、サプライチェーン断絶、納期間近、等) の場合、あるいは、外注や従来型の手段では時間がかかる場合の代替手段としては、Fuse 1+ 30W による内製の方がコスト効率に優れています。
1 例目の生産用の治工具用途として挙げた、メガネフレームを一定の形状に加工するための成形型について比較したケースでは、試作および量産での使用事例の方が投資効果が高いですが、この場合、造形に十分な需要があればプリンタ導入額の回収期間はわずか数か月になるでしょう。この種の治工具の作製は、顧客に合わせたカスタマイズの幅を広げるための容易かつ低コストな手段となります。このシナリオでは、19 種類の顔形状に合わせて、成形プレスを 19 通り造形できます。メガネメーカーは様々な形状を用意し、さらにお客様の顔型に合わせたメガネフレームを提供することができます。
試作および量産用に関して短期間で回収できない例外的なケースとなるのは、交換用部品を造形した場合です。必要な造形数は1個であるため、コストの大幅な節約はできていません。しかし、このシナリオは別の視点で見てみることが重要です。交換部品を必要としている装置は停止中で、速やかな交換が必要です。ハンドルが故障した装置の停止、つまり生産の停止は、組織に 1 分単位で損失をもたらします。装置の交換部品を入手する方法には、以下があります。
- 当該装置のメーカーに発注する
- 治工具を作り、成形/鋳造/切削して部品を作る
- 3Dプリント受託業者に、部品を発注する
- 自社内で部品を 3Dプリントする
時間が最優先の場合、装置に交換部品を最も早急に取り付けて生産を再開できる選択肢は、3Dプリントを使用した内製です。
結論
SLSは、機能性が高く、強度のある工業品質の試作品を、迅速かつ低コストで製作するのに理想的な方法です。また、少量〜中量の実製品用部品をコスト効率よく製造するための現実的なソリューションでもあります。
以上のシナリオでは、SLS 方式がパーツ生産の最良の手段であることを前提とした上で内製、外製のどちらを選択すべきかを考察し、SLS 方式プリンタでの内製の方が明らかに短時間かつ低コストであることを証明しました。
十分な生産量があり、需要が安定して予測可能な場合には、従来の(3Dプリント以外の)製造手法も引き続き有効です。アフターマーケット品、暫定措置としての使用、新製品、交換部品の生産といった少量、あるいは数量が予測不能な場合には、SLS 方式プリンタによる内製の選択が現実的です。
Fuse シリーズのエコシステムにより、SLS 3Dプリントを使った内製化が初めて手の届くものとなり、何百社ものメーカーがワークフロー全体を自社で管理しながら、わずか数日で部品を製作できるようになりました。依頼者から設計・エンジニアリング・技術・テスト・顧客対応チームに至るまで、部門間のコミュニケーションを 1 週間以内に完了させることも可能になります。
SLS 方式 3Dプリンタの導入で、製品生産の主導権を取り戻すことができるとも言えるでしょう。購入しやすい価格帯、操作しやすいワークフロー、工業用品質の材料を豊富に揃えた Fuse シリーズは、これまで外注に頼ってきたメーカーにとって理想的な選択肢となります。
ROI の正確なタイムラインを算出するには、用途・材料・生産スケジュールなどさまざまな要素を考慮する必要があります。Formlabs では、Fuse シリーズを活用している多数のお客様の活用事例をもとに、生産スケジュールや3Dプリンタのご購入から投資費用回収までに要する期間等、様々なご相談に応じています。