3Dプリントカー実現への道のり:3Dプリントが自動車業界に起こす12の変化

ホワイトのスタイリッシュなコンセプトカー。

自動車販売店で3Dプリント製の車を購入できるようになるのはもう少し先の話かもしれません。それでも、3Dプリントは自動車の設計・開発・製造のあらゆる段階で活用されています。

今では、車両の開発・生産のすべての工程において、3Dプリントを活用して車の試作、治具、交換部品、アフターマーケット部品を製造する専門家が存在します。3Dプリントはサプライチェーンに多大なる価値を提供しながら、幅広い生産用途を実現する可能性があるのです。

3Dプリンタは産業用のものですら手頃な価格になりつつあり、企業や個人はアディティブマニュファクチャリングを使用して新製品や車両部品の迅速な設計ができるようになっています。従来は材料の強度と耐久性が足りず実製品用の自動車部品の製造は不可能でしたが、現在では高度な3Dプリント材料によって自動車部品に求められる過酷な環境にも耐えられるようになりました。

設計から製造、さらにその先の工程まで、3Dプリントが自動車業界全体のイノベーションを支えている12の例をご紹介します。まずはFormlabsにご相談いただき、FormlabsのSLA光造形またはSLS(粉末焼結積層造形)プリンタがプロジェクトに適しているかどうか、見極めていただくことも可能です。

3Dプリントした自動車部品

BMWのような老舗メーカーからカスタマイズやパフォーマンスを専門とする小規模なショップまで、3Dプリント製の部品は今や自動車製造の様々な分野で急速に普及しています。

アフターマーケット部品のように、少量生産が主流ではあるものの現に生産量が増加傾向にあり、新たな可能性が潜在する分野もあります。例えば今日、BMW X7が目の前を通り過ぎていくのを見かけたら、その座席の組み立て部品の中にSLS 3Dプリント製のクリップが使われていることはまず間違いありません。

つなぎの生産:BMW X7の部品を3Dプリントで

組立ラインから出荷される新車の3台に1台は、Broseが製造した部品を搭載していると言っても過言ではありません。家族経営の自動車サプライヤーとして世界5大企業の一つに入るBroseでは、毎年、3Dプリントで製作する部品の数画像化しています。

BMW X7のシート組み立てでは、生産スケジュールに影響を与えるサプライチェーンの問題を回避するために、クリエイティブな発想が求められていました。Broseのシートプロトタイピングマネージャー、Matthias Schulz氏は、シートフレームのベースに使用するクリップの1つに、SLS方式の生産能力の高さと材料の優れた耐久性を活かすことにしました。

Broseのチームは、2台のFuse 1+ 30W SLS 3DプリンタでNylon 12 GFパウダーを使い、わずか数週間で25万個のシートクリップを製作しました。BroseのチームはOEMであるBMWと協力し、3Dプリント製クリップをシートアセンブリの長期使用に耐えうる部品として認定しました。SLS 3Dプリントの活用により、全体の生産スケジュールも予定通りに進みました。この暫定的な製造ができていなければ、新しい射出成形用原型を設計・加工製作し、海外から仕入れなければならず、X7モデルのリリースが数ヶ月遅れていたかもしれません。

BMW用の3Dプリント製部品

「そのタイミングで、Formlabsの船に飛び乗ることにしたんです。入手できる材料が豊富なこと、そしてプリントの一貫性が大幅に向上したことで、この技術を遂に自動車業界に活かせる時が来たと感じました。私たちにとっての課題は、特にOEMに関しては、安全性と耐久性の面で懸念が存在することです。私たちは、それを排除しようとしています。そこでFormlabsと協力し、現在のBMW X7に使っているようなパーツを実装できるということを証明しました」

Brose North America シートプロトタイピングマネージャー、Matthias Schulz氏

MOSOLFでのパトカーのカスタマイズ

MOSOLF Special Vehicles GmbHのプロジェクト企画部長であるCarsten Busam氏は、ドイツの警察車両の3分の1以上は、アディティブマニュファクチャリングで製作された部品が搭載されているといいます。パトカーや救急車などの「特殊車両」を年間1,000台製造するMOSOLFは、複数台のFuse 1+ 30W SLS 3Dプリンタを導入したことで、車両の性能を向上させる実用的な自動車部品やアクセサリーの3Dプリント製造が可能になりました。

救急隊員にとっては、輸送手段と装備の品質が何より大切です。MOSOLFはNylon 12パウダーを使って車のブラケット、マウント、治具、ホルダーなどを3Dプリントしています。頑丈なSLSパウダーは耐久性に優れ、救急隊員による使用で発生する摩擦や破れにも耐える実製品用部品の製造が可能です。SLS 3Dプリントは、材料の耐久性だけでなく、スピード面でも大きな違いをもたらしました。

「3Dプリントによる内製の最大のメリットは、様々な作業が格段に高速化できたことです。従来の製法であれば、特にコーティングが必要な部品などは出来上がるまでに4〜6週間ほどかかっていたでしょう。それが3Dプリントなら、実質一夜にして製作できます。3Dプリントを導入していなければ、この製造工程には相当の時間がかかっていたでしょうし、部品を製作しては調整するという過程が何度も発生して複雑さも高まっていたはずです」

MOSOLF Special Vehicles GmbH プロジェクト企画ヘッド、Carsten Busam氏

SLS方式3Dプリントを活用した、機械および自動車向けカスタム制御装置の生産例

3Dモデルへの特殊なテクスチャ加工により、ハウジングに革のような外観を与え、部品が3Dプリント製であることを見分けにくくしている。

3Dモデルへの特殊なテクスチャ加工により、ハウジングに革のような外観を与え、部品が3Dプリント製であることを見分けにくくしている。

IBL Hydronicは、産業車両向けの電子機器、油圧装置、ソフトウェアアセンブリの機械ソリューションを製造するドイツのメーカーです。SLS 3Dプリントを活用することで、実製品用部品の設計と製造を迅速かつ効率的に、そして低コストで実現しています。

IBL Hydronicが最近手がけたプロジェクトに、ある農業機械メーカー向けの、特定機械に合わせた制御盤の開発があります。このプロジェクトでは、プロトタイピング、組み立て、テストをわずか1ヶ月で完了し、顧客に包括的なソリューションを提供しました。

車両部品のハウジングはFuse 1 SLS 3Dプリンタで造形し、組み立てて革製のアームレストパッドを取り付けました。機能性だけでなく視覚的にも魅力的なデザインにするため、チームは設計プロセスで3Dモデルの表面にテクスチャを加えました。その後、SLS 3Dプリント品の表面を整え、染色槽で着色。その結果、SLS 3Dプリントのみで製造した車両部品のアセンブリは、革のような表面テクスチャが特徴となり、外観が洗練されてデザイン全体がまとまった印象になりました。

「SLS方式3Dプリントの使いやすさとシンプルなワークフローのおかげで、純粋に製品とその設計に集中できます。おかげでプロセスが大幅に簡素化されました」

IBL Hydronic 3Dプリント担当テクニカルプロダクトデザイナー、Tom Heindl氏

3Dプリント製のインテークマニホールド

イタリアのレース選手権「12 Pollici Italian Cup」で優勝したElia Marescutti選手は、Formシリーズ SLA光造形プリンタRigid 10Kレジンを用いて造形したインテークマニホールドを搭載してレースに臨みました。

3Dプリント製のマニホールドは、高いパフォーマンスが求められるレースの負荷に耐えただけでなく、従来のアルミニウム製マニホールドよりも優れた性能を発揮しました。サーマルイメージングカメラを使った測定では、Rigid 10Kレジンで製作したマニホールドは従来のアルミ製よりも40~50°C低い温度を記録し、冷却速度もはるかに速くなりました。これにより、レース終了後の組み立て作業が容易になりました。

3Dプリント製の車両用ゲージとテレメトリーディスプレイ

BTI Gaugesの自動車用ゲージのアフターマーケット部品をFuse 1 SLS 3Dプリンタで造形したもの。

SLS 3Dプリントで車載用ゲージやテレメトリーディスプレイを造形できることで、BTI Gaugesは顧客の要望に迅速かつコスト効率よく応えることができる。

ビジネスで成功する企業の多くがそうであるように、BTI Gaugesも市場のギャップに目をつけました。創業者でありオーナーでもあるBrandon Talkmitt氏は、高性能車用の距離測定ディスプレイをカスタマイズする方法を探していました。

Talkmitt氏は、フロントガラスに複数のスクリーンが溢れて確認が煩雑になる状態を解消できるような、複数のパフォーマンスメトリックを組み込めるメーターを探していましたが、残念ながら既製品で適したものは見つかりませんでした。そこからFDM(熱溶解積層)方式3Dプリンタでメーターのケーシングを試作し、高温の車内と試験用オーブンの中に試作品を放置して耐熱性試験を自身で実施しました。そこで得られた結果を元に、様々な車種を考慮した設計調整を行いました。実際に使用する製品の製造方法を検討した結果、Talkmittは耐久性と耐熱性に優れたSLS 3Dプリントを採用しました。

カスタマイズ設計をわずか数日で完成でき、メーターが完成するとすぐに、普段から付き合いのあった90年代スタイルの日本製レーシングカーや、Lamborghinis、Dodge Vipers、その他の高性能車のオーナーから関心が寄せられました。Talkmitt氏は、ビルドチャンバーを効率的にパッキングする方法を習得したことで、無駄をほぼゼロに抑えたワークフローを実現し、全体的なコスト削減に成功しました。

Fuse 1のような高品質のSLSプリンタを社内に導入することで、BTI Gaugesは自社の生産力をコントロール・維持し、従来通り製造手法や外注に依存する多くの同業他社と一線を画すことができました。 「全員に勧めたいくらいです。Fuse 1は本当に大きな力になってくれました」とTalkmitt氏は言います。

自動車業界で3Dプリントを活用

3Dプリント製の自動車部品は最も注目を集めやすい用途ですが、自動車製造における3Dプリント部品の活用(製造現場での消耗品である治具としての活用)は、少なくともメーカーのコスト削減と効率化という点では、さらに大きな注目を集めている用途です。

自動車の組立ラインには、治具や固定具、ブラケット、マウント、ホルダー、テスト構造など、何百ものカスタム部品や少量生産部品が存在します。3Dプリントは、メーカーが迅速に導入できる低コストのオプションとして、生産ラインの継続稼働をサポートします。

Borse、Form 4Lでロボット溶接用の治具を同日製作

Form 4Lが大容量パーツの同日製作を可能に。写真はFast Modelレジンで造形した溶接用の固定具。

BroseのAdditive TechnologyチームがSLA光造形およびSLSプリンタを複数台運用するBrose North Americaでは、溶接ロボットは様々な製品ラインを常に行き来する必要があります。工場では、溶接機は1つの製品ラインに特化してプログラムされていますが、本社には2台の溶接ロボットが様々な製品ラインでシートのプロトタイプの溶接を担当します。

ロボットが新しい製品ラインに移るたびに、溶接部門はロボットのパラメータを再プログラムする必要があります。溶接ロボットのプログラミングにプロトタイプの金属レールを使用すると高額になるうえ、溶接ステーションで学習用の準備が整うまでにレールが間に合わないことがよくあります。スピードと寸法精度の両方が求められるこれらのセットアップ部品には、高速で低コストな代案として3Dプリントが活用できます。

「Form 4Lを使って溶接セルのセットアップパーツをプリントしていますが、一夜どころかたった数時間で完了するので、金属プレス部品が届く前に Brose の溶接エキスパートたちがロボットを事前にプログラムできるようになりました。新しいFast Modelレジンでは、これまでより短い時間で、求められるディテールや剛性を満たすことができています」

Brose North America シートプロトタイピングマネージャー、Matthias Schulz氏

Dorman Products、自動車部品の試験治具を3Dプリント

加圧ホースのテストで使用する治工具。

2つの治工具のうち1つは加圧ホースのテストで使用される。

2つ目のカスタム治工具。

カスタム治工具を嵌合構造のシミュレーションに使用することで、ラジエーターを丸ごと購入することなくテストができる。

Dorman Products は、乗用車と大型トラックのアフターマーケット部品メーカーとして 100 年の歴史を誇るメーカーですが、3Dプリントを活用して生産期間の短縮と部品の品質向上を実現しています。常に新しい製造工程やモデルを追加するOEM元のメーカーに遅れずに対応するため、12台の3Dプリンタを2拠点で分散稼働させています。

すべての部品がそれぞれ異なる機能を持っているため、試験条件や方法、検証プロセスも部品によって異なります。例えば2種の異なる部品を検証するのに流体試験が必要な場合、部品の形状が違っていれば、試験中に部品を固定する治具もそれぞれ別のものが必要になります。そこで3Dプリントを活用することで、各部品に合わせたカスタムテスト治具を設計し、同日中に製作することができます。治具やゲージの製作には、加工工場からの納品までに5~10週間かかることもありました。

「簡単に部品の設計や生産ができます。従来の工法にとらわれていないので、部品の設計にアンダーカットや突き出し構造があっても、加工とは違って必ずしもコストが増えるとは限らないということを、他の部署にも伝えています。そのおかげで、希望通りの治工具をありのままに設計できるような、新しい可能性とアイデアが生まれています」

Dorman Products アディティブマニュファクチャリング部門リーダー、Chris Allebach氏

自動車組立ラインにおけるコスト削減

EOLコネクタ

写真の終端コネクタは、シートアセンブリ工程の最終段階で実装される。技術者がシートフレームを電源に接続して最終チェックを実行した後、電源を抜いて次のプロセスに移動するが、これを失念してしまうケースが多く、シートを取り外す際にコードが切断され、組立ラインに数百ドルの損傷を与えたり生産の一時停止を余儀なくされることがある。

Additive TechnologyチームはNew Bostonチームと協力し、磁気で接続できるタイプのコネクタラインを設計しました。ラインやシートフレームに簡単に取り付けられるだけでなく、技術者がコードを取り外さずにシートフレームを引き離してしまった場合も、損傷することなく外れます。3Dプリント製の自動車製造用治具は、機械の摩耗やオペレーターのミスを低減できるため、部品の交換費用を節約しながらダウンタイムを短縮することができます。

Pankl Racing Systems:高性能車両の製造コストを削減

プリンタの横に立つ人
3Dプリント製治具

Pankl Racing Systemsは、レーシングカーや高性能車、航空宇宙用途向けのエンジンおよびドライブトレイン部品の開発・製造を専門とする企業で、F1カーやマリーンワン(米国大統領専用ヘリ)にも同社の部品が使用されています。

Panklは実製品用部品の設計にとどまらず、部品の製造に必要な治具や固定具、成形型も一連のカスタム品として開発しています。これらの部品は少量生産で用途も限定的なため、3Dプリントが最もコスト効率良く効率的に製造できる方法であることが実証されています。現に、SLA光造形プリンタとその材料を導入したことで、Panklの開発コスト全体が大幅に削減されました。

車両のギアボックスアセンブリの場合、鋼部品を機械加工してからさらに加熱および冷却プロセスを行う必要があり、それぞれにカスタム治具が必要でした。こうした治具を外注すると納期が6週間も延びてしまうため、Pankl RacingはForm SLA光造形プリンタでTough 1500レジンの初期バージョンを使って3Dプリントすることにしました。

「生産ラインで3Dプリント部品を使用し、これが成功しました。今後も3Dプリントを活用できる場面は無数にあると思います」

Pankl プロセスエンジニア、Christian Joebstl氏

3Dプリントを自動車設計と試作品製作に活用

3Dプリントを活用した試作品製作はスピードが格段に上がることから、ラピッドプロトタイピングという言葉は事実上3Dプリントと同義になり、このことからも3Dプリントが製品開発工程に革命をもたらしてきたことが伺えます。

3Dプリントにより、自動車設計者はシンプルな内装部品からダッシュボード、さらには自動車全体の縮尺模型に至るまで、物理的な部品やアセンブリの試作品を迅速に製作できます。工業品質の3Dプリンタを利用することで、自動車設計者が新たなアイデアを試し、実製品用部品の性能を模倣することができるため、反復サイクルを短縮すると同時に設計者が試すことのできる新たなアイデアが増えます。

Fordの次世代モデル開発

Ford Motor Companyは世界第6位の大手自動車メーカーで、年間400万台以上の自動車を生産し、世界中で17万5,000人以上の従業員を有する企業です。Fordの欧州事業の中心となっているのは、1930年に設立し、Ford Fiestaの組立で有名なFord Cologneです。

新たな電気自動車の開発競争においては、試作・検証を重ねる改良の反復スピードが何よりも重要です。Fordの設計チームは、毎日自動車部品を設計して3Dプリントし、実際に車内でフィット感や感触をテストすることができました。

「アディティブマニュファクチャリングは、開発工程において非常に重要な役割を担っています。部品を迅速かつ効率的に製作できるほか、コスト削減にもつながりますし(中略)競合他社と比べて競争力が高まります」

Ford Rapid Technology Centre スーパーバイザー、Sandro Piroddi氏

Vital Auto、未来の車を創造する

英国で急成長中のFormlabs正規代理店、Solid Print 3DのクライアントであるVital Autoが、複数台のForm 3LFuse 1をはじめとする多数の高度機器を活用して、試作・検証工程を高速に回すことで忠実な試作品やコンセプトカーを製作している方法をご紹介します。

彼らが最初に受注した案件は、スーパーカー

NIO EP9のコンセプトカー製作でした。この案件をきっかけに、同社は極めてリアルで忠実なコンセプトカーの製作を手掛けるようになります。Volvo、Nissan、Lotus、McLaren、Geely、TATAなどの顧客は、これまでに見たことのない車のコンセプトを求めてVital Autoを訪れます。

まったく新しいものを設計、試作、製作するために、Vital Autoはさまざまな材料で最高品質の部品を製造できる3Dプリンタを活用しています。Form 4L、Form 4、Fuse 1+ 30Wを含む14台の3Dプリンタは、24時間365日稼働し、大規模な反復作業に対応しています。エアベントからドアシール、ブレーキキャリパー、ドアハンドルに至るまで、同社の3Dプリンタはワークフローに欠かせない存在となっています。

「3Dプリントを導入したことで、SLA光造形用とSLS方式用の両方の材料を組み合わせて、設計パターンを何度も確認できるようになりました。これにより、それぞれの材料特性を生かしながら、最終的な設計が確定するまで何度も高速で試作製作を行うことができます。これは、機械部品から透明なパーツに至るまで、すべての外観やパフォーマンスの検証に活用できるのです。」

設計エンジニア、Anthony Barnicott氏

3DプリントでトヨタGRヤリスのインレットダクトを改良

Forge Motorsportの再設計ダクト

英国のアフターマーケット向け自動車用性能部品メーカー Forge Motorsportは、Formlabsの3Dプリンタを使ってトヨタGRヤリスのようなOEMモデルの実製品用部品の試作品製作と機能試験を行っています。

Forgeは、モデルのリリース時にインレットダクトのサイズを大きくし、かつエアボックスの開口部の場所を変えることで車の性能を向上させる機会を見出しました。これらの変更により、吸気温度の変動が抑えられ、ドライバーがエンジン性能を予測しやすくなるとともに、全体的な温度の低減も期待されます。トヨタの部品と周辺アセンブリをリバースエンジニアリングした後、Solidworksで空気の流れをシミュレーションし、新しいモデルを設計しました。まずはDraftレジンで車両のインレットダクトを3Dプリントし、フィット感を確認した後、実製品用部品にはTough 1500レジンを使用しました。

顧客は3Dプリント製の部品をYaris GRに5カ月間装着し、その間様々な条件下で性能データを収集しました。予想通り、再設計した部品は性能が向上しました。純正部品の温度変動が42~45°Cであったのに対し、3Dプリント製の部品は35~36°Cでした。リバースエンジニアリングや自動車部品の3Dプリントに関する詳細は、Forge Motorsportとのウェビナーをご覧ください。

自動車業界での3Dプリント活用事例

本記事で紹介したすべての事例からもわかるように、3Dプリントをクリエイティブに活用することで製品の市場投入までの時間を短縮し、車両の性能が上がることから、サプライヤー、OEM、消費者に大きなメリットとなります。3Dプリントで限界を押し広げ、設計・製造工程で全く新しい可能性を実現できたケースや、製造にかかるコストと時間を削減できたケースがあります。

3Dプリントの価値と現実に対する理解が業界全体に広がり、技術と利用可能な材料がさらに多様化するにつれ、アディティブマニュファクチャリングは今後も世界中で自動車の設計や製造、メンテナンスの方法を今後も変えていくことになるでしょう。